令和2年6月12日(金曜日)第12回新型コロナウイルス対策本部会議・知事定例記者会見


新型コロナウイルス感染症(第1波)との戦いを振り返って
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)
司会:
 ただいまより第12回奈良県新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開会いたします。

 本日は、新型コロナウイルス感染症(第一波)との戦いの振り返りについてを議題とします。それでは、本部長である知事よりご発言いただきます。

知事:
 今日の会議は、第二波に備えるための第一波の戦いを振り返るというテーマです。いろいろエビデンスを集めている最中でありますが、今の段階での振り返りをして第二波への準備を進めようという考え方です。説明に入ります。

 2ページ目以降は、これまでの振り返りの概略です。5ページ目から目次になりますが、大きく分けて感染症の概況を鳥瞰するようなデータ、これまで分野別の経緯、そこから得られた教訓という大きな柱にしています。感染症の概況は7ページ以降になりますが、新しい資料もありますのでご紹介いたします。

 8ページ目ですが、近畿府県との関係を和歌山、奈良、滋賀は同じスケールで、京都、大阪、兵庫は別のスケールで表示しています。その波の日付は同じなので、5府県とも4月上旬から感染者数が急激に増加しましたが、滋賀と和歌山はゴールデンウイーク前に歯止めがかかった、このように棒グラフで見ることができます。奈良県は、大阪府、兵庫県同様、ゴールデンウイーク後まで感染者の報告が続いたと見れます。大阪、兵庫との関係が深いのではないかということが推察されます。

 9ページ目は、1週間ごとの比較です。大阪と兵庫は新規感染者の多い週が2週にわたってありました。ほかは、感染者数の少ないこともあり、上がって下がった、高減の違いがあります。これはどういうことかということははっきり分かりませんが、そのような違いがあったということです。

 10ページ目は、人口10万人当たりの全国の状況です。10万人当たりの感染者の状況が大きく違います。大都市が多いようで、東京、2番目に石川、富山、北陸3県が入っているのと、北海道、それからどういうわけか高知県と沖縄県が上位にランクされている。それは何かの地域の感染の原因で大きな影響か原因があるんじゃないかと推察されます。そのような原因を探って、大都市から離れた県でこの人口当たり感染者が多い理由というのも、一つの追求テーマになるように思いますが、奈良県は中位、6.9というランクです。

 11ページ目ですが、年齢別、男女別のような感染者の分類をしました。効果的な対策につなげる分析です。12ページ目は、10万人当たり年齢別ですが、全国を年齢別で100としたときの、その各県の割合を書いています。奈良県は、全体では10万人当たりの感染者の割合は、全国平均の中では51という割合ですが、年齢別に見ますと、10歳未満では108という数字になりますが、全国の平均が2.5に対して2.7であるというのが特徴になるというような見方です。そのほかは、総じて100を切っています。他県の例を見てみますと、年齢別の特徴があります。滋賀県は54で、全体の割合は奈良県と変わらないんですが、10歳未満が148と多いです。また、20から29の20代が63と比較的多いと思われます。

 京都府は、105と全体に100を超えていますが、118と20代が多い。大都市の特徴で、二十代、若者の感染が多いというのが大都市の総じての特徴ですが、京都府は70歳以上も113と多いのが特徴です。地域別の特徴を、何か原因があると思って調べることになります。

 大阪府は、全国平均に比べて、155ありますが、20代が184で、東京も含めた全国平均の中で155ですから総じて高いんですが、20代が極めて高く見えます。奈良と比べて違うのは、10歳未満が割と低いと思います。

 兵庫県は、20代と50代が多い。奈良県の特徴でもありますが、40代が多いのは、通勤感染が多いように思われます。50代は勤務地などの感染が多いんじゃないかと推察されます。和歌山県の感染は50代が大変多い。東京都が全国で一番多く、平均の3倍あるわけですが、この特徴、山が、20代が269、50代が290、70歳以上が334と高齢者が多い。クラスターの関係かと思われます。高齢者施設のクラスターがあると、このように年齢の分布に影響するのではないかと推察されます。

 福岡県は、全国平均に比べて114ですが、全体の年齢別の割合で高いのは満遍なく、10歳から19歳までが179と、学校や保育園での発生があったのかと思われます。高知県は10歳未満が296という、地方で感染している中では割と高く、10歳未満クラスターがあったのかと思われます。そのような年齢別の分析をしています。

 17ページ目は、感染者の年齢別で未発生の都道府県というのもあります。岩手県は全年齢で発生をしていませんが、20代は岩手県を除く全都道府県で発生しています。30、40、50歳代は発生していない県が2県くらいなので、成人になると発生が普通になってきている。10歳未満は発生してない県も見かけられます。

 18ページ目ですが、男女差です。多くの地域で男性が多い状況ですが、奈良県と同じように青い丸が左に出っ張っているのが男性のほうが多い地域です。女性のほうが多い地域、ここでいえば京都府、高知県が左の赤が出っ張っている状況で、何か原因があるのではないかと思われます。

 それから、人口10万人あたりの死者数は、東京が断トツです。奈良県は2人なので死者数は0.15、このようなランクで見ると低位にあるということが分かります。

 このような概況をまだまだ分析して全体像を把握するために、これまでの過去から最近までの軌跡を振り返り、教訓を得るという資料を作りました。

 最初の項目は、感染防止の項目です。22ページ目に概況を書いています。22ページ目の相談件数を、23ページ目の表で見ていただきますと、感染が拡大する過程で随分相談が増えてきたことがわかります。途中で相談の窓口も数を増やしましたが、相談急増期には回線数が十分とは言いがたい状況にあったと認識をするところです。急増したときの相談回線数あるいは相談対応人数を、マッチングしなくてはいけないという教訓が得られました。

 24ページ、相談の結果、医療機関につなぐというのが大きな問題で、24ページ目の3つ目の丸で、国のガイドラインに従った相談対応を行っていたので、なかなか受診調整が十分じゃなかったと反省をしています。国のガイドラインは、発熱、発症があって、重症化予防につなげようということが中心でした。合理性もあったのですが、その結果、PCR検査が絞られ、検査結果の判明までに他人に感染させてしまったのではないかという疑いが発生しています。速やかに受診につなぐ必要性があると思います。必ず外来受診に接続するという方針に、4月中旬以降切り替えて、PCR検査の対象を重症化予防から感染拡大防止に重点を移すべきという判断をするきっかけになりました。

 26ページ目は、5月23日以降になりますと、PCR検査を希望されて発症があったり疑いが心配な方の受診調整がスムーズにいって、おおむね検査につながった結果になっています。

 27ページ以下、PCR検査についてです。検体採取能力を強化をしています。その結果、採取に至るまでの日数が短縮されてきているということが、この表では分かります。5月11日以降になりますが、大体1-2日で検体採取ができるという状況までまいりました。

 検体採取の判定ですが、判定機関の拡大を行いました。検査から判定までの平均日数が当初3日かかったのは1件のみでしたが、その後、検査機関数が増えて0.9日、1.9日などになってまいりました。後半では、検体採取後1-2日で大体判定が出るというところまで能力が上がってきました。

 29ページ目は、全国の10万人あたりのPCR検査数と感染者数、陽性率です。10万人あたりの感染者数は、近畿で、京都、大阪、兵庫が真ん中で山になっています。分かれていますが、滋賀、奈良、和歌山は同じレベルで横に並んでいるように思います。一方、和歌山はクラスターが発生したこともあってPCR検査数が非常に多いです。

 このような状況、経緯を観察しまして、30ページ目に、現時点での考え方ということで、教訓になります。教訓の1は、相談件数増加の兆しをいち早く察知して十分な体制を整える。また、症状発症があった方あるいは感染の疑いがある方からの相談があれば必ず診察につなぐ、速やかにPCR検査を実施する、それを徹底をするという教訓です。

 31ページ目は、感染経路の推定作業です。感染判明時は約5割が不明者でしたが、その後、丁寧な聞き取りにより、7%まで不明者の割合が下がってきました。その中で、感染経路で大阪関連の感染が多いことが分かってきています。現時点で我々が持っている最大の武器は、PCR検査等により感染者を早期発見、入院・隔離して、次の感染を止めることです。また、感染者の感染の路が分かったら、リスクが高い場所に近寄らないという行動を徹底する、限定自粛という考え方を導入するきっかけになろうかと思います。

 その軌跡を32ページ以降で分類し、分析しています。33ページ目は、感染経路別分類の推定分類で、勤務先での感染が4割、家族からの感染が23%などです。勤務先、家族での感染で約63%、3分の2を占めているのが奈良の実情です。どこで感染したのかを分析しますと、34ページ目で、大阪関連の感染が49%、その内訳は、勤務地感染、その家族感染、大阪での食事感染になります。その他の感染33件のうち、大阪以外の勤務地で感染したのが8件、家族が11件などで、外国もここに入ります。散歩に行ってうつったらしいが、どこでうつったか分からないというような方が8件おられますが、大体その辺りだ、そういう経路だということが推定できるというのが8件あります。そのような推定もできないのが6件あるという状況です。

 35ページ目ですが、大阪の感染者の推移との関係を35ページ目で示しています。大阪府の感染者の増加が約3日から5日後に奈良県の感染者の増加に反映されているのが第一波の状況ですので、第二波についても大阪で感染者が出始めたら用心しようと心がけるのがいいかと考えます。表のオレンジ色は大阪での感染発症の状況、青が奈良の感染発症の状況ということです。スケールは違いますが、波がこの3日から4日後に奈良に移ってきてると思われます。

 36ページ目ですが、男性、女性で分けた感染経路、男性は、勤務先での感染が多く、家族からの感染で、女性は家族からの感染が一番多い。次に勤務先での感染。家族と勤務先での感染、男女の比率は違いますが、その2つが大きな感染経路です。このような行動様式があることを反映して、感染防止にどうつなげるか研究をしたいと思います。

 37ページ目は、居住地別の統計です。奈良県の居住地の感染者の分布になりますが、左の図にありますように、奈良市で20名、生駒市で10名、大和郡山市で14名と、大阪府に近い通勤者の感染ということで、大阪府に近い北西部に集中しています。他県の例ですが、38ページ目で、兵庫県では、大阪府に近い地域の感染率が高い。埼玉県では、さいたま市を中心とする東京へ通勤しやすいところが高いと思われます。

 39ページ目以降は、物資の確保・配布についての振り返りです。物資が枯渇するといった危機的な状況は免れたと総括ができますが、反省点もあります。40ページ目ですが、民間企業からの支援と医療現場の代替品の活用など、工夫によるところが多い。しかし、平時から感染症蔓延時を見据えて物資の備蓄を進めておく必要があるのではないかと教訓を得たところです。また、県では、5月1日に物資調達・配付班を立ち上げたところですが、感染拡大の兆しを捉えて早期に体制を整えたいと思っています。

 41ページ以降は、医療物資の状況です。ご提供いただいた医療物資の状況です。43ページ目以降は、自粛要請、県民・事業者への要請をいたしました。44ページ目以降は、その要請の内容を振り返っています。

 総括した考え方、49ページ目ですが、当初は国の方針に従い、過剰に心配せず、季節性インフルエンザ同様の感染予防の呼びかけにとどまっていたと思います。しかし、その後の感染拡大を考えれば、本県を含め、全体的に当時は危機感が希薄だったと振り返らざるを得ないと思います。

 教訓としましては、感染拡大が収まっていても、油断せず、うつらない、うつさないの徹底を呼びかけていく必要があろうかと思っております。

 2つ目の教訓になりますが、感染経路の推定分析から、大阪関連のものが多いことが分かっていますので、大阪での感染者判明の状況を常に注視することが必要かと思います。県内での感染拡大の兆しをできる限り予知するということになりますと、大阪でその波が起こると、3日から5日後に奈良に来るというのが第一波の状況ですので、そのような兆しがあれば大阪への通勤者等へ注意喚起、またその家族の皆様方への注意喚起なども必要かと思われます。

 3つ目の教訓ですが、全体の分析がなかなかできなかった状況で、全面自粛、全国自粛と我が国は対応したわけですが、社会経済活動への影響が少なからずあったと思います。感染拡大防止策の徹底継続は必要かと思いますが、そのときの対応として、全面的な自粛要請ではなく部分的な要請、限定要請のような手法が取れるかも検討すべきではないかと今では思うところです。

 医療体制の整備についての振り返りになります。50ページ以下ですが、これまで全ての感染者の入院ができて幸いでした。ピークのときは、64床に対して50名まで入院者がありました。78%まで占有率が上昇しましたが、入院者が減るとともに、病床の整備を進めまして、その空き病床率に余裕ができてきた状況です。

 53ページ目は、感染判明から入院まで最大2日かかっていますが、入院調整間で大体即入院という状況です。これは感染者の累計から退院者、死亡者2名を引いていくと日ごとの入院者になります。退院者が増えると入院者が減ってくることになりますので、入院者はどんどん減ってきているという状況です。これは病床の必要数を判定するのに必要な資料かと思います。

 54ページに病床の確保がありますが、第二波は第一波より大きくなる可能性を見越して、予備病床も含めて500床を確保する目標を立てています。どのように確保するのか、事前にシミュレーションし、病床だけではなく医療従事者の確保が極めて重要ですので、準備をします。

 55ページ目は、重症患者への対応です。重症患者対応病床として18床を確保していましたが、ECMOなどの治療ができる病床、奈良県では5人の重症患者のうち、4人の方の命が救われた経過があります。そのような重症病床では、通常よりも多くの医療従事者の確保が必要であることが分かりました。そのため、集中治療室や病床数の確保に加えて、重症患者に対応できる医療従事者の養成に取り組むことが必要であると判断をしています。なお、奈良の重症患者の年代は、50代が3人、70代が2人です。軽症の入院者の扱い、療養病床の整備を行いました。医師会・看護協会の協力があってのことです。

 そのようなことを受けまして、57ページ目になりますが、療養病床、ホテル療養病床について、現在の規模を維持したいと思います。また、入院・入所者の多寡に応じて弾力的な運用の可能性について、弾力性を検討していきたいと思います。

 58ページ目は、通常医療機能の回復になりますが、コロナ対応で大きな病床数を占めますと通常医療が圧迫されますので、コロナ対応を156床に縮小して通常医療の機能を回復したいと思います。また、通常医療のしわ寄せを最小限にするために、コロナ専用病床の確保数を調整していきたいと思います。

 次は、59ページ目になりますが、医療従事者への支援振り返りで、宿泊費の補助をしています。また、激励金の支給、あるいは医療物資の確保などをしています。さらに従事者の精神面のケア、働き方改革が必要だと認識をしています。これを実践していきたいと思います。

 3つ目の大きな項目は、社会活動の自粛と正常化の項目です。

 外出の自粛についての振り返りです。感染拡大防止のための手として、接触後2週間の健康観察と外出自粛をお願いしてまいりました。海外への皆様、帰国の皆様方もしておりましたが、総じて外出自粛への見立てですが、社会経済活動への影響は少なくないわけです。これは全国同じようなことです。全面的な要請、自粛だけでなく、部分的な自粛要請も可能かどうかを検討できたらということを教訓として捉えています。

 その中で、学校の休業については、62ページ目以降です。このような学校の休業、再開をしてまいりました。省きますが、66ページまでが学校に関してです。67ページ目に、学校についての総括を載せています。

 県内で感染者の地域偏在がございます。先ほど申し上げましたように、南部・東部では発生していないことを踏まえると、地域性の考慮が可能かどうかということが一つあります。発生してないところでは、大都市と違って学校休業を率先して緩和することも可能かどうか、探っていく必要があろうかと思います。また、児童生徒の健康管理、学校に来ても来なくても、両方の健康管理が必要ですので、学校と家庭の連携強化というのも課題であろうかと思います。また、教育の維持のためにオンラインを活用した新しい教育スタイルの実験を始めましたが、それを引き続き確立するまで、これからのコロナ時代ではオンライン教育をもう少し進捗するようにということも一つです。

 子育ての面ですが、奈良では幸い保育クラスターは発生しませんでした。子育てについての経緯を書いておりますが、69ページ目では、親の負担が増大したことを踏まえて、教訓にしていますが、平時からの衛生用品の備蓄や職員の感染症対応力を高めておく必要があるのではないかということです。また、子育てされているご家庭においては、地域における見守り活動への支援、子育て・DV等に対する相談体制の充実が必要になるのではないかという見立てをしています。お子様も親御さんもそれぞれストレスが発生していることは見受けられますので、家庭のストレスをどのように解消するかというテーマがあると認識をしております。

 70ページ目以降は、福祉サービスの維持という点です。福祉クラスターは奈良では幸いに発生はしませんでした。いろんな必死のご努力があったと思います。しかし、コロナ時代での新しいサービスの模索も必要かと思います。71ページ目で総括をしていますが、今後発生する可能性があると思われます、北海道などの福祉クラスターの発生経緯について勉強を始めておりますが、やはり発生が拡大するのと拡大しないのとの分岐点があろうかと思います。その際に、北海道のケースでは、認知症あるいは障害者の福祉施設などの扱い方という、深刻な課題もまだあります。関係者との認識共有、連携という言葉で書いていますが、内容は、他県の事例を研究し、奈良の福祉施設の現実を見ながら、対応についてまだ研究をしていかなければならない課題が残されていると思っています。

 72ページ目は、県有施設の開放、イベントの中止などの経緯を書いていますが、73ページ目で総括していますが、第二波の発生に備えて、休館やイベントの中止のタイミングをどのようにするかシミュレーションする必要があろうかと思います。また、イベントを中止した場合の代替サービスもどのようなことがあるのか検討が必要かと思います。

 74ページ目以降は、生活困窮者への支援ですが、生活福祉資金と住居確保給付金制度の実績を書いていますが、長期化する可能性があることを見据えて、効果的な支援策を検討する必要があると思います。その実態、第一波に襲われたときの実態把握の予算をいただき、実態を把握する調査をしたいと思います。

 経済活動の自粛・活性化の項目です。相談窓口などをして、一つは電話相談だけでは、新しい相談事項ですので、なかなか時間を要するということです。雇用調整助成金の申請相談という事例を記載していますが、新しいことに取りかかるときには時間を要する。ウェブ相談などで手間が省ける、省けないんだけど、電話相談よりも効果的な相談体制をする必要があるのではないかという点を確認をしております。

 77ページ目は、当初3月27日に、全期間無利子、無保証料の奈良県の制度融資を発表して大変な利用があり、一定の効果があったと思っています。今回、3年無利子、4年後1.2%という融資制度を設けましたが、大きな波が過ぎ去った今、このような融資に移ってもらってもいいのではないかという判断をしたところです。

 78ページ目は、事業継続への支援で感染症拡大防止協力金を出しております。一刻も早い支給というのがポイントになってくると思います。人的な体制を整えておくという課題を持っております。

 体制と県民への広報になりますが、80ページ目で、このように対策本部会議などコロナ感染拡大に合わせて対策会議をしてきたところです。また、81ページ目のように、人員を投入してきて、5月1日から、82ページ目のとおり対策専門班をつくったという経緯がございます。よくやっていただいたと私は思います。

 それから、奈良県のやっていること、十分な発信でなかったかもしれませんが、県民への広報ですが、啓発チラシやナラプラス、県民だより臨時号などで発信をしています。84ページ目ですが、感染拡大の兆しを捉えて、早期に伝達する県庁内の体制が必要。また、情報については、時機を逸することなく適切なタイミングで、県民に幅広く周知をし共通認識を得ることが必要だと思いますが、事項がまだ新しいことで、十分な認識を得られるまで至らなかった時期もあったかと思います。

 第二波を迎え撃つため、85ページ目以降、総括的なことを書いていますが、感染予防・拡大防止と医療体制拡充を中心とした戦いであったかと思います。一段落をした中で、社会経済活動と感染予防を両立をする。その上で第二波を迎え撃つ準備をするという時期に入ってきていると思います。

 ここに書いているような心構えを基本として、事例から学んで第二波の対策を検討していく姿勢で引き続き努力をしたいと思います。

 本日までの状況を踏まえて、情報共有をしたいと思ってこのような資料をつくったところです。今後ともよろしくお願いいたします。

司会:
 このほか、この場で情報共有すべき事項、確認事項等があれば、ご発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。

 それでは、以上をもちまして第12回奈良県新型コロナウイルス感染症対策本部会議を終了いたします。引き続き記者会見を行いますので、本部員の皆様はご退席願います。
 

質疑応答

 まず、新型コロナウイルス感染症対策につきましてご質問をお受けします。それから、知事より1件発表がございまして、その後、それに関連するご質問をお受けします。

 それでは、まず新型コロナウイルス感染症に関してご質問あります方、挙手いただいてお願いいたします。
奈良テレビ:
 先ほどの話の中で、国、奈良県も含めて、当初の対応に関して認識の甘さといいますか、当時は危機感が希薄だったと言わざるを得ないという表現がありましたが、これは最初に県内での感染が1月下旬に確認されて以降、早い段階から、より違うフェーズの対応が必要だったという、県の対応として少し甘いところがあったという、ご認識でしょうか。そのご認識についてお聞きします。

知事:
 当初の気持ちの持ち方は、後になるといろいろ出てくるんですけども、奈良県の場合は1月28日、全国で初めてあって、あとはずっとなかったんですね。第二波が大阪のライブでの感染、第三波が、今から思うと、大阪で感染拡大し始めて3日、5日後に始まったということが今では分かりますが、どのように感染が拡大するかというのは分からないままでしたので、今からだと、最初のダイヤモンドプリンセスの感染があって、それは東京での港の話だと。あと、中国からの感染が水際で止めてきた。ところが、ヨーロッパ経由の感染が日本へ入ってきたと今からでは分かるんですけども、そのような感染をするというのはその時点では分からなかったという意味で、日本全体が危機感が希薄じゃなかったかと思います。

 奈良県だけがすごく鋭敏にやっていたわけではないという言い方もできると思いますが、奈良県だけが希薄だったのかというと、そうだったのかどうかは分かりません。真剣に取り組んだから感染者が少なかった、そうかどうかも分からないですね。先ほどの感染状況を見ますと、地域の特性があるのが政策の努力か感染の社会活動の結果か、それぞれ今、世界中全部分からないところがあると思いますが、これからまた分かってくると思います。

 だから、このように希薄であったと表現しておりますが、どういう希薄かというようなことは、あまりはっきりしないところがあると私は思っています。ラベリングはできますが、歴史的に見るとどのようなことだったのかは、なかなか分からないところだと思います。第二波は、第一波の経験がありますから、用心は第一波よりももっと早く、慎重にできるとに思います。希薄であったという判定のほうが相対的ですけども、私はいいかと思いますのは、第一波でよかったというと、第二波も同じようにすればいいだけかとなってもいけないから、第二波は「もっと用心しようよ、勉強してという気持ちにつながるように」という願いを、前向きな願いを超えての希薄だったという表現で私は入れました。

奈良テレビ:
 ありがとうございます。

時事通信:
 現在はフェーズ2だと思うんですが、県内の新規感染者もゼロの日が続いておりますし、大阪でも低水準の日が続いており、今後、フェーズ3に引下げというのはどのような条件を見ているのでしょうか。

知事:
 今、フェーズ2なんですが、フェーズ3というのは全面解除というようなイメージです。フェーズ3からフェーズ2に戻るというよりも、フェーズ2でうろうろしていたほうが実態に合っているのではないかと思っています。フェーズ3の前に、第二波が来るということで準備をしようというのが今の気持ちですので、フェーズ2の辺りで第二波を迎えるという姿勢です。フェーズ3の時期が本当に来ればありがたいと思いますが、フェーズ3は本当に自由になる社会、世界かと思いますので、フェーズ3が来ればいいですが、フェーズ2の時期が長くなるのではないかという思いがしております。

 先ほどの全面自粛はフェーズ2かというと、そうではなく、部分自粛というようなフェーズ2のランクもあろうかと思いますので、できるだけその自粛とか制限を小さくして、社会活動、経済活動を増やすことができたらというので、第一波の研究あるいは各種研究をしているところですので、フェーズ2の中をうろうろするということにしばらくはなろうかと思います。

時事通信:
 ありがとうございます。

NHK:
 さきほどの危機感が希薄だというところのご認識をもう少し詳しくお伺いしたいんですが、当時は季節性インフルエンザと同等の呼びかけにとどまっていたというようなことを報告の中では書かれていますが、感染防止を考える上でインフルエンザとは違うこの病気の特徴は、これまでの第一波を振り返る上で、知事としては、どんな点が違うのか、ご認識をお伺いします。

知事:
 コロナは非常に新しい敵です。今までSARSとかインフルはありましたので、当時はインフルエンザと同じだという人も確かにいたわけですよね。だから過剰に心配するなというような意味であったと思います。当時は、どの論説が正しいのか分からない、皆さんも分からない状況でしたので、楽観によるか悲観によるかというようなことはあると思いますが、時がたつと客観性が増すと思いますので、当初の根拠なく楽観だったのかということは問われるわけですが、いろんな根拠というのは、みんな分からないままこんな扱いだと言っていたので、教訓としては、第一波を十分勉強するという教訓は得られたわけです。コロナの様子がだんだん分かってきたというのが世界中の誰もが言っていることですので、第一波の教訓を酌み取る地域・国と、酌み取らない国・地域、酌み取れない国・地域というのは差が第二波では出てくるように思います。

NHK:
 第二波を考える上で、いろいろ個別具体的にはなるんですが、知事としては、第二波を迎えるというか、できるだけ波を小さくするために、県民にとって、この病気というのはどういう特徴で、何を気をつけるべきかと、どんなメッセージを出していけばよいと思われますか。

知事:
 そうですね、第二波を小さくするというのはどういうことかということですが、感染者数を拡大をしないと。感染拡大の経路はだんだん分かってきており、SARSとも違うと分かってきております。それと感染は一人一人うつっていく、電波みたいに遠くから飛んできて付着するわけではないということですので、感染拡大を防止する行動様式がだんだん出てきています。こういう場所ではこういう行動様式でやると感染拡大防止につながる、リスクは減少するという知見をたくさん集めようとしております。客観的な、科学的な根拠に基づかないと、むやみに恐れてもいけないし、楽観してもいけないというのが、第一波の教訓でもあるし、世界中の教訓でもありますので、賢く対応できたらという言い方も曖昧ですけれども、経験から学ぶということしか我々にはありませんので、経験をよく分析して、それを県民の皆様にもよく知っていただいて、このように考えろというのは経験に基づかないと根拠がありませんので、経験をまた学んで、このように感染が拡大したところと拡大しなかったところがありますよということを言いながら対応するというのが基本的なことだと思います。このようにすれば感染しないよというところまでなかなかいかない相手だと思います。

NHK:
 あともう1点ちょっと言うと、40ページ辺りの医療物資のところなんですけれども、今後、物資の備蓄を進めておくことが必要だというご提言ですが、当初、県のほうでの医療物資の備蓄というのはどれぐらいあったのかということと、それから今後、備蓄を進めていく上で目標の数というか、そういうものがあれば教えていただけますか。

知事:
 物資は、先ほどちょっと申しましたように、逼迫して、もう足らないというまでは、幸いに至らなかったということでありますが、やはり工夫をしてやっていただいたと認識しておりますので、そういう工夫をしないと危なかったということのないように次への備えで思っています。

担当部局:
 医療物資につきましては、医療機関から随時在庫状況を報告をいただきまして、足らなくなりそうなところでアラートを発するということを、国とも連携して、システム立って調達を今行っています。今のところ逼迫しているという状況ではないんですけれども、市中に、例えば消毒液なんかは非常に今、手に入りにくい状況が続いておりますので、そういう市中の状況も踏まえまして、何が必要かというところは改めて精査していきたいというふうに考えております。

産経新聞:
 32ページなんですが、感染経路が当初不明だった人が44人いたんですけども、そのうち30人が判明しています。これは、その後の調査みたいなものをしっかりやったということなんでしょうか。

知事:
 そうです。

産経新聞:
 それは具体的にはどのような、つまり入院中に聞き取り調査をしたりとか、退院した後もちょっと追って調査をしたりとか、そういうことをされたんですか。

知事:
 そういうことですね。保健所で、どこでうつったと思いますかということを聞き取って、言っていただけない方もあったようでございますけれども、ここでうつったように思うよということを、言っていただける方を積み上げてきて、そのような事例を、私も紙と鉛筆で、アナログで調査表というか、調査・分析をつくりました。

産経新聞:
 知事自らなんですか。

知事:
 自分でやった。皆忙しかったけど、私が一番暇だったからそのときは、作業的にできたので、その調査原票をわっといただいて、70名ぐらいのときだったかな、わっとその2週間の履歴がこうあるんですね。このうつったのはこの辺りだ、この日辺りだということを推定して、これは大阪の勤務地じゃないかと推定をするわけなんです。それは臨床推定じゃなしに臨床前推定だから、私のような者も社会的な勘でできる。それを元手に、このような分析をした。それは元のデータが、保健所の行動履歴データが必要なわけなんで、これは個人情報でありますけれども、それを分析してこのように判断したと、推定したという実績があります。

産経新聞:
 答えていただけなかった人が6名しかいなかったということですか。不明が6人というのは、答えてくれなかった人が6人という。

知事:
 僅かでもおられたとは聞いておりますけれども。

担当部局:
 答えていただいた方が全部分かっているとか、答えていただけないので分からないというんじゃなくて、答えていただいても結局、外出ほとんどしてないとおっしゃるような方もいらっしゃるので、そういう方は、そしたらどこでうつったんかというと、やっぱり推定しようがないですね、それ以上は。また、2週間ぐらい調べていますと、もう覚えていらっしゃらない方もおられたりしますので、必ずしも答えていただいたら全て分かるというものではございません。

 それと、感染者が判明した時点で発表しているときは、疫学調査をやっている最中ですので、その時点ではまだ調査中なんで判明してない方が多いですが、その調査を進める、いわゆる聞いていくことを進めていくことによって、先ほど知事が申し上げましたように、感染経路を推定しているところです。

産経新聞:
 例えば、特定できずが8人おられますが、これは聞き取り調査をし、いろいろ振り返っていただいたんだけども、大阪なのかどこなのかということが判別できない、そういう人ということになるわけですね。

知事:
 この不明は、ほとんど家にいたんだけども、しかし、誰か前に来ないとうつらないんですよね。例えば、おばあちゃん、誰か来たでしょう。訪問介護士が来たのとか、それはあれば分かるんだけども、それすらも分かんない人が6名おられますよと。上の、特定はできないけど、買物に何日行ったよというのがあると、それしかないならば、買物の場所でうつされたかもしれませんねというので推定したと。どこでうつったかというのは特定できませんが、お出かけをしました。美術館に行ったとか、行動履歴が分かっている方が6名ほどおられました。家族で感染者がいらしたときは、家族ということで特定してもいいかもしれないんだけども。

担当部局:
 特定できずというのは、推定はしています。ただ、完全にこれだという特定ができないので特定できずとしていますので、推定さえできない方が6名ということになっています。

産経新聞:
 じゃあ、もうかなり調査をされたのかなと、なかなかすごいなと思います。

 話は変わりますが、8ページなんですが、近畿の感染者の増加状況というのが出てまして、これを見ると、4月に入る頃から上がっていってるわけですけども、今日、大阪で分析の発表があって、吉村知事が、3月下旬にピークアウトしたと考えていると言っていたようなんですが、そうすると、グラフが右肩上がりになる前にピークアウトをしたということになるんですけども、その辺の分析について知事はどのようにお考えですか。

知事:
 3月下旬にピークアウトという情報があったんですか。

産経新聞:
 ニュースで見ただけなんですが。

知事:
 それは存じませんでした。これを見ると本当かなと思いますけど。

産経新聞:
 そうなると、やはりその感染者が出たという以外の何かほかの兆候を何かないと、なかなかつかめないのかなという気もするんですけど。

知事:
 ピークアウトを3月下旬にしたというグラフにはなってませんね。

産経新聞:
 そうですね、ええ。その辺の分析はまだされてないということですね。

知事:
 だからコメントありません。

産経新聞:
 ああ、分かりました、はい。

朝日新聞:
 第一波との戦いを振り返ってということで、抽象的な質問ですが、奈良県としてこの施策は金星だったなとか、よかったなというのと、逆にここは反省だったとか、タイミングが遅かったなど、よかった点と反省点、1つずつ教えてもらえませんか。

知事:
 そうですね、第一波を振り返るということは検証しようということですので、検証は次に備えるために失敗がたくさんあったほうがいいんですよね。これも、結果が悪かったからというのではなしに、ああすればこうなってたかということがあればよかったと思いますね。そういう観点で言えば、最初に書いてあることでもあるんだけども、PCR検査を絞ってやったんですよね。重症化予防の国の基準がそうなってたからという、それは保健所がそのようにしたんだけれども、県の保健所が保健所にあらずみたいな感じはしました。だからPCR検査をもっとたくさんすればいいというものではなくて、感染拡大防止にPCR検査を使うという発想がまだ十分じゃなかったと。今でも各地域全部がそうなっているかどうか分かりません。感染症法というのは重症化予防のために使うというので、今日も知事会で誰かが言った、隔離という言葉は感染症法はないんだといって、知事でも隔離というのは大事だということを言う人が増えてきております。隔離するには判定を早くするということがありますので、検査対象を拡大するのに大きな賛同がある地域が増えております。

 その反面ということになりますけども、当初、検査対象を国の基準に、国のせいにするというわけじゃないんだけど、「誤解」をして、国は後で誤解をしてやったんだと言ったもんだから、「誤解」をしてというかぎ括弧つきで言いますけれども、重症化予防のために絞ったというのは反省点だと私は言いたいと思います。それは、しかし、途中から拡大しよう、拡大しようと言い始めていたんですけれども、それがその時点でだんだん拡大してきて、このPCR検査というのをどんどん増やしてきて、その波が抑えられたと見えるかもしれませんし、よく分かりませんが、しなかったらもっと増えていたかもしれないというのは、それは分岐点分析になるわけで、絞っていたらどんどんどんどんあふれて感染拡大が増えていたんじゃないかと想定いたします。感染拡大の防止のためにPCR検査を使う。

 奈良県でよかったことは、その関連では、判明した人を全員入院させられたことだと思います。これは自宅療養で死亡された方を非常に悲惨な例と挙げるならば、そういうことは起こらなかったという。それは感染拡大防止にもつながったと思います。全員入院できたというのは、一波目の対応ではよかった。二波目では、それを堅持しようと思います。

 しかし、感染拡大はPCR検査をどんどんしてでも入院の容量は確保しようということですので、十分な容量が必要だと覚悟しています。大きく印象的なのは、その二つですかね。

朝日新聞:
 それは、やはり感染者を全員入院させることができたというのは、その医療機関と連携がうまくいったという認識ですか。

知事:
 そうですね、医療機関が、やはり県立医大と総合医療センターが早く、それと保健所機能が大事だったと思います。保健所は非常にあっぷあっぷだったと思うんですけど、よく頑張っていただいたなと思うんです、相談からPCR検査まで。しかし、もうぎりぎりだったように私は思います。入院につなげるということであれば、医療が感染症病床を整備して、それで対応してくれたと。感染症病床が、何ページ目かにありますけれども入院の78%まで、病床64床のときに78%まで迫ってきたと、空きが少なくなってきたというのは一つの危機的な状況だったと思います。そこから病床を増やして、また一方、感染者が減ってきて、退院者も増えてきてというので、病床が100を超える、要入院者が病床数を100超えることはなかったという結果になったということ、危ないときもあったと認識をしています。

朝日新聞:
 ありがとうございます。関連して、この今回のコロナの問題をめぐっては、各自治体の首長の情報発信の姿勢とか、その力というのも問われた、注目されたと思うんですけど、知事ご自身のこのコロナ禍での情報発信について、どう振り返っていますか。

知事:
 私自身、情報発信はまずいキャラですから、発信力がなかったかと、今でも思いますけれども、また皆さんと協力して発信力が増すようになればうれしいことです。

朝日新聞:
 うわさによると、知事は最近、最新型のスマートフォンを購入されたとか。

知事:
 あれは連絡の名簿づくりで役立てています。

朝日新聞:
 これを機会に、例えばSNSを始めるですとか、それを使って県民に直接訴えようとか、そういった考えはないですか。

知事:
 あまり得意じゃないですから。こんな資料を作るのは好きだけど、資料はなかなか発信しにくいでしょう、これだけの資料を大変だと思います。しかし、これは後に残りますから。後に残る資料を作るのは大事かと。私流儀だと、発信力は弱いけど、記録力は多少あると思っています。

朝日新聞:
 もちろん資料の作成と保存というのは、大変大事なことだと思うんですけど。

知事:
 後になるとね。

朝日新聞:
 もちろん大変大事なことだと思うんですけど、一方で、県民に直接訴えかけるというか、そういう力も今回問われたのかなと。

知事:
 発信力が不足して申し訳ございません。

奈良テレビ:
 これからのことに関してお聞きしたいんですが、いつ第二波ないし第三波がやってくるか分からないという状況の中で、先ほどの振り返りの中で、奈良は特に隣接する大阪との行き来に関して、その感染者数の推移に関してある程度の関連性というか、見えることがありましたが、その辺りを踏まえた上で、県民に対する呼びかけとして、今後どういう生活様式を維持していってほしいであるとか、そういったメッセージをお願いできますか。

知事:
 この実績からすると、大阪関連と言っていますが、大阪の勤務でうつった、大阪のライブでうつった、大阪勤務者のご家族がうつされたというのが半分あるわけですが、大阪勤務をやめて自粛しろとはなかなか言えないですよね。だからどのようにすればいいか。大阪でも、その勤務地で発生しないように努力をしていただいていますので、それは大きなこと。奈良の勤務地でうつらないように、奈良県の知事として一番大きなことは、奈良県での二次感染。奈良で独自に発生したウイルスではもちろんなく、どこかで発生してみんなうつってきたわけです。奈良は、直輸入は大阪からが一番多かった。クルーズ船輸入というのもあったんですが僅かですので、例えば大阪にお父さんが勤務しても、家族にうつさなかったよということがもしできれば、奈良としては、奈良の大阪勤務者の家族は、家族感染ゼロということになればうれしいなという目標が一つあります。

 しかし、家族感染を防止するというのはなかなか難しいことですし、感染しても判明するまでに時間がかかるので、判明前感染って家族の場合はあると思います。うつった場合とうつらなかった場合を分析して、このようなご家族はうつらなかったというと、接触しないように、声をかけないように、家族内交際、会話自粛というのは、なかなか言えない面があるのでジレンマになります。目標としては、大阪感染があるのは事実ですが、県内での二次感染を極力防ぐようにできたらと。大阪感染者が例えば何十名あっても、その人が奈良県内で家族も含めてうつした感染はないよということになれば、ぴたっと止まったというようになろうかと思います。

 大阪で感染しても、大阪でPCR検査を受けられると大阪に人数が計上されるんですが、奈良の住宅地だと奈良県の感染者で計上される。当然ですけどね。そのような状況の方が約30名おられたわけですが、大阪での感染防止というのはなかなか手が出ない状況ですが、そのような方が帰ってこられたときに奈良での感染防止を徹底するのが私どもの役目だと思っていますので、それをどのようにするかということは、早期発見・隔離で家族も含めて感染させないようにしましょうというのが一番大事な施策だと思っています。

奈良テレビ:
 ありがとうございます。

司会:
 それでは、これで一旦新型コロナウイルス感染症に関するご質問は終わらせていただきます。

 引き続きまして、知事から1点、発表がございます。奈良マラソンについてでございます。


「奈良マラソン2020」開催中止について
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)(pdf 128KB)

知事:
 報道資料にありますとおり、奈良マラソン2020は、今年で11回目となりますが、大変残念ですが開催を中止したいと思います。実行委員会のメンバーの書面による評決が取れまして、この決定が確定いたしましたので、本日発表いたします。

 今年の開催中止の判断理由が書いてございますが、やはり1万7,000人が集われます。いろんなところから来られますので、参加者同士の密集・密着で感染するかもしれない。それからもう一つは、準備として、ボランティアの方々が4,000人以上、また医療・救護の関係者300名以上に出てきていただいていますので、そのような方を確保するのが大変。また、奈良マラソンの時期に新型コロナウイルス感染症が蔓延しているという可能性があります。その時にやめればいいじゃないかという意見もあるかもしれませんが、準備をしてから中止するというのは大変経費がかさむ、また混乱する。募集をしてから中止を決めるほうがなかなか大変なので、今が決断時期ということです。

 また、その経費の関係では、ご協賛いただいてから中止を決めるということは、やはりまたお返ししなきゃいけないということにもなりますので、そのような観点からも今、判断しようということで、実行委員会の方々にそのような方向での決裁を回したところ、全員中止に賛成いただきました。したがって、今日、中止の発表をさせていただいた次第です。

奈良テレビ:
 奈良マラソンに関しては、知事自身が自ら号砲のピストルを打たれるなど、ご自身もずっと積極的に関わってこられましたが、今回やむを得ず中止ということで、今の率直な知事のお気持ちをお聞かせいただけますか。

知事:
 昨年度が10周年で、今年が11周年でしたので、残念です。知事になってすぐに奈良マラソンをしようと、県警のご協力を得てコース取りができました。実行委員会では、代替行事をやろうと考えていただいていますので、どのようになるか楽しみにしています。社会活動の中で、健康あるいはスポーツというのは、むしろ積極的にしてもらおうという中ですので、間隔を取って走るとか、来年の奈良マラソンに備えてもらうとか、今年でもいろいろやることがあろうかと思います。奈良マラソンは、全国すべての都道府県から来ていただけていますし、台湾など海外からも600人以上の方に来ていただいてますので、今年は残念ですが、来年は必ずできるようにと願っています。

奈良テレビ:
 ありがとうございます。


リニア中央新幹線の開業時期について
朝日新聞:
 リニア中央新幹線の件で質問させてください。静岡県の知事が、品川-名古屋駅間の、県内の工事の着工にちょっと待ったをかけていると。結果として、品川-名古間の2027年開業が遅れる見込みであると。このことについて、知事の受け止め及び奈良県の、奈良ルートの早期開通に影響が出るのかという受け止めをお願いします。

知事:
 リニア中央新幹線の静岡工区が未着工ですが、その要因の一つとなっている水問題について議論する有識者会合ができ、静岡県知事とJR東海とで信頼感が醸成できるように対話が始まったことを歓迎しています。両者とも、水は大事だということと、科学的、合理的に判断しましょうということを言っておられますので、必ず解決の道が通じると思います。信頼関係の醸成というのが一番大事かと思いますが、それも達成できると思います。フィールドが設定されて真摯に議論していただくと、水問題というのは分かりにくく、分からないところもありますが、今までも土木工事で水問題があっても、いろんなところで試掘をするなど、タックルし、その結果工事は完成してきておりますので、必ずこの有識者会合を舞台にうまくいくと思っています。

 名古屋-大阪間が遅れるかどうかはまだ分からないと思います。というのは、名古屋-大阪間の準備には別途いろんな調査ができるからです。品川-名古屋間の工事完成後、着工ということですので、そのためには、例えば環境アセスの準備などは予定どおりしていくなど、準備だけは十分してほしい、ということをまず思います。

 そうしますと、品川-名古屋間の工事が進んでいれば、その開業について多少の遅れはあるかもしれませんが、西のほうはその遅れの影響は出ないようにすることも可能かと思いますので、そのような方向での奈良県としての協力は最大限したいと思っています。事前の準備は大事ですし、JR東海さんも名古屋以東でいろんなことを学んでおられますので、西はよりスムーズにいくんじゃないかと思っています。

朝日新聞:
 分かりました。ありがとうございます。


宇陀市長選挙について
奈良新聞:
 来週、宇陀市の市長選挙、今、2人の方が出馬を表明されておられますが、それについて知事のお立場があるのか、ご感想も含めてお話をいただければありがたいと思います。

知事:
 宇陀の市長選挙。

 金剛君が出馬表明しました。宇陀の市長選で、どういう構図でいいのか悪いのかということはもちろん差し控えたいと思いますが、これも一方を褒めることになると取られてはいけませんが、金剛君は大変よくできる官僚でした。一緒に仕事をしたのでよく分かっています。市長選と関係なく思っていると理解していただかないといけない面であろうかと思いますが、金剛君はすばらしい人間だと思っています。

奈良新聞:
 今回、市長選に至る経緯、経過について、特に知事のお立場からご感想ということは。

知事:
 知事の立場から市長選に、その内面はいろいろと思うことはありますが、表立ってこれはいいなと言ったことはございません。全ての立候補者はすばらしいというのが見解です。

奈良新聞:
 特に知事のお立場として、いずれかの陣営に旗色を鮮明にされるというお考えは今おありですか。

知事:
 知事の立場というのは、ニュートラルだと思っていただくのが一番いいかと思います。市長選、市長を選ばれるのは市民の方ですので、政治意識調査もしましたが、地方政治というのはすごく大事だと思っていますので、選挙は政治意識の表現の大きなことです。

 ちょっと話がそれますが、アメリカの黒人の差別について、オバマ前大統領が、デモもいいけれども投票で行動表示しなさいという言い方をされた、これは民主主義の一つのアピールの仕方として大変印象的でした。民主主義の基本は選挙で為政者の骨格ができるということで、極めて大事な政治活動だと思いますので、宇陀の市長選に限らず、投票というのはとても大事だと思います。市民の良識というのはいつもあると信じておりますので、そのためには皆様の報道が客観的、ディープになることを常に願っています。それは今ないというわけではありませんので、念のために。今でも十分だと思いますが、さらに客観的、幅広くディープになるように。地方の政治の報道というのは、取材に行くのがなかなか大変じゃないですか。奈良新聞は行けると思いますが、なかなか大変だと思いますが、大事なことだと思います。余計なことを言いました。


JWマリオットホテルの開業について
日経新聞:
 マリオットホテルが6月にもオープンすると言われていてまだオープン日は決まっていないようなんですが、出ばなをくじかれた感じで、コンベンションセンターが4月にオープンしてもうそろそろ2か月半経ちますが、知事としてあのエリア、今どのようになってほしいとお思いですか。

知事:
 マリオットもできて、ふふも開業しました。マリオットは、より大きな施設ですので、マリオットの場合はコンベンションの延期が続いていますので、国際コンベンションとの関係で開業の時期を判断するのがしんどいなと思います。ふふの場合は、開業してこの前、ふふの会長が来られましたが、ふふというブランドがあって、1週間ほど前で予約率が6割を超えているそうです。この時期で、東京からの越境移動自粛があっても6割を超えた予約率だということですので、越境移動自粛が解除されるとまた増えるんじゃないかと、言っておられました。そのようなタイプのハイエンドの宿泊施設は開業して、しかも予約があるというようなことです。

 また、違う分野ですが、9月以降の修学旅行に関連してバスターミナルの予約が入ってきています。修学旅行は、この学年で春にできなかったのを秋にしようという動きがあるように思っています。そのような動きがある中で、マリオットというのはハイエンドの国際級のホテルですので、開業が遅れている結果になっていると思います。

 全国いろんなことが遅れていますので、インバウンドの要素があるところはなかなか難しいと思いますが、今度の補正に入れました県民による県民のための県内観光振興というプロジェクトが、5億円の予算ですが、最高7割の割引率で提供するということで、それがあるから開業されるということはないかもしれませんが、ふふなどのいろんないいところは、その7割引で県民の方が県内宿泊に行っていただければという試みですので、宿泊施設の食事でも7割近く割り引きますよという県の補正予算の内容です。マリオットでは、そのようなことがあれば活用しようかという話はまだ出ておりませんが、できることになれば、足元需要、足元消費の吸収になればということです。しかし、キャパシティーが大きいですから、足元需要でいくんだろうかという懸念やご判断はあろうかと思います。

日経新聞:
 19日にオープンするんじゃないかという情報があるんですが、まだ決まってはいないんですね。

知事:
 決まっていない。

司会:
 それでは、これで記者会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。


 
(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集し、質疑テーマごとにまとめています。)

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