司会:
それでは知事定例記者会見をはじめさせていただきます。
本日、発表案件は3点です。1点目、新型コロナウイルス感染事例発生を受けての県民への注意喚起につきまして。2点目、馬見丘陵公園の馬見ひまわりウィークの開催につきまして。3点目、東アジア地方政府会合につきましてです。
3点続けて、知事からご説明申し上げます。よろしくお願いいたします。
知事:
では、報告を始めます。
《資料》
最初の、感染事例発生を受けての県民への注意喚起です。お手元の報道資料の2ページ目に、これまでの6例の事例を書いております。これは感染経路を推定探索をしております。判明したことは、98例目の勤務病院ですが、看護師さんからの感染かもしれないのですが、看護師さんはじめ、ほかの方はみな大阪でうつされている方ばかりですということを報告申し上げます。
今日の注意事項の一番の要点は、大阪に行くのを自粛してくださいとは言いません。行ってもいいけど、うつらないようにして帰ってくださいねというのが、注意をしたい要点です。大阪でどのように感染したのかということを調べるのが、今の作戦です。大阪で感染されたのが、少しずつ分かってきています。大阪のどのような場所で時間を過ごすと、うつされる確率が高いかもしれないということです。
本人の名前などは匿名ですが、この6名のうちの2例目の生駒市の男性は、近大奈良病院の看護師さんですが、大阪市内で会食と書いていますが、6月27日から28日に夜通しで13名ほどでパーティーをされたということが分かっています。夜通しのパーティーでうつされたのではないかと推定をしてます。大阪でも13名のパーティーの方は濃厚接触者になりますのでPCR検査をされていますが、そこで陽性と判明すれば、このパーティーでの感染が濃厚となります。そのように絞って特定していくという手法を大阪と共同で行っています。この夜通しパーティーが、夜通しパーティー・クラスターということになります。
97例目になりますが、この方は同じく近大奈良病院の看護師さんです。94例目の方と同じ病棟に勤務されているので、その方からうつされたかと最初推定していますが、そうでない可能性もあります。6月23日に同僚の看護師4名で大阪に出かけて、大阪市内のカラオケに行っておられます。このカラオケが4名だけの個室であればうつる可能性は少ないかと思いますが、現在のところはまだ不明です。大阪に4名で行き、他の場所に行ってうつされた可能性もありますので、大阪に行った場所のどこでうつされたのかということを、追及をしております。
なお、本人を含む4人ですが、濃厚接触者であることで、最初の方の病棟でPCR検査を開始しましたが、2例目の方は違う病棟に勤務していますので、その病棟でもPCR検査を開始をしようとしています。そのような事例ですので、病院全体をPCR検査をかけるようにと指示したところです。
特筆できるのは、そのように感染経路の推定作業をして、なるべくその危ないところ、危ないパターンをお知らせして、用心をするようにということを始めているところです。大阪での夜通しパーティーとかカラオケ、あるいはそのほかの行動というのは、不明なところがありますが、探索をして、用心してくださいというケースに使っていきたいと思っております。
その上で、ケースに応じて注意をしていただくというのが、次のページに書いています。その事例では、本日出しました事例の、95例目になりますが、王寺町在住の会社員の方は大阪市内で勤務されていて、ほかの感染推定場所がなければ勤務先でうつされたかもしれません。勤務先で発症事例があるので、大阪の方にも濃厚接触者がいるかもしれないということで、大阪の保健所にお知らせをし、PCR検査をしたらどうですかという連絡を取っていますが、その勤務先でうつらない、うつさせられないためには、勤務先でもこのような注意があるとリスクが軽減されると思います。
また、その次の、第1例目、93例目の生駒市の10代の女性ですが、この方は大阪市内の飲食店でアルバイトをされていた方です。飲食店がどのようなお店なのかが分からないですが、発症からPCR検査結果の出た前日まで勤務されていたと報告を受けています。どんな勤務をされていたのか、また大阪での買物などもされていますので、どの辺りを行動されてうつされたのか分かりません。買物がうつされた一つの行動パターンとも推定されますので、大阪に買物に行ってもいいですが、うつらないようにマスクの着用とか、直接手渡しを避けるとか、素早く買い物を済ますなど注意をする。買物は素早く済まさないのが楽しいらしいですから、なかなか素早く済ませなさいとも言いにくいのですが、接触を極力避けられるような買物をされたらとお勧めします。
3つ目は、飲食店でうつらないために、従来から言われている三密にならないようにということです。飲食店は幅広いですから、夜通し営業している飲食店もありますし、昼間だけの飲食店もあります。飲食店でも、陽性者の方と会食したがためにうつったと思われるケースもあります。飲食店でうつった可能性が高いというケースも推定できますので、飲食店へ行った場合には、大人数ですとリスクを下げるような行動パターン、たまたま陽性者がまざっておられる、その方が隣でこちらを向いて話をしたらうつったというケースがあり得るわけです。知らない人が話しかけてきたら横を向くとか、ちょっと待ってと言うとか、そういうことだけでも随分違うと私は思います。大阪で飲食されてもいいですが、うつされないように奈良県民の方は注意してくださいねとお伝えします。大阪でうつっても奈良県のPCR検査で陽性者にカウントされますので。また、家庭内感染がこれまでの90例では多かったわけです。帰宅後にご家族にうつされるというケースがありましたので、帰宅後はうつさないような注意をしてください。
それから、94例目で大阪市内でうつされた方ですが、近大奈良病院でうつされたかどうかはいまだに不明です。病院内でうつしたかどうかも不明です。しかし、十分あり得ます。98例目の近大奈良病院で、仲間の1人にうつし、あとの仲間の方も濃厚接触者なので、今、検査をしておりますが、間もなく今夕ぐらいには陽性・陰性の結果が出ると思います。するとそのお二人が同じ経路でうつした、うつされたんじゃないかということが推定できるわけですが、近大奈良病院でうつしたかどうかというのがクラスターをおさえるための作業ですので、うつしたかどうかの追跡作業を開始しているところです。勤務先でうつさないというエチケットをしてもらうと随分違います。昨日は大阪で徹夜で遊んだけれども、奈良に帰ったときはうつさないように心がけよう、ちょっと休もうかというのは望ましい行動パターンだと思っています。また、症状が出るのが遅いので、遊んだら元気が出た、元気になったから職場に行くというのはむしろ避けていただき、 危ない場所に行って帰ってきたという自覚があれば、場合によっては休むとか、検温して行くとか、手洗いをして会社に入るなどということをしていただければと思います。
症例の感染経路推定と注意事項をなるべく結びつけてご紹介していくようにしたいと思ってましたので、発表させていただきました。
《資料》
2つ目の発表資料でごすが、花ごよみ「馬見ひまわりウィーク」の開催です。
既報ですが、先ほど大阪に行っていただいていいんですよと言いましたが、気をつけて行ってくださいねと。その反面、奈良の社会活動はしていただいていいですよとお勧めします。自粛というのを全面自粛から、危ないところはそれぞれ気をつけて、お互いに危ないところは発見して共有しましょうという作戦に切り替えております。その中で、行っていただいていいとお勧めできるのは、この「馬見ひまわりウィーク」のようなオープンな場所です。7月23日から8月2日まで開催します。
この表紙の写真は、インスタグラムキャンペーンと書いていますが、募集したところこのようなきれいな写真をインスタグラマーからいただいたものです。2ページ目の一番下に、電動カート園内移動支援というのを始めました。高齢者の方がこの長い馬見丘陵を歩かれるのに、夏は特に暑いよという方がおられましたので、電動カートを1回300円、子供は100円で、30分ゆっくりと園内を運行するということを始めました。宣伝になって恐縮ですが、2つ目の発表案件です。
《資料》
3つ目は、第11回東アジア地方政府会合を、今年の11月4日から6日にインドネシア共和国西ジャワ州のバンドン市で開催する予定でしたが、テレビ会談か、現地開催か、あるいは延期かということをインドネシア共和国の西ジャワ州と事務局である奈良県とで協議しておりましたが、(西ジャワ州から)延期をしてでも現地開催をしたいという強い希望がありましたので、当初の予定を1年程度延期して現地開催をすることになりました。本日発表させていただきます。
バンドン市は、皆様ご存じのように、当時の(インドの)ネルー首相あるいはインドネシアのスカルノ大統領など、第三世界と言われた国々の会議である、バンドン会議の舞台になった場所でございます。東アジア地方政府会合を開くのに大変ふさわしい場所だと思っております。1年延期になりましたが、バンドン市で開催するということを報告させていただきます。
私からの報告は、以上でございます。
質疑応答
朝日新聞:
新型コロナの関連で、書いてあるとおり38日ぶりの感染者が確認されて、毎日数人程度感染者が出ていますが、知事の認識として、これは第二波が奈良県にも来たという認識でしょうか。
知事:
第二波というのをどんなふうに見るかですけども、第一波は最初来て、しばらく間があって、また、一波の余震みたいなのがあったんですね。その第一波の増高したのを第一波と呼びたいものですから、最初の余震を第一波とは呼ばないとすれば、これは第二波ではまだないと思います。これからもう少し間があって、ずっと関西、大阪が伸びてくると、その数日後、奈良に伸びると。先ほどの行動パターンをご紹介いたしましたが、大阪で発生していないと奈良の人は発生しないという構造になっていると思いますので、大阪に第二波が来ていないのに、奈良に第二波が来るわけはありません。大阪は第二波と言っておられるんですか。だから、定義上みたいな話になりますけども、第二波じゃないと定義ができると思います。
ただ、この第二波の前哨になるかどうかは注視をしております。第一波の波型は、最初にひたひたと来て、しばらくたって、ぐっと上がった。その期間がもっと短くなるかもしれないと思っていますが、津波でもそうですが、本当に第二波が来たのかというのは、これはずっとその波が高くなって初めて第二波かもしれないと思われるので、この最初で第二波かと言われてもちょっと戸惑ってしまいます。第二波とは定義しないほうがいいだろうというのが今の返事です。
朝日新聞:
第二波と定義できるほどの人数ではないということですか。
知事:
この波が高くなっていないから、それは第二波と奈良では呼びませんよと。大阪は呼んでおられるんでしょうかと。大阪で呼ばれないのに、奈良で呼ぶわけはないですよと、そう思っています。
朝日新聞:
分かりました。第二波ではないということで、外出自粛や休業要請は行わない、フェーズも引き上げないのでしょうか。
知事:
第二波が来ても、休業要請とか全面自粛はしないつもりです。
朝日新聞:
しないのですね。
知事:
今みたいなやり方をするということです。第二波が来たとしても、限定自粛という形でできるだけ頑張っていきたいと。第二波というのは、想定、ものすごく大きくなれば、相当の自粛、大規模自粛ということはあり得ると思いますが、限定自粛でできるだけ頑張っていきたいと思っています。
朝日新聞:
限定自粛というのは、具体的にどういうことを想定しておられるんですか。
知事:
今日言ったみたいなことですね。
朝日新聞:
感染防止に十分注意してくださいと。
知事:
こういう場合を気にしてください、こういう場合注意してくださいという、注意報を頻繁に出すと。
朝日新聞:
じゃ、4月のようなのはしない。
知事:
それも自粛と言ってないから、まだ限定自粛に入ってないわけで、行っちゃいかんということは言ってないですから、注意してくださいねということです。行ってもいいけど、注意してくださいねということですよと。これはパターンが違ってきていると思っています。昔の言葉で、自粛かどうかとおっしゃるんだけと、いや、違う言葉でやり始めているんですよということですね。
朝日新聞:
その心は、やはり経済への影響を考慮している。
知事:
心はって、えらい難しい質問ですね。
朝日新聞:
第一波のときはしたじゃないですか、要請を。
知事:
そうね、両立が念頭にあるということはご指摘のとおりです。
朝日新聞:
ありがとうございます。
NHK:
コロナの関係で2点お願いします。まず、この7月の4日から7日にかけて陽性の方が出て、近大奈良病院に関しては、これが院内感染ということでよろしいんですね。
知事:
院内で感染されたか、大阪で感染されたか分かりません。先ほど説明したとおりですので。
NHK:
今、知事のお話聞いたら、そうかなって。
知事:
だからレッテルを貼らないようにと言ったつもりなんだけれども。別に皆さん方の定義によりますが、1人でも院内で、入院者が感染されたらこれは院内感染だろう、院内でうつされたという定義をすればね。看護師さんは、院内でうつされたのかって、これから出るかもしれない。持って帰った人がうつしていたら、これは院内感染、これはクラスター的だと、こう言うんですけど、それは今、PCR検査にかけていますので、そのうちわかると思います。この今日の事例でいえば、2人の看護師さん、最初の人は絶対院内じゃないわけですね、外からうつされたように見受けられます。それが二次感染でうつされたのかどうか、ほかの同僚にうつされたかどうかは、もう少し見るとすぐわかってくると思います。
それも院内感染というのは何か恐ろしげに言われますが、その量にもよりますよね。50人いて30人うつったというのと、50人いて1人、2人うつったというのと、全然意味が違います。それを同じように表現するのはちょっと雑駁(ざっぱく)だなと私は思っていますが、院内でうつされたという言葉の定義から言えば、この入院者の方は老人でおられるし、入院されていますので、その入院者が外に行ってうつされて帰ってきたという証拠がない限り、院内で誰かからうつされたんじゃないかということを強く推定しております。もう少し、その病室に出入りされている方が陽性者ということが確認できたら、その人が院内でうつしたんじゃないかということを強く推定できると思います。
だから3人発生されて、まだPCR検査の結果が出てくると思いますけれども、今の時点での2人は院外でうつされたようですということを繰り返し言っているわけです。1人は院内でうつされたようですと。1人ですから、それをどうおっしゃるかというようには、皆様にお任せします。
NHK:
感染者のレクのときに院内感染ですというご説明があったので、今、知事の話を聞いて、あれ、じゃあこれ院内感染じゃないかもしれないなと思ったので、すみません、ここで確認をしたかったんです。
知事:
ああ、趣旨がよく分かりました。失礼しました。
担当部局:
知事が説明されたとおりで、看護師さん、昨日まで公表している中では、94例目、97例目の方が看護師さんです。この方がどこで感染したのかは明確に分からないわけですけれども、98例目の入院患者さんは、入院時はPCR検査して陰性で、入院中に陽性になっていますので、この方は院内感染であると推定というか、可能性が高いと考えております。
あと、先ほど知事が説明されましたが、もう一例、99例目の方、本日発表予定の方ですけれども、看護師さんがもう一名感染が確認されています。この方は別の病棟で勤務されている方ですので、その病棟についても検査をしていくということと、病棟だけではなく、病院全体をしっかりと今後、検査していきましょうという方針を知事が説明されたということです。
NHK:
やっぱりその病院全体をPCR検査するというのは、とにかく感染源を明らかに、経緯を明らかにするということが目的であるということでよろしいですか。
知事:
そういうことです。病院のほうは、どこからかうつされて帰ってきた看護師さんが1人いても、その行動パターンで非常に広がる可能性のある職場です。入院患者さんあるいは外来患者さんと接触が濃密で、かつ頻繁ですので。また、仲間とそんなに遊びに行っていれば、余計うつってしまうと。仲間間感染もあり、職場での仲間ではなしに遊びの仲間での感染もありますので、それは必ずしも自粛の対象にはならないと思っていますが、気をつけてくださいねという対象にはなると思っています。そういうケースをなるべく明らかにして、そのように気をつけていただければ行動をなるべく自由にしてくださいねというメッセージ、繰り返しで申し訳ありませんが、そのように注意を発していきたいと。
だからそのときに、先ほど院内感染ですかというのを、狭い意味の院内感染ということであれば、98例目の方は、院内での感染という意味での院内感染ですと。クラスター的にばっと広がるという、日本語は両義がいつもあります。院内感染イコール、クラスターかというと、まだそこまでいってないんじゃないか。繰り返しみたいな返事ですけれども、そのうち、もう少し広がって、99例目のご紹介ありましたが、今日中にまたその後の検査の結果が出てくると思いますので、広がってくる可能性もあろうと思いますので、またどうぞご自由にご定義ください。
NHK:
あともう一つ、大阪に行ってもいいけれども、うつらないためのそういう注意を十分してくださいという、そのメッセージはよく分かったんですが、今、東京のほうでも毎日100人を超えて感染者が出ているんですが、例えば首都圏との行き来はどのようにお考えかということと、逆に、例えば大阪や京都から奈良にお越しになる方も結構これから増えてくると思うんですが、そういった方たちへも、やっぱり注意をしていただいた上で、奈良で楽しく過ごしていただいたほうがいいんではないかと思うんですが、その逆向きの皆さんへのメッセージ等ございましたら教えていただけますか。
知事:
一般的にはおっしゃるとおりなんですけども、それを言うと、東京に行っちゃいかんのかと。自粛という言葉を国が発して、往来自粛となり、行っちゃいかんのかという心理状況が発生いたしました。奈良県のやり方は、こういうケースがありますので、こういうケースを基に注意をしてくださいねと個別ケースに基づく注意をしております。そういたしますと、東京に行ってうつされて帰ったというのは、前回の第一波の流れでもあんまりないんですよね。大阪をケアしていれば、ほとんど推定ができるような奈良の状況なんです。
東京に行ってきたとか、東京の方が地方の居酒屋で発症したと。奈良では、お客様からうつされたというケースがないんですよね。だから具体的な例に基づいて注意のしようがまだないということです。具体的な例が出れば、こういうケースがありましたので注意してくださいねと。東京の感染者・陽性者が奈良に来て、居酒屋に行って帰られるということもあるかもしれないし、ホテルに泊まられるということはあるかもしれないけども、その方は行動パターンか、どこでうつしたのかって、これはなかなか分かんないんですね。
ところが、奈良でうつされた方というのは、東京から来た人からうつされたのか、近所の人にうつされたのか、大阪でうつされたのか、行動パターンから判断するしかないんですけれども、勤務先のご職業柄で、大阪の方もたくさん来る飲食店で働いていますということだと注意しなきゃいけませんねと。だんだんグレーの推定ができたら、そういう可能性もありますから注意しましょうねと、このようにしていきたいと思いますが、そういう事例が発生しないと、どんどん来てくださいとも言えないとはおっしゃるとおりですが、行っちゃいけませんね、来てもらっちゃ困りますねというところまで強い指向性を持った発信はしなくていいのかなと思っています。
これはやり方なので、いろんな見方あると思いますけれども、奈良県は、発症すれば具体的事例、県民の方がうつされたりうつしたりした、そういう事例をなるべく深く推定をして、そういうケースはこのように用心すればある程度感染リスクが下げられますよというような注意報をできるだけ重ねていきたいと思っていますので、今のご質問の、東京からはどうかというのは、一般でいろいろおっしゃっているレベルと同じですという程度の返事になるかと思います。
産経新聞:
先ほどの知事のお話で、院内で感染したと考えられるのが98例目の方1人ということなんですけれども、今回配布いただいた資料にもある、勤務先でうつさないための注意にあるような、手指消毒だとかマスク着用など、恐らく看護師の方は一般の方よりもはるかに徹底されていると思うんですが、その中でも恐らく感染してしまっただろうというところから、今後病院内での感染対策について、新たに、別途指導をされたり、指示をされたりということはありますか。
知事:
そうですね、第一波の全体、90例発生した中では、奈良県は医療機関と福祉施設について、いわゆる多数感染は発生しませんでした。これは施設で十分いろいろ注意されてきたおかげだと思って尊敬しております、よくやっていただいたと思っています。この近大奈良病院が最初のクラスター発生になるかどうかというのは様子を見なきゃいけません。クラスター予防はいつも注意をしておりますが、一般的な注意に加えて、こういうふうに入院患者がうつされましたよと、特段注意する事項があるということを発見されたら、県としてはもちろん情報共有してお伝えしたいと思っています。今まで病院ではいろんな工夫をして本当に注意をしていただいておりますので、それで十分かどうかというのはもう、前線で必死で注意されていることはよく分かっております。大変なんですが、それに県が付け加えるほどのノウハウとか知見は正直言ってまだ持ってないという感じです。現場の緊張感はすごいものだと思いますので、今のところそれを信用して、お願いしますねといったような姿勢を取っています。
県が今やっていますのは、院内での感染があったときには、どういうケースでうつしたと、看護師さんが病棟をいろいろ回っていたにしても、推定ですけども、うつされた患者さんとうつされない患者さんがいるわけですので、それはどういうふうにケースが分かれたんだろうかということを探索したいと思います。こういうことに気をつけたら、全員に、その院内の人に、その病棟の人に感染者が発生しないというわけでもないわけで、クラスターになると、その階全部感染したよとか、そういうのがクラスターの典型でありますけれども。ぽつんぽつんとこう、またさらに病棟が分かれて、もし入院患者さんに陽性が出たときは、どういうことでこの病院では病棟が分かれて発生したのかということを探索しないといけません。それは病院でもされると思いますが、我々は陽性者を判明させるという役目がありますので、陽性者の判明から跡をたどって、どういう行動パターンだったからこういうことになったかもしれないという、全て推定の領域になってしまいますが、その推定から得られる教訓を情報共有していくという作戦ですので、それで分かったことで納得できることがあれば、積極的に各病院に言っていきたいと思います。一般注意よりも個別注意のほうが、分かったこと、根拠がある注意のほうがやっぱり心に染みるのが通常ですので、そのようないい情報が収集・分析・開示できるように努めていきたいと思っています。
産経新聞:
ありがとうございます。あと1点だけなんですが、先ほどから知事がおっしゃっているように、この看護師の男性や女性が、院内でうつされたかというのは分からないと。大阪でうつされた可能性も十分にあるということなので、もし今、一応この病院関係者としては4例目、99例目まで発表いただいていますけれども、5人目が出た段階でクラスターとは言えないということでしょうか。
知事:
それもクラスターの定義になります。クラスターはブドウの幹みたいだから、このウイルスは一人一人しかうつっていかない、その幹が束になっているというのがクラスターと、こういうことです。先ほどのNHKさんの、院内感染ですかと。院内感染って何かこう定義が、レッテル定義があるような、クラスターのレッテル定義。クラスターは、院内感染でも、大の院内感染、小の院内感染、クラスターでも、大のクラスター、小のクラスターというのがあるように思います。私は詳細な報告をさせていただくのがいいかと思いますので、ちょっとうっとうしいぐらいに、これはこういうケースですよと実証的な数字で申し上げていますけども、数の面のクラスター、これだけ日本語で訳すと多数感染という訳、クラスターは幹、枝、ツタです。多数感染という型から言えば、多数と言えるのかどうかということはありますが、具体的に2名感染した、3名感染したというのを言っていただくのがいいかと思います。
実証的に報告しておりますので、それにラベリングされるのは皆様のお仕事ですが、それがこのラベルがいいかと聞かれても、すぐにはうんと言わないのが風習です。私の、1名です、2名ですということを聞いて、ご担当の方、見出しででもご判断をされるのが通例でありますので、その領域に入ると何とも言えませんが、私からはクラスターと言えるかというと、2名看護師が、大阪でうつされたらしい看護師さんと、院内でうつされた人が1名いる状態で、普通は言わない。県では言いません。
産経新聞:
ありがとうございます。
共同通信:
第11回東アジア地方政府会合の開催延期について、知事の受止めを改めて教えてください。
知事:
東アジア地方政府会合は11回目になりますけれども、分科会等は韓国や中国でしたことがあり、本会合は一度、成都市でしたことがありましたが、そのとき初めて成都市に行って大きなまちでびっくりしました。(海外開催の)2回目がこのバンドン市。しかもまちの規模からすれば、奈良県、奈良市と全然違う規模のところで、東アジア地方政府会合という冠があるので、そういうことをしていただくのは大変名誉なことです。成都市は人口1千万人以上ですが、もう行ってびっくりしました。バンドン市も数百万じゃないかと思いますけれども、大きいところでということでびっくりしているわけではないんですけど、由緒あるところでということで、主催していただく西ジャワ州の知事は、インドネシアの大統領候補にもなっているという有力な政治家だと聞いておりますので、それも名誉なことだと思っています。マルチの地方政府の国際会議という、東アジア地方政府会合の趣旨をご理解いただいている方が増えているように思っています。
それが延期されることは残念ですけども、(西ジャワ州から)現地で開催したいというご意向が強くありましたことに感謝をしております。ぜひ1年遅れでも、成功させることができたらと思っています。ご質問ありがとうございました。
朝日新聞:
九州の大雨について、県としてのDMAT(災害派遣医療チーム)、あるいはDWAT(災害派遣福祉チーム)の派遣状況を教えていただけますか。
知事:
私が今日まで聞いていると、DWATはまだ行ってないと思います。DMATは既に行っているという状況です。5名のDMATが派遣されているとに聞いております。
朝日新聞:
DWAT、昨年できたばかりで活用の機会かなとも思いますが、今後派遣される考えはありますか。
知事:
災害派遣は積極的に、お求めがなくても行くようにということは、県の方針としてもう何年も前からとっております。要請に応じて、東日本大震災のときからですけども、役に立つようにという願いは当然入っていますが、役に立たなくても行って、こちらとしては、奈良県は災害が少ないわけですけども、災害現場を見て、奈良で災害が起こったときにその経験を生かすようにという願いを込めて送り出しています。
それを逆に取られて、勉強のために来てるのかと誤解されては、勉強のためだけではございませんと、助けに少しでもなるように。しかし、レベルがいろいろあると思いますので、直ちに現地でのチームに溶け込んで獅子奮迅の活躍とはいかないのが普通ですので、まずはお邪魔にならないように、少しでも役に立つようにというのが、DMATであろうと、派遣チームの鉄則だと私は思っていますけど、その上で勉強して帰るようにと思ってきておりましたので、そういうエンボイ(使節)は積極的に今後も派遣するという気持ちでおります。
朝日新聞:
つまりDWATの、福祉とか心理的ケアのほうのチームも積極的に派遣していきたいと。
知事:
そうですね、DWATも同じようなセンスでですね。ただ、DWATはなかなか現場が難しいところもあるので、現地ではコミュニケーションのこともありますし、いろいろ事情もあるので、ぽっと行ってすぐにできるかどうかという点が課題だと思います。片づけや単純なものはいいですけども、すぐに福祉に入ってNPOがわさわさされて多少混乱が生じるかもしれませんので、DWATも、何も知らずに行くと同じようなことが発生するかもしれないということまでは心配しています。だからDWATは、何でも行きなさいという他のものとは違って、行き先ともう少しコミュニケーションを図った上で行くのがいいのかなと思っていますが、基本的にはDWATも必要だというようなことも、もしそういうメッセージがありましたら、積極的に行きたいと思っています。
朝日新聞:
分かりました。ありがとうございます。
時事通信:
6月27日の日本医師会長選で中川氏が当選しましたが、荒井知事と中川氏は地域別診療報酬をめぐって意見が対立したり、社会保障審議会医療部門で論戦を繰り広げたりしたと聞いておりますが、所感はいかがでしょうか。
知事:
ああ、医師会長選挙で。中川さんはよく知った方だけど、関係をよくご存じですね。
医師会選挙にどうこう言うことは私の立場ではないんですけども、中川新会長の印象は、私から見れば旧知の間柄というように思っています。地域別診療報酬でこういろいろ意見が違ったというのは、旧知の中の一部でありますが、もっと接触が広くて、厚生省で法律を出す案件は全て医療部会を通るということになっていますが、知事会代表として、当時の山田全国知事会長が、「荒井さん、医療熱心だから行けよ」といって派遣された経緯があります。医療部会で、私は毎回、荒井知事意見というのを紙に書いて発表していましたので、それで医師会代表の中川さんといつもやり合う間柄でした。中川さんが言うと僕が知事会代表として言い返すというようなケースがしばしばありました。論戦の好敵手というようなイメージを私は持っております。
その中で、彼はストレートに物をおっしゃるんですけど、どさんこ(北海道の方)なので、私はどさんこの方は基本的に全面的に信頼するという風習を今までの経験から持ってきておりますので、中川さんにも同じように、どさんこにしてはストレート過ぎるなと思ったんだけれども、やはりどさんこかと思うところがまだずっとあり、残っていますので、どさんこの方への信頼で、これからもし、お仕えが何かあるとすれば、そのように考えたいと思います。
地域別診療報酬でいろいろやり合ったということでございますが、多少思いを聞かれましたので述べさせていただきます。医師会で早速ほえておられるんですけども、医師会の役目として診療報酬、固定プライシング(値決め)なんですけども、国の固定プライシング、それに介入するというのが医師会全体の大きな役目であったことは間違いないと思います。今は、もう一つの課題が医師会にあるようにお見受けします。コロナによる医療機関の経営悪化という課題が発生しているように思います。この点については、奈良県の医療機関の経営悪化ということにも関係しますので、共通の課題がややあるなという感じを持ち始めております。
その中で、奈良県の医療機関の経営悪化の対処のアイデアとして、最近では特に思うんですけども、地域別診療報酬のアップで対応するのはどうかと考え始めています。
前々回の知事選で、地域別診療報酬というのがあるということが分かって、あまり上がると下げるかもしれんよということを言ったので、地区医師会で前々回の選挙では1点10円が変わる日とかいってキャンペーンをされて、ビラをまかれて、もとより弱い知事候補が大変な思いをしましたが、全国医師会のほうでどんな反応があったか分からないけど、「そのときの奈良県知事候補で荒井さんはけしからん」と言いに行ったら、中川さんが医師会の会場で、「荒井さんは言えば物が分かる人だから、私も行って話ししてやろうか」と言ったということを伝え聞いておりますので、どさんこというのはやはりどこかで通ずるかなと思ったりした、という経緯があります。先ほどの悪い関係かとおっしゃった事に対する、私から見たエピソードということになります。
地域別診療報酬はどうするか。あのときは、下げるからという、あんまり上がり過ぎると国民保険の県営化という時期です。あまり上がると保険の主催者になるから下げるかもしれないよと、その高確法(高齢者の医療の確保に関する法律)というのがあるからといったので、1点10円が物議を醸したということですけども、そのときに勉強しましたが、診療報酬は、全国報酬で一律報酬になったのは昭和38年からなんですね。昭和38年で、診療報酬ができたのが昭和18年だから、20年間、最初は全国統一、すぐに地域別診療報酬になって、甲地、乙地など、大都市と地方と分けられて。それがずっと20年間続いてきてたんですね。その後の50年間が全国統一。
私の持論ですけども、診療報酬は、地域別の診療報酬のほうがいいんじゃないかという持論が内々にございます。で、そのような後押ししたのは、高確法というのができまして、平成20年にできたんですけれども、その中の13条で地域別診療報酬の考え方が導入されました。そのときに勉強したことですけども、13条では、都道府県は、地域別診療報酬に関する意見を厚労大臣に提出することができる。14条で、厚労大臣は、他の府県と異なる定めをすることができると書いていますので、この異なる意見を言おうかと。もうほとんど宣言してもいいけども、地域別の診療点数を宣言してもいいかと思っています。
これは初めてのことなので、高確法13条の異なる意見を言うチャンスを狙っています。それは地域の医療機関の経営改善に資するということになるのでないか。そのための準備は、経営の調査を始めていると、何度かここで言いましたけれども、経営状況の調査を始めているのは実はこのためでもあったと。担当も知らないかもしれないけど、このためでもあった。調査をして、地域の医療機関のダメージ度を調べて、この高確法13条の、他地域と違う診療報酬点数にしてくれと、1点10円でなくなるといって駄目知事の烙印を押した奈良県医師会等に、1点10円でなくなるけども、11円になるかもしれない、12円になるかもしれないということを言うチャンスを探したいと思います。
そのため、7月にほかの陳情に行きますが、その陳情の中に盛り込んでいきたいと思っています。高確法の診療報酬の点数を変えるというのは、段取りも要りますので、その段取りも考えようかと思っています。せっかくのご質問がありましたので、今まで思ってきたことを若干申し上げる機会をいただいたように思います。ありがとうございました。
時事通信:
ありがとうございました。
毎日放送:
コロナの関連です。奈良は修学旅行や宿泊、観光が盛んですが、京都市が全国186の自治体に向けて修学旅行にお越しくださいと依頼文を送られたんですが、奈良県としては何らかの形で動かれていますか。
知事:
修学旅行。
毎日放送:
そうですね。
知事:
誘客の方法のターゲットとして、修学旅行は大きな目標です。インディビデュアルと言われる個人で来られるものと、団体で来られるものと。中国から団体で来られている方が奈良の最初の感染者の原因だったんですが、団体で来られるほうが安全かと思われます。その中でも修学旅行というのはより安全な団体だと思われますので、修学旅行は奈良県としては歓迎です。奈良県の感染者が発生してない地域に来ていただくのは安全でいいかなと、今の段階では思います。
また、来られたときには、公園なり遺跡なり感染しない方法でご案内することができたらと思います。また、修学旅行に来られるような若い人が感染させたことは今までほとんど例がないので多少安心はしていますが、むしろ従業員の方がうつさないようにする配慮は要るかなと思っています。
移動も、奈良は大都市ほどうつされるような危ないところはないと思うので、学生さんが行かれて危ないところはないように思います。推定ですが、うつされたかもしれない場所はだんだん分かってきて、なるべくそういうところには行かないようにご注意申し上げたいと思います。一般的な注意ではなく、気持ちが自粛するといかんので、危ないところさえ避けていただければ伸び伸びとしていただいていいんですよというように、注意の中身が具体的になってくれば、伸び伸びしつつ用心、安心して行ける修学旅行のパターンが出来上がってくる可能性もあります。奈良は、そのようなおもてなしの仕方を希求していきたいと思います。
毎日放送:
今まで宿泊メインで、修学旅行の方が来られているホテルのお話を聞くと、今の時点でもうキャンセルや延期が多くなっている中で、京都市はその文書を送って、空いている、安全だから来てくださいと各全国自治体に具体的に呼びかけているんですが、県として既に今やっている、または今後そういう呼びかけなど、何かお考えはありますか。
知事:
呼びかけだと大ざっぱになると私は思っています。行く側の方も、よく行き先の様子を調べておられるのが普通だから、呼びかけにすぐに乗られる人というのは、団体旅行は特にそうですが、あまりないように私の作戦では思っています。小まめにおもてなしをしているところは選ばれると思っています。それを具体的にすることが一番の呼びかけだと思っていますので、それをしないで呼びかけて、来てえらい目に遭ったと、これが一番悪いパターンなので、奈良はそのようなことにならないようにといつも口を酸っぱくして言ってきましたが、とにかく楽しく安全に帰ってもらう、もうとにかく帰ってもらわないと親御さんはじめ関係者の人が安心されないんだから安全に、家にたどり着くまで安全に帰ってねと言って送り出すのが旅先の、おもてなしをする旅館、観光業者のマナーだと私は思っています。これまでずっと、そのようなマナーのある奈良かどうかということをテストしてきていますので、悪いサービスをするから呼びかけろという人はもちろんいないんだけど、そういう手には乗らないようにと。
毎日放送:
なるほど。では県が修学旅行者、学校などに直接呼びかけるのではなく、どちらかというと、知事からおもてなしをする側に、おもてなしが大切だという部分を呼びかけているという解釈で。
知事:
呼びかけのメッセージのやり方が奈良県独特ですと言ってるだけで、宣伝したり、いらっしゃいとはあまり訴えない、と今までの長年の経験で分かってきています。いいサービスをすることが一番心強い呼びかけになる。こういうサービスをするところがありますよ、安心して行けますよということを旅行業者や仲介の人に言われることが一番だと、私は思っています。奈良の呼びかけの仕方についてあまり手のうちを明かす必要もないですが、そのように思っていますので、呼びかけがパフォーマンスになってはいけない、これは肝に銘じています。
毎日放送:
分かりました。奈良は、修学旅行生が訪れる先としては有名な場所ですが、やはり修学旅行生をメインにしているホテル、旅館は今、キャンセルが続いて、どこの企業もそうですが、苦境に陥っているところす。今、そのような旅館等に対する県の対策として、考えられている支援はあるのかお聞かせください。
知事:
安全な訪問先ですと言うことが一番の呼びかけになると思って、それを先ほどの感染経路の推定から必死で努力しているつもりです。安心して来てもらえますよということ。そのことをどんなメッセージで出すかというご質問でもあったと思いますが、そういうことをしないで呼びかけるのは正直言って躊躇があるわけです。これだけ安心になってきたことをちゃんと知ってほしいのは当然ありますが、旅行に行かれる方はそういう調査をよくされる方が多いので、その情報が流れさえすればと思っています。だから外向きの姿勢であることは間違いないと思っていただきたいですが、その呼びかける元手は県内でつくらないといけないので、県内も一緒に頑張って、いい観光地にしようよというのと両方しなければいけない立場だと思っています。それを徹底するのが、奈良県の観光誘客の流儀の本筋かなと思っています。お答えになったかどうか分からないとこがありますが。
毎日放送:
分かりました。具体的な支援という部分では、特にはないということですか、今の時点では。
知事:
キャンペーンをはってというよりも、予算的には、県民の方が県内を旅行するようにと、何よりも頼りになるのが身内の、地域のお客さんだということを改めて思い直してもらおうと、県民にプレミアム旅行券を発券するというやり方をしました。安心できないから行かないということではないと思いますが、県民の方が心配で行かないようなところに、ほかの県の人が安心して行けるわけではないと思います。県民の人がまず、安心して県内に行けますよと。県外の人も近場から、あるいは東京から、場合によってはそのうち外国からも安心して行ける場所というのは、日本でも分かれてくるでしょうと。感染者が多いところは心配でしょうと、やはり調査されると思います。
そのような地域にまずなって、そのことをうまく宣伝できれば、それはいいキャンペーンになるんじゃないかと思っています。
毎日放送:
ありがとうございました。
毎日新聞:
県が進めている県域の水道の一体化について、先日、大和郡山市が新しい経営体にお金を取られるのではないかと、水道事業の企業会計約28億円を一般会計に繰り入れることを決めたと聞いています。こういうことを各自治体がやり出すと、水道の一体化にも影響を与えるのではないかと思いますが、知事は、こうした大和郡山市の動きや水道一体化についてどのようにお考えですか。
知事:
奈良県の水道一体化の構想は、市町村の水道事業経営に資産があるからといってやるわけではありません。資産がなくてもウィン・ウィンになればしたらいいという呼びかけをしています。だから、そのウィン・ウィンになるという元手は、大ざっぱに言って、大和郡山市は県営水道半分、自己水道半分という形です。自己水の場合は自己投資が要ると、そのための水道局の貯金ということになっていると理解しています。今度は、県水を導入して次の更新をしなくても済むようにしましょうねということになります。
すると県水は、全部更新を代わりにやろうとすると、その協議をしなければいけません。県水は、高いところに持ってこられますので、ポンプアップをしなくても流れますよというメリットがありますので、それを利用したら、配水管をうまく県水のあるところから市町村の水道の配水につけたら、県水はちょっと高いんですが、更新の費用を免れるので得しますよというのが呼びかけの基本になっています。磯城郡もほかの地域も、自己水のポンプや浄水場が古くなったところは、大歓迎になってきているのが状況です。
いや、うちは自己水で十分やれるよと、今までの水道料金も安いからという大和郡山市のような場合もありますので、それでも検討会には参加していただいている。そのときに、どういう条件で参加されるかはこれからの協議になりますが、基本はウィン・ウィンになるようにということです。水道局にたまった次の投資への準備金、あるいは市町村に還元、市民に還元するための財源としては、それぞれのご判断で使うことができるわけです。それについて県が関与する理由は全く何もないわけですので、一元化した場合でも、お金があるから出せよとは言うはずはありません。
だから一般会計に移されなくても、そのような考えはないですよと。全部使われるのかと思われる面があるかもしれませんが、それは自己の水道経営で貯められたお金ですので、市民のために使うべきお金だと思います。市民、市議会と相談してどのように使えばいいのか、その使い方を判断されればいいと思います。
その元手があるのは、古くなった浄水場や水道の配管など、古びたものを更新するときの費用を節減しませんかというのが、県の水道経営一体化の最大のポイントです。いや、うちはもう新しいし、経営が立派だし伸びているからとおっしゃるなら、入らないという選択は十分あると思います。ところがそうは言っても、高齢化すると、水道の使用量が減ってくる、あるいは人口が減少しているから収入が減るというのはもう全市町村を襲っているわけで、こちらから見ると、将来のそれぞれの市町村の水道の経営状況は分かりますので、今はいいですが、将来どうなのというのは首長の判断ですね。今だけいいという首長もおられるかもしれない。
将来のことを考えたら、いい方に乗り移っておこうと判断される人もおられることは確かですので、将来のことを考えて、将来の投資が節約できるなら一緒にしませんかというのが県域水道一体化の基本コンセプトですので、よくその計算をしてやっていただけたらと思います。基本的に水道局の財産の有無で左右される仕組みではないと思いますので、いや、それをやっちゃいかんという立場にもないですし、水道局の財産を市の一般会計に移すことは、参加するための準備とも読めますので、逆に参加の意欲がそがれるより、参加するつもりで移したんではないですんかという見方が普通だと思っています。よく意図を調べてみないと分からないところがまだあるんですが、新聞記事を見て、そのように思っているところです。
毎日新聞:
新しい経営体に、各水道事業の会計のプール金が全部移るという仕組みではないと。
知事:
ないと。
毎日新聞:
ありがとうございました。
司会:
ほかにご質問はどうでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。
(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集し、質疑テーマごとにまとめています。)