司会:
おはようございます。
ただいまより知事定例記者会見を始めさせていただきます。
まず、本日、発表案件がございます。1点目が、県民限定「いまなら。キャンペーン」が始まりますということで、観光キャンペーンにつきまして知事からご報告いたします。それからもう1点、診療報酬に係る厚生労働大臣への意見提出につきまして、併せて知事からご報告させていただきます。
県民限定「いまなら。キャンペーン」について
報道資料はこちら
知事:
「いまなら。キャンペーン」ですが、GoToトラベル奈良版ということです。8月26日から始めました。既に発表しておりますが、その趣旨といいますか、気持ちを改めてというのが、この発表資料です。
奈良版GoToトラベルの気持ちを一言で言いますと、県民による県内消費を拡大しようということです。そのバックにあるエビデンスですが、県内の1世帯当たりの消費額は全国11位です。高いと思います。一方、県外消費率は全国1位です。県外に消費が流出しているのも1位です。県民1人当たりの地方消費税額、その地域で消費された額を反映すると言われている地方消費税額は全国47位です。ちょっとランクが低過ぎるんじゃないかと思いますが、これが地方消費税の清算基準についてクレームをつけに行った根拠です。
もう一つ、本県は1世帯当たりの県内消費額は全国35位です。1世帯当たりの県内消費額35位、世帯当たりの消費額11位、この差を埋めるチャンスかということで、この奈良県版GoToトラベルで県民による県内消費を喚起しようということです。「いまなら。」という気持ちは、そのようなことを反映したものです。
議会でもこのような県民による県内消費について賛成、応援意見が議会の説明のときに出ていましたので、効果あるいは好感度などを判断して、今後の奈良県の県内消費、コロナ時代の県内消費の拡充を、国のGoToトラベルと相まって、奈良県版GoToトラベルを実行していきたいという気持ちです。
以上、この制度の精神といいますか、気持ちを述べさせていただきました。
診療報酬に係る厚生労働大臣への意見について(保険者協議会提出資料)
資料(概要)はこちら 資料(本文)はこちら
その次も続けていいですか。先日、保険者協議会をいたしましたが、診療報酬に係る意見について、お手元に資料を配っておりますが、そのような内容の説明をいたしました。そのときにいろいろ議論が出ましたので、質問に対して県も答弁いたしましたが、その内容をまとめて、併せて厚生労働大臣に提出することをそのときにお約束いたしました。
今、その論点の概要を質問者にも確認をして整理をしているところですので、整理ができたら皆様にもお配りしたいと思いますが、今の時点でちょっと間に合っていませんので、今日はその診療報酬について、まずどういうものかということを簡単に私の口から、詳細は事務的に説明をさせていただきたいと思います。今までから言っていることでもありますが、協議会でも説明いたしました。高確法(=高齢者の医療の確保に関する法律)13条、14条にある意見提出に基づいてやるわけですが、地域の医療機関には、コロナに対応されている医療機関と、その対応はしていないけれど影響を受けておられる医療機関があり、受療行動が減少している。怖くて病院にも行けない、診療所にも行けないという方がおられます。国の交付金はコロナ対策をされている診療所には出るんですが、影響を受けたところには出ません。
それは収入を補償するという考え方になりますので、減収した医療機関だけではなく他の業種でもたくさんありますので、今のところ減収補償するということは各国あるいは日本ではまだ行われておりません。だから医療機関だけその交付金で減収補償するのはなかなか難しい。あるべき利益はこうだ、減収はこうだ、これはコロナの影響だ、補償するよという理屈になるわけですが、できないわけではないかもしれませんが、より難しいということです。診療報酬制度を使って医療機関の収入を増やす、それで医療機関の崩壊を防ぐというのが基本的な思想です。医療提供体制維持のための申入れということが基本です。そのように説明をさせていただいております。
具体的にどうするのかということですが、コロナに対応している医療機関、していない医療機関にかかわらず、現行1点10円の単価を11円に引き上げることによって収入を増やすということです。もう一つは、保険料の値上げはしないで、現行の保険料の中でやる。今、その受療行動が抑制、自粛されていますので、そのままでしたら保険のプールの中に収入が増えてたまります。これが恒常的になれば、保険料を下げろというのが普通の保険の思想ですけれども、それをしないで、そのたまった分をこの医療機関の崩壊防止のために使ったらどうかという発想です。
その際に、その意見を奈良県が出す意味は、全国ではその医療機関のダメージにも差があるでしょうと。今までは岩手県のように感染者が出ていなかった、あるいは感染者が圧倒的に少ない地域と、大都市のように多いところで、関係する、影響を受ける医療機関のダメージに差があるんじゃないですかということが基本にあります。地域地域の医療機関のダメージに対して、診療報酬制度で医療機関の崩壊を防ぐことがいいとしても、地域差があるんじゃないですかと。奈良県のようなところは10円を11円にする程度が望ましいですよということを基本にして意見をまとめております。意見の骨子といいますか、柱立てはそのようなことです。
保険者協議会の意見ですが、奈良県の意見に賛成された方がございました。具体的に申し上げますと、保険者の委員ですけれども、地方職員共済、公立学校共済、後期高齢者広域連合、国保連合会と、保険者機関のほぼ全員が、医療提供体制を維持するためにこのような仕組みでいいですよと賛成でした。都市と地方などで異なるということから、地域ごとで異なっていていいですよと。一つ、保険者で慎重に扱ってほしいというのは、協会けんぽです。全国健康保険協会、協会けんぽは、時間をかけてじっくり議論すべきという慎重なご意見でした。
反対されたのは県医師会です。反対の理由はどうもつまるところ、日本医師会は全国で診療報酬を上げるべきと言っておられますので、県医師会は、じゃあ全国はいいけども、地域は駄目ですかということを私から何度も聞きました。私の解釈では明確な返事がなかったように思っています。全国はいいけど地域は駄目だというので、私が、じゃあ地域は駄目だとということは全国も駄目だということですかと言うと、安東副会長は色をなして、全国を上げないとは言ってませんと、こう言われたので、それはどういうことですかということについては、時間切れになって終わってしまったんですが、全国はいいけれども地域は駄目ということですかというのが、大きな焦点であったように思います。
県医師会の意見の一番の中核は、そのように思います。医療機関を救うのは結構だがということで、じゃあその救い方はどうかということになるわけですが、診療報酬制度を使っちゃいけないのかというと、日本医師会は、全国は使っていいと言っている。県医師会は、地域では使っちゃ駄目だと言っていると応答したと思います。保険者協議会の意見交換の概要が正式に確認できた時点で、今日お配りした意見書を厚労大臣に出したいと思っています。
私からの説明は、以上です。
司会:
それでは、質問に移らせていただきます。
まず、発表案件1件目、「いまなら。キャンペーン」につきましてご質問を受けたいと思いますので、ご質問の方はよろしくお願いいたします。
質疑応答
県民限定「いまなら。キャンペーン」について
朝日放送:
「いまなら。キャンペーン」についてお伺いしたいんですが、国がやっているGoToトラベルの効果には地域差があるとは思うんですが、今回の奈良県のキャンペーンは、GoToトラベルの効果をもっと後押ししたいというか、もっと奈良県に還元したいという思いでされているのかという点と、他府県と比べて7割引というのはとても大きいものだと思うんですが、大幅に補助をされてる理由をお聞かせください。
知事:
1つ目の、国のGoToトラベルの後押しかどうかについては、私は国のGoToトラベルは結構ですと言っており、東京も除外すべきじゃないという意見です。しかし、それは国が決められていますので、東京は除外しちゃいかんという意見ではないです。このような感想を持っていますので、後押しかどうかとはまた別ですが、県のGoToトラベルと、こう言いましたが、観光振興は奈良県の観光事業が大変疲弊している事に対する需要喚起という形でしようと。コロナの時代でもうつさないように、うつらないように旅行できる、あるいは飲食できることはあるんだよということを、その社会習慣で慣れなきゃいけないと私は思います。
実際、奈良に観光で来られた方がうつした、うつされたという事例はまだ発生しておりません。全国でもそうだと思いますが、観光というのは意外と安全な行動だと私は思います。気をつけなきゃいけませんが、街の中で夜うろうろするほうがよっぽど危ないということは分かってきておりますので、県域をまたいで適正なケア、注意をして観光するのは、意外と安全だと。絶対安全かというとそうじゃない、どこでうつるか分かんない。しかし、そんなに怖がることはないというのが全体的な状況です。全国のGoToトラベルが始まって、まだ奈良県ではその被害が出たと、うつされた、うつしたというのはまだ発見されておりません。用心はしてもらうにこしたことはありませんが、今の質問で、GoToトラベルの後押しかと言われると、同じ方向を向いているということは言えると思うので、後押しになっている面があるじゃないかといったらそのとおりかもしれませんが、奈良県は奈良県の資質で、県民の県内の観光に目を向けてもらうと。先ほど申し上げたのが大きなことです。国のGoToトラベルにはこのような要素は入っていないと思いますので、この県独自の発想が入っているということを、後押しプラスアルファがあるということを、今日、申し添えたいと思います。
2つ目は、割引率が高いということですが、これは、消費喚起をするのにどういう手法があるのかということですので、消費喚起が、人が動く、飲食に行くとか旅行に行くということの刺激と、その割引や補助という量に関係すると思います。やり方の話だと思いますが、形式的に見られないで、実績に効果があったのか、あるいはあり過ぎるのかということが1つだと思いますので、この需要喚起というのは今、世界中で、コロナでシュリンク(=収縮)しております需要、消費を伸ばそうと、元に戻そうと知恵を絞っているところですので、その知恵を絞らないと失業者が出るとか、経済が壊れてしまう、医療機関が壊れると経済が壊れると、ヨーロッパの観光地等でそのように言われておりますが、そのような発想でできておりますので、効果がなさ過ぎるよりもあり過ぎたほうが目的にはかなっていると思います。
あり過ぎるかどうかというご質問であれば、ちょっと分かりません。やり過ぎかどうかはケース的じゃないと思いますので、効果があり過ぎるかどうかは様子を見ないとと思います。
朝日放送:
1月末までに7万人を超える人が利用されると見込まれていると思うんですが、それぐらいの方が実際に使われると思われているのかということと、国のGoToトラベルが奈良県に実際に効果を与えたか実感されているかということをお伺いします。
知事:
2つ目の国のGoToトラベルの効果があるかどうかというのは、なかなか統計がないんですが、いろいろ来られていると、結構効果がありますよと聞いています。もっと皆さん取材していただくと、我々よりもよくお分かりになると思います。満遍なく、ないだろう、ないだろうという聞き方でなしに、あるかもしれないね、あるかもしれないねという聞き方が公平だと思います。我々が聞いているかというと、十分聞いていますという返事をさせていただきますが、それは一部かもしれませんので、それをまた皆様の目と耳で検証していただく必要があろうかと思います。
朝日放送:
1月末までに7万人を超える人が利用されると見込まれていましたが、それは実際7万人が使う見込みがあるのかなと。
担当部局:
この予算額でどのぐらいの人員的な動員効果が見込まれるかということに対しまして、先日、報道発表のときに観光局からは、7万4,000人程度とお答えをしたことに基づいたご質問かと思います。私どもとしましても、この予算額とそのインセンティブとして付与した割引額、この辺りからしますと、計算としましてそのぐらいの人数になってくるだろうということを、想定の形でご回答をさせていただいたということです。私どもとしては、いろんな形でこのキャンペーンを広報いたしますし、先ほど知事が申し上げましたとおり、需要喚起としてしっかりと県民の皆様にも一緒に盛り上げていただきたいとアピールをしていきたいと思っておりますので、結果としてどのぐらいの人数になるのか、ぜひご利用いただけるようにしっかりとPR等々を努めてまいりたいと思っております。
知事:
効果の数的な検証は大丈夫かということがご質問の趣旨だと理解いたしました。それは、このGoToトラベルを利用された人は、クーポンを出す等で分かります。GoToトラベルの予算を使われたということは、それだけの予算を上乗せして、それは人でやるか額でやるかということになります。割引が例えば2割、5割、7割であれば、それに伴う割引があった消費がこのGoToトラベルで一応伸びたと解釈できるので、フォローできると思います。それが狙いということです。
それは来年1月末までですが、もし早く達成できるならば消費喚起に効果があったと判断できますので、追加の補正ということは私も考えないけないなと思っています。それは国のGoToトラベルに関わらず、県の県民による県内消費の喚起はまだまだ県内消費が少ないということからすれば、やる必要性があったわけですが、この際もやったらどうかと思っています。効果は、よく見ながらということは当然ですので。
関西テレビ:
先ほどの質問にもありましたように、県外からのうつした、うつされたというのがまだないということは、県外からも観光客が来てもいいんじゃないかなと思うんですが、なぜ今回、「いまなら。キャンペーン」は奈良県民限定に絞ったのかということと、もう1つ、奈良県民による県内消費を高めたいという気持ちは、県民に奈良県の宿泊施設を利用することで、奈良県に対して、どのようなイメージを持っていただきたいかということをお伺いします。
知事:
1つ目は、感染症との対策で、今までは感染の場としては観光の場、飲食にしろ宿泊にしろあまりメジャーじゃなかったですよということを、実例が出てませんので申し上げているわけでございます。何といっても大阪での飲食、あるいは勤務というのが、奈良県の感染源の最大といいますか、一次感染のほとんどを占める実情ですし、大阪へは勤務者もたくさん行っておりますので、大阪への往来自粛は私は要請しておりませんでした。気をつけて行ってくださいね、帰ったときは気をつけて家族にもうつさないようにしてくださいね、うつらないように、うつさないように気をつけてくださいねということを繰り返して言っておりました。その面についてはなかなか効果がありません、大阪でうつされている方がたくさん出ておられますので、これは注意を続けるしかないと思っております。
県内でうつさないようにということは対策しておりますが、その県内でうつさないようにということで、イメージはどのようになっているか知りませんが、今までの実例からすると、そんなにうつした場というのは発見できませんよ、引き続き気をつけなければいけないのは当然ですけれども、気をつけ方が、やはりお客様商売ですので、気をつけないと評判に関わりますので、気をつけてくださいねということは繰り返しております。
幸い今までに奈良県の飲食、宿泊の現場では発生しておりません。奈良市で発生したのは、オーナーが知人を集めてクラスターになったという事例ですので、その飲食の場が悪かったかどうかは、ちょっと別じゃないかなと私は思っています。オーナー自身が感染していましたので、それが原因だったと分析をしておりますので、そのオーナーの持っている飲食店が感染の場となり、たまたまオーナーが集めたからだと思いますので、一般的にこの場で発生したと、大阪で発生したような現場はまだ奈良では見つかっていないと思っています。やはり注意は続けていただきたいと。
だから奈良は安全だというところまでアピールできるかどうかは分かりません。あるいは誰が来てもうつらないよというわけでもないと思いますので、来る人にも用心をしていただきたいし、こちらも用心をしなきゃいけない。ウィズコロナの意味は、用心をして通常活動をすると大丈夫でしょうという事例が出始めてます。その事例に従って、行動・オブ・コンタクトと言っております、行動様式を慎重にしながら行動してもらうのがいいんじゃないか、奈良県の場合は特にそう思います。
2つ目の、県内のGoToトラベルに対するイメージをどう持っていただきたいのかというのは、誰の、県内のイメージか、県外からのイメージか。県外からのイメージはちょっと置いておきます、それは皆さんがつくられる話だからと思っています。アピールするのは、県内はこのような比較的安全な状況ですよということを、来られた方に実感していただければいいかと思っています。
それと、県民の方には、やはり最近のエピソード的な事例ですけれども、県内で高畑の「ふふ」が開業いたしまして、大変好調なんです。ハイエンド(=最上級の商品)でありますが、大変好調です。奈良県のGoToトラベルが始まる前にほとんど満室になっていて、奈良県の人ばかりだったと。あそこで泊まって、朝散歩をして、奈良県民の方が奈良をあなどっていたとおっしゃった言葉を残されていた。こんなにいいところだとは知らなかったと、言っておられたということをホテルの人から聞きました。奈良県民が奈良をあなどっていたとおっしゃっていたので、奈良県民の方が知らない奈良がたくさんあるよというのが、このキャンペーンで実感していただく大きな目的だというのは、先ほど申し上げたとおりです。そのイメージは報道されることによってつくり上げられることも多いんですが、実感して持っていただくことのほうが観光の世界ではより重要だと思います。
実感した人は必ずリピーターになっていただけますので、リピーターを養うというのが奈良観光の大きなことです。悪いイメージが出るとなかなか抑制されますけれども、いいイメージを一人一人に持って帰ってもらって、奈良県の人でも奈良県を見くびっていたと思っておられる方が、だんだん正当に評価していただくように変わってくると、それが奈良県内の観光消費に定着すると理屈立てて考えております。そのような意味でのこの定着、習慣化が、この奈良県版GoToトラベルの効果になればと願っております。
関西テレビ:
1つ目の質問に関して、感染対策は理解できたんですけれども、奈良県民限定にした理由をもう一度伺ってもよろしいでしょうか。
知事:
奈良県の方は消費額は多いですよ、県外に消費が出てますよ、県内の消費額は、この2つの結果、消費額自身は11位なんだけども、県内の消費額は35位ですよ、地方消費税は47位ですよと。この事例を見れば、やはり県民に県内で消費をしていただきたいと考えるのは当然だと思いますので、その点を強調させていただきました。
関西テレビ:
ありがとうございます。
奈良テレビ:
「いまなら。キャンペーン」についてお聞きします。今観光業等が苦しい状況に置かれていると思いますが、それを利用される県民の方にメリットであったり、呼びかけたいことがあれば。
知事:
お客様が減って苦しい、そういう事情が発生しています。この「いまなら。キャンペーン」は、業を助けるという結果、効果もあり得ると思いますけれども、県民の人が県内でコロナがあるから抑制されたというのを、特に県外から来られる方が自粛されているという事情もありますので、県民の方が自ら、そして全国的にも身近な観光というのが膨らんできております。身近な観光は、その用心の仕方もよく分かると、安心感がより増すということだと思いますので、県民の方が県内の観光消費に目を向けていただくきっかけにしていただいて、奈良の良さを見つめてほしい、見直してほしいということが、観光の面で県民による県内消費がずっと上がってくるんじゃないかと思います。それが県内の観光事業者の方を助けることになると思いますので、ぜひご理解よろしくお願いしたいと思います。
奈良テレビ:
あと1点、国のGoToトラベルの効果について、そのデータというのはまだ統計がない状態なんでしょうか。
知事:
はい。国のほうも大きな額でされております。これは全国的に効果が出始めているように見受けられます。それと、コロナは関係なしにというか、上がったり下がったりしているように思いますので、GoToトラベルがあったからまた上がるという気配でもないと思いますので、その点はよく見極めなきゃいけないと思います。
GoToトラベルがあるのとコロナの感染拡大は、引き続き気をつけていかなきゃいけないわけでございますけれども、今のところGoToトラベルでコロナ拡大を助長したというところまでいってないように私は思います。それを皆様も見極めて、GoToトラベルの効果が経済が縮小するといろんな違う病気が出てまいりますので、コロナと競争しながら社会活動、経済活動を立てていくということは、必要だと思います。国のほうは大きなお金を使ってされておりますので、用心しながら実行するということに現場ではなってきます。「いまなら。キャンペーン」についても同じようにしていきたいと思います。
奈良テレビ:
ありがとうございます。
毎日新聞:
この間まで知事は、11連休取られていたと思うんですけれども、どのように夏休みというのはお過ごしになられたんですか。例えばGoToトラベルを使われたとか、どのように過ごされていたのか、もしよろしければ。
知事:
実は、自宅にこもって勉強してました。だからちょっと理屈っぽくなってきたでしょう。
毎日新聞:
奈良県内の自宅ですか。
知事:
そうです。ずっと家にいました。ほとんど一歩も出なかった。だからこんなにちょっと理屈っぽくなって出てきたような自分の印象があります。本を読み過ぎた。
毎日新聞:
何の勉強をされてたんですか。
知事:
また勉強の結果は分かると思います。
毎日新聞:
では、ご自宅でほとんど過ごされたということなんですね。
知事:
もうずっと、朝から晩までと言ったら大げさですけども。
毎日新聞:
ずっと朝から晩まで。
知事:
もうほとんど、一歩も外に出なかったですね。1回だけ家内と食事に市内へ行きましたけど、それだけなんです。
毎日新聞:
そうですか、分かりました。
診療報酬に係る厚生労働大臣への意見について(保険者協議会提出資料)
司会:
それでは、診療報酬の意見申出につきましてご質問ございましたら、よろしくお願いいたします。
共同通信:
先ほどの保険者協議会の概要ができた時点で意見書を出したいと知事おっしゃっていたと思うんですけれど、もう8月も残り少なくなってきていますが、具体的な日にちというのは決まっているんでしょうか。
知事:
できれば8月中に出したいと思っています、残り少ない日ですけども。今この意見書はこのとおりありますが、貴重な協議会で意見交換させていただきましたので、意見交換の実質的な内容を書きおこし、それを確認して、厚労大臣に出したいと思っていますので、それがそろい次第、8月中に出したいと思います。日が限られておりますが、間に合いそうだと思っております。協議会で出た意見を整理し、発言者にも確認して、皆様にもお配りさせていただきたいと思っております。
共同通信:
今この意見に案がついていますけれど、保険者協議会での先日の議論を受けて、この案が具体的に変わるところというのは、今あるのでしょうか。
知事:
ありません。
共同通信:
では、それを基本にということ。
知事:
はい、そのままになると思います。
共同通信:
今回の引上げに関しては、新型コロナの影響が収まるまでの時限的措置と書かれていると思うんですけれど、終息した後に関しては、保険料といいますか、診療報酬に関してはどのように今お考えになっていらっしゃいますか。
知事:
コロナでの受療抑制がある結果、医療機関が疲弊をして収入が減になって、場合によっては壊れていくかもしれないという、その緊急事態に対して診療報酬制度の高確法13条、14条を発動しようというアイデアです。それはコロナが影響を与えたからということですので、収束するとそういうことはしないのが当然で、それは意見でも、収束するまでの間だと自分でも言ったように記憶しておりますので、今改めて収束後は、このたびのアイデアを使うことはないということになると思います。考え方としては、ありません。
共同通信:
1点10円にまた戻すことを考えていらっしゃるということですか。
知事:
1点10円に戻るということですね。
共同通信:
はい、分かりました。ありがとうございます。
時事通信:
保険者協議会のところで、医師会からは反対意見があったということだと思うんですけれども、協会けんぽなどは、これは反対意見ではなくて、あくまでも慎重論という感じなんでしょうか。
知事:
慎重なのは協会けんぽだというふうに。
時事通信:
反対意見は出てない、県医師会だけという。
知事:
県医師会と同調された県歯科医師会と、県薬剤師会は反対意見というふうに思います。三師会と称していますが、三師会は県医師会に同調されて反対と。県医師会が牛耳っておられますので、反対意見に同調されたと理解をしています。
時事通信:
分かりました。ありがとうございます。
共同通信:
保険者協議会のところで、健保組合グループは、協会けんぽではなくて、健保組合のほうのグループはどういう意見だったんでしょうか。
知事:
健保組合は、時間をかけてじっくり議論をすべきというような意見です。コロナ収束までの期間の問題ですから、時間をかけているとコロナ対策としては役に立たないと思いますけれども、私が聞いた記憶では、診療報酬制度をコロナ対策の収入増に使うのは違和感があるということは、保険者集団からも、医療提供側からも出ていました。
違和感というのが、多分こういうことは初めてのことだからと私は解釈して、初めてのことだから違和感がおありになると私は思いますがと発言した経緯があります。健保組合が違和感がありますという言い方されたのかどうか分かりませんけれども、事務的にまとめた意見では、慎重な意見という印象でした。それをどういう言い方なのか確認をして、健保協会の意見としてのスタンスを確認して、お配りさせていただきたいと思っています。
共同通信:
国への意見なんですけども、国へ意見を出して、あと国にはいつまでにどういうことをどうしてほしいというお考えなのでしょうか。
知事:
コロナが出て、医療機関が収入で影響を受けているというのに対応するのですから、早く出していただかないと意味がないということになります。後追いで収入を増やすのは、過剰受診となり余計に受療者に対して負担を求めるということになりますので、今判断していただくのがいいかと思います。その判断は、高確法の13条、14条がありますので、それを国として整理をして、これが是か非かということを判断をしていただくのがありがたいと思っています。
エビデンスと理屈というのが一番大事だと思っていますので、全国の診療報酬アップはいいけど、地域は反対だというのは理屈にはならないなという印象を保険者協議会の県医師会の意見で持って帰りましたけれども、そういうことかどうかということも議事録で確認をした上で国へ出したいと思います。奈良県だけではなく、ほかも似たようなとこがあれば同じようにしたらどうかというふうに見立てられるのは国のほうの立場でありますので、診療報酬制度を使うかどうかという判断、その是非の判断がやはり必要かと思います。高確法13条、14条があるにもかかわらず初めてのことですので、慎重にされるかもしれませんけれども、このコロナの影響が医療機関への受療行動に影響している間にやはり判断していただくのが望ましいかと思います。
国に催促をつけて、いつまでにということはちょっと僣越ですので、そういう言い方はしませんが、気持ちとしては、適切な時期、すべき時期までに判断していただきたいなという気持ちは持っております。
共同通信:
その高確法の14条には、確かに国は地域別診療報酬の定めをすることができるとあって、その場合、厚生労働大臣は、その定めをするに当たってはあらかじめ都道府県知事と協議するとあるんですけども、その定めをする場合はということは、しない場合は、奈良県さんの意見は承りましたと、ただ聞き置きましたということで、何も協議をする義務はないということで打ち返しをしてこない可能性があると思うんですけど、何かしらの打ち返しを文書で求めるというお考えでしょうか。
知事:
高確法14条の今の内容ですが、13条があって、14条はそのように、厚労大臣にできると書いてありますので、できるけどしないよということであれば、しない理屈が必要だと思います、私としては。今までの診療報酬はちょっと厚労省の会議でも言ったんですけども、ポリティクス(=政治活動)で診療報酬で集まったお金を政治資金で出して政治的に動かすという手法はやめたほうがいいですねという、ちょっと露骨な意見を言ったことがあるんですけれども、もっと理屈を立てて診療報酬制度を考えてくださいねというのは、今の気持ちでも表れています。だから国も、そのポリティクスではなく理屈でこの13条、14条の意見を考えてほしいなという気持ちは持っております。そのように理屈を整理して判断してもらえるようにということを、国に迫りたいと思っています。
共同通信:
先ほどコロナの事態が収束した場合には1点10円に戻すというお話でしたが、そのさらに先のことを伺いたいんですが、もともと地域別診療報酬なんですが、医療費適正化の文脈で1点10円ではなくて、10円よりも低い点数にするということはあり得べしということで知事もお話しされてたと思うんですけども、今回はコロナの特別な措置ということで10円より高い点に上げるということですけども、今後はコロナよりさらにその先は、医療費適正化で必要に応じて10点よりも低い点数にすることもあり得べしだということは、ぶれずにお変わりないんでしょうか。
知事:
地域別診療報酬の奈良県意見の根拠になっている医療適正化計画であります。医療適正化計画がこのままいけば、上げることも下げることもないですけども、医療費適正化計画から見たら随分医療費が減っているわけです。医療費が減っているので、医療機関にダメージ与えていると。これを医療費適正化計画から減った分は、実は医療費適正化計画の水準で保険料収入を取ってますので、保険の機能として、その分はたまってしまうわけですね。それを医療費適正化計画まで戻す必要性、戻るように仕向けるのは、点数アップというふうに理屈立てて考えているわけでございます。
医療費適正化計画からアップしたときは点数を下げるべきというのは理屈としてありますので、下げることをあり得べしということを言いましたが、その下げるときはどういう場合に下げるのか。医療費適正化計画よりちょっとでも上がったら自動的に下がるというのではなく、その原因が特異な事情だと。何かその特異な事情があるから下げるべきという判断した場合には、下げることもあり得べしということに変わりありません。私の表現では、それを床の間に置いた刀ですよと。こんなにどんどん上がっていく、特異な増嵩があった場合という表現にいたしました。
特異な増嵩というのは、意図的であるとか、医療の受療はサプライサイド(=供給側)次第ということ、圧倒的にサプライサイド、お医者さんが要るよといったら必ず薬が出るわけでありますので、要らない薬は出すことによって医療費が増嵩するということは、あってはならないことだと思いますので、そのようなことがあれば診療報酬を下げ、点数を下げることによっても抑制したいという気持ちは持っておりますけど、めったにないことでありますので、そのような判断ができたときのためにそういう発動もありますよということを言いました。
だから、あり得ることはあるんですけど、今のお医者さんの診療行動であれば、下げなきゃいけない事情はあまりないことかなと思っています。特異な増嵩があった場合にはそういうことも考えますよといって、それは床の間の刀ですよ、よっぽどの修羅場になれば刀を持ってくることもありますよということを申し上げて、県の医師会あるいは近畿の医師会の方にも申し上げてきた経緯があります。そのようなスタンスは変わりないと思います。
朝日新聞:
もう一度確認ですけど、今回診療報酬を引き上げて医療機関を救済しようという発端は、まず個別の分野、業態への減収補填というのは、やっているとほかの業種もあって切りがないからやらないというところがスタート地点で合ってますか。
知事:
減収があったときに補填するかどうか、政治的判断であります。テクニカルな話ですけど、減収がどこまであったかということは判断しないといけないし、個別の事業者にあり得べき利益が減収したということをどのように認定するかは、テクニカルになかなか大変。そのための行政事務も大変だと私は思います。保険制度は、そういう技術的なテクニカルな経緯が大変少ないというメリットがあるというのが1つ着目した点です。効果的に減収補填になって、医療機関の収入が増える結果になるというのが、この保険制度の利用、活用できる狙いだと思っています。保険制度があるからそういうことも考えられると。先ほど、減収補填というのはないということは、「思想的にない」のではなく、「テクニカルに難しい事情」だということを、そのような表現で申し上げたつもりです。
朝日新聞:
ありがとうございます。もう1点が、地域ごとの診療報酬を導入する理由として、地域ごとで医療機関への減収の影響が異なっているのではないかということでしたが、そのことについて、何かその根拠となる統計や、地域ごとにどの程度減収幅が違うなど、そういったデータは知事、把握しておられるんでしょうか。
知事:
当然ですけども、奈良県のデータは把握をしています。14.6%ですか、15%ぐらい収入が減っていると、県医師会に協力してもらってのアンケート調査です。もう少し詳しく調べろと言われたら詳しく調べたいと思いますけども、医療機関の協力を得てしたものですが、県の医師会の人は全国も変わらないよと、こうおっしゃった。全国と変わらないかどうかは、県では分からないので、全国と変わらないから上げる場合は全国だと厚労省か判断されるかもしれませんけども、全国と違うかどうかは分かりません。
ただ、想像ですが、岩手県はもし収入が減ってても、コロナ対策としてこの減収補償するという理屈が立ちませんねということを申し上げました。コロナ対策としての減収補償ということであれば、地域差があるように思いますが、というところで議論は止まっております。奈良県の減収の事実はありますので、その資料を付けて厚労省に申し出るということになると思います。
朝日新聞:
そこで、やはり何か全国のデータというのを何か把握したいですよね、エビデンス重視される知事としては。
知事:
はい。全国のほかのことを私どもに調べる権能はありませんので、それは国へ持っていくと。全国と同じだからといって判断されるか、全国は別にして差があるよということに判断されるのか。奈良県医師会は全国差がないとおっしゃったんですけど、それが本当かどうか分かりません。だから、もしかしてうそではないのかというところまで、少し汚い言葉を使ってしまいましたけど、そのように奈良県は下がっても全国と同じだよとすぐに言えるのかどうかは分からない。そういうエビデンスの交換はなかったですし、全国とこちらはエビデンスが合っているかどうかという証拠は、私どもに言われても全国同じだということを調べる能力はありませんのでと返事をしました。
朝日新聞:
知事のお考えで結構ですが、協議会で医師会は結構強めに反対されたと伺っているんですが、なぜ医師会が強く反発していると推測されますか。
知事:
だから一つの象徴が、地域の診療報酬発動は駄目で、全国ではいいんですかということ、反発の理由が、地域でやるのが駄目だということですかということを繰り返し聞きました。当たっているかどうか分かりませんが、日本医師会と同調するだけですかということを聞いていることに等しいですよね。日本医師会と同調するだけで県がこのように調べて出すのに反対されるんですかということを、繰り返ししつこく聞きました。はっきり分からなかったですね、私の感じでは。
だからどうして反発されているのかと、こう推察すると、日本医師会と同じようにしたいという奈良県医師会の、医師会長選挙もありましたし、そのような政治的なことですかということを疑問に思って何度も聞いたんです。理屈で言ってくださいねということを何度も言って、理屈の勝負でしょうということを言いました。ポリティカル(=政治的)でこの診療報酬制度に触るべきではないというのが基本的にありますので、エビデンスに基づいて判断してくださいと。奈良県のエビデンスは奈良県が出しますし、全国のエビデンスは厚労省が調べるべきだと思っています。奈良県医師会が全国のエビデンスを調べてどうだとおっしゃるのは、本当かなというのが正直な印象でした。本当かもしれませんが、それは県の保険者協議会で議論するマターになかなかならない。両方のエビデンスかそろってこないからと思いました。理屈があるかどうかということを意見交換させていただいたように思っています。
朝日新聞:
県医師会とは、この件以外のコロナ対策では県と県医師会はうまく連携していると聞いています。
知事:
協力していただいていると思います。
朝日新聞:
順調にね、連携して成果を出していると聞いているんですけど。
知事:
協力していただいていると思いますし、そのように保険者協議会でも申し上げました。感謝していますと申し上げました。
朝日新聞:
これは個人的なうがった見方かもしれないですが、このことで診療報酬に関する意見が割れることで、県と県医師会の連携するコロナ対策に影響が出ないかなと。
知事:
こちらはないと思いますが、向こうはどう思われるか分かりません、引き続き協力を続けていただきたいと思います。
朝日新聞:
では、意見書の提出は、県の権利として県医師会の意向に関わらずやりますよということですよね。
知事:
それはそう言いましたけど。
朝日新聞:
分かりました、ありがとうございます。
知事:
医師会が出してはいけないとか、出していいとかということを決める権能はないと思います。意見を言うなら、ちゃんと通るような意見を言ってくださいねと。ポリティカルではないような意見を言ってくださいね、ちゃんと根拠を出して言ってくださいねということが願いであります。腑に落ちないところは、地域の診療報酬を変えるのは駄目だけど、全国はいいんだということ、それが一番腑に落ちないところでしたので、それは繰り返し言いましたけど、腑に落ちないままで終わっています。だからといってどうかということではないですが、おかしいという根拠が分からないなという印象であるということだけです。
朝日新聞:
分かりました、ありがとうございます。
毎日新聞:
医療機関の医業収入が減っている主な理由としては、受診控えなどによる患者数の減少ではないかと言われています。今回この診療報酬を引き上げることで、例えば奈良だけ引き上げられると、奈良県民にとっては医療費の窓口自己負担が増えることになると。それについて医師会は、そうすると逆にまた経済的に苦しい家庭などは、医療費が増えるのでもう受診をやめようかということで、また受診控えにつながってしまうのではないかという懸念もされているようですが、その点はどう思われますか。
知事:
受療行動に診療報酬のアップ、患者負担の増がどう影響するかどうかは分かりません。受療行動は、医療経済学の分野ですけども、ほとんどサプライサイドの影響で成り立っていると考えられている方が多いわけです。自分でどれだけの治療費をかけるか自分で判断できない、医者が判断するということですので、そのときに患者の負担がどれだけ増嵩するか、10円が11円になるときに、10円分のうち患者は3円払っておられる。11円になりますと3円が0.3円上がりますよということ、その負担がありますよと。それが1回の患者負担ということになります。
その期間の総負担というのは、全体の医療費適正化の負担からすれば総負担というのは上がらないようにしますよと、こう言っているわけですので、総負担は上がらないけど個別の単価が上がりますよということです。それがおっしゃるように受療行動に影響するのか、その理屈が患者負担として理屈が立つのかどうかという、2つのポイントをおっしゃったように思います。
理屈が立つのかどうかというのは、患者の負担を上げてでも、保険集団にとっては、たまっているそのたまりを医療機関を壊さないというために使おうかという、それに同調されるかどうかということに、全体的に医療機関を壊してはいけませんね、ダメージを与え続けると壊れてはいけませんねということには、全員同じようにおっしゃったように思います。
患者様はどうかということでありますけれども、患者様を代行しておる保険者集団だということになりますと、その保険の運営集団でなく、市町村とか国保の連合会とかになると、医療機関を壊しては駄目ですから、この際、患者負担を上げてもというような意見だったと理解をしています、理屈の上ではですね。
もう一つは、上げると受療行動に影響するのかというようなことは、これはやってみないと分からない面もありますが、今までの医療経済学の理屈では、受療行動は負担によって影響されるというよりも、今度の場合はコロナで怖い場所だから行かないようにしようという抑制があったと判断いたします。
そのときに、行かれるときは医療機関を救うための患者負担の0.3円の増ですよということの、理屈の納得性というのがないといけないは思いますけど、医療機関を壊しては後に悪い影響ありますからという大義名分に同調していただきたいというのが県の考え方です。それは国が上げるにしても、同じことが当然ありますので、地域は駄目だ、国はいいという理屈には全くならないと思います。
患者負担の増があるということは、理屈を立てて説得をしないと、説得力がないといけない理屈だと思います。それが医療機関を救うという大義名分から発生しているのかなと思っています。受療行動に影響があるかどうかはやってみないといけませんが、患者負担が増になるとさらに抑制されるかどうか分かりません。今までの患者負担が3割になった、上がったときの受療行動の行動変化というものも参考にはなると思いますが、今回の場合はやってみないと分からないと思います。
今、コロナがあるから怖いよという新受療抑制になっていると思います。そのときの収入の単価を上げようという、診療報酬、保険制度を使って医療機関を救済しようという試みですので、保険はそういう機能があってもおかしくない、保険の機能としてサプライサイドを救うという機能があってもおかしくないと私は思っていますけども、受療行動に結果を求められないかということは、サプライサイドからその理屈で言うほどの結果にはならないのではないかと思います。
患者さんは、別にコロナ対策をしていない医療機関でも、いらっしゃいよと。今までは来ないでくださいね、うつされると困るからというような抑制もありましたけど、これは現場で、来ても大丈夫にしますよと。これは別途補助を、交付金を出すようにしてますので、それがだんだんそろってきましたので、行っても大丈夫だということがあれば行きますねと。しかし、減収はすぐに回復できないから、いっときの間減収補填をしましょうという思想ですので、それは保険の機能としてもあるのではないかと私は思っています。保険機能の一つの表れだと保険者協議会でも私の口からは言いましたけども。
毎日新聞:
もう1点ですけど、一般病院でコロナがうつるのが嫌だからという受診控えなどを少しでも減らすため、今後は秋冬にかけてまた患者が増える可能性があるということで、コロナ専用病院というのをつくってほしいという声も医師会の中にあるようです、あと県内のある自治体などは、県にも一応何か要望みたいな形をしたと聞いています。知事として、コロナ専用病院というものをつくるような意向というお考えは持っていらっしゃるんですか。
知事:
地域の事情によると思いますが、奈良県はコロナ専用病院というところまで必要かどうかというふうには今は見えてません。病院でコロナ専用病棟とか、コロナ専用病床は当然ですが、階であるとか病棟とかというのは、階を分けるとか病院の中で棟を分けるとか、奈良県では専用病棟もないかなと。病床はありますけれども、病床を分けて大丈夫ですからと、こういうふうに分けて、患者トリアージですね、患者を分ける、動線を分けるということはずっとやってきてもらっています。
その結果、奈良では病院クラスターというのは幸い発生しておりませんので、専用病院が要るかというのは、病院クラスターが発生した県ではやはり考えないといけないと判断されているのではないかと思いますけども、奈良県は病院クラスターがまだ幸い発生してないという状況、これは現場がうつらないように動線を、外来の患者さんからうつらないようにということを工夫されている結果、病院の現場での努力の結果だと見ております。奈良県立総合医療センターや公的病院に専用病床が467床と集中している結果になっておりますけども、そこが頑張っていただいていると思います。
だから、そのほかの一般の病院に行ったらうつるのかというと、むしろ病院、一般の診療所のほうが、うつされないかと思って気にされているのではないかなというのが一つの仮説でありますけども、一般の病院に行ったら用心されているから、むしろあまりそういうことは今のところないですよということをエビデンスとして申し上げたいと思いますけども。
毎日新聞:
今のところはつくるようなお考えは持ってないということですか。
知事:
はい、事情がまだ逼迫、緊迫してないのではないかと思っています。
毎日新聞:
ありがとうございます。
日経新聞:
すごい身も蓋もないような質問ですけども、病院も診療所も、要するに救う側のほうが反対しているんですよね。反対しているけども、なぜ今回改めて反対を押し切って意見をされるのか、その意図をもう一度改めて伺えますか。
知事:
病院が反対しているかどうか。県医師会は反対されているけども、病院協会の意見というのは、その場ではお聞きしませんでしたけれども、保険者協議会に出ておられるかどうか。県医師会が病院協会も代表しているというつもりかもしれませんけれども、おっしゃるように、病院協会と診療所中心の医師会とはまた立場が違うようには思います。
コロナ対策されている病院には、収入補填じゃない、費用補填として交付金がどんどん出てますけども、コロナ対策してない診療所とか、費用補填の対象がほとんどないということです。収入補填という考えは、先ほど朝日新聞さんがおっしゃった質問の答えのように、なかなかテクニカルに取りにくいんじゃないかというのが議論ですけど、病院協会の意見というのは、少し分からないですね。確認してもいいと思います。
日経新聞:
この間、知事のインタビューを当社の電子版に書いたときに、読者から、今回は引き上げるけども、今後将来的に、引き下げる可能性があるのではないかとおっしゃっている方が結構いたんですけども、その可能性はやはりありますか。改めて伺います。
知事:
それはかねて特異な増嵩があった場合には引き下げる可能性がありますよと、かつて言ったことがありますので、共同通信のご質問と同じだと思いますが、そのようなことはあり得るということを従来から言って、それは特異な増嵩があった場合ということで、よっぽどなことでない限り刀は抜きませんよということで、県医師会にも言ってます。引き下げるのはそういうことです。
それから、先ほど病院はどうなのかという質問に対してですが、これは赤字が出たり運営が悪くなると、公的な病院は特に収入補填が後日できるんですね。だから多少安心されているのかどうか分かりませんけども、民間病院は補填がないので、民間病院は多少心配なところがあると思いますけども。診療所は補填ができないから、本当は心配なはずだと思います。だから全国の日本医師会は、診療報酬を上げるべきだという意見も出てくると思いますけども、だから医師会の中の話は、地域か全国かということに焦点が当たっているように私は思うんですけども、上げてはいけないとは言っておられないように理屈上は思うんですが、病院はどう思っているかということは、公的な病院は後で補填してもらっても経営には、その資金繰り立ての話ですけど、民間病院とか診療所は補填の元手が、その仕組みがないから心配されているかもしれないという推察をするというようになりますけど、病院協会というような機関としてどう思っているかというのは、確認してもいいかなと思います。保険者協議会のメンバーではなかったかもしれませんので。
日経新聞:
分かりました。ありがとうございます。
NHK:
いただいた資料の4番について、今後、県が意見書をまとめて国に出して、ただそれがこの高確法14条の仕組みになじまないですとか、いろいろな理由で、例えばその意見書を国が受け取らない、あるいは受け取るけれども、検討しないという可能性というのは、現状国との話はどうなっていますか。
知事:
14条の申請適格性ということでありますけれども、県の医師会が申請適格がないんじゃないかという意見を保険者協議会でも言われました。最初ご紹介しませんでしたけども。しかし、申請適格がないかどうかは国の判断で、県医師会の判断じゃないでしょうといって突っぱねた議論がございました。その14条に適格じゃないよというふうにおっしゃったときは、理屈が合うかどうかと。こちらは申請適格はあるというふうに思っていますけれども、ないと言われたときの理屈次第では、係争処理委員会という制度がありますので、係争処理委員会にもかけることはあり得べしだと私は思っています。
NHK:
じゃあ、まだ現段階では、国の考え方というのは示されていないという状況だということですか。
知事:
うん、試してみないと分からないということですね。
NHK:
分かりました。あともう1点、資料の(2)の部分の、その際というくだりの2文目のところで、診療行為ごとあるいは専門科目ごとに差異を反映することも選択肢としてあり得ると書かれているんですけれども、これは国で2年ごとに中医協でいろいろ議論して診療報酬決めていると思うんですが、ああいったことを県の中で審議して、重みづけをするというようなイメージで書かれているんですか。
知事:
これは、県がやるとすれば、このような補正率でありますけども、県の実情に応じたらこのような補正が適切であると考えますと。そのような考えを取るかどうかは国のご判断でしょうという言い方でありますので、国がどのように判断されるかということは県が出したエビデンスを判断されて、合っているかどうか、補正率が必要かどうか、必要ないのかということは、そのエビデンスを基に判断していただけると思っています。だから選択肢であり得るということは検討材料ですよと、検討していただきたいですよというのと同義であります。
NHK:
分かりました。ありがとうございます。
日経新聞:
すみません、もしこれ11円に上げた場合に、そのシミュレーションとして利益率とか収入がどのぐらいになりそうかという、シミュレーションの数字ってありますか。
例えば、病院の医療利益率が例えば11円に上げた場合にどのぐらい改善するとか。
知事:
病院の収支改善。
日経新聞:
ええ、そうです。診療所がどのぐらいとか、どの数字でもいいんですけれども、仮に11円に上げた場合のシミュレーションの数字を一つ、二つ出してもらえれば。
知事:
機械的な計算といいますか、このようになればという計算は当然できます。例えば医療費適正化でこのようになってますが、今、コロナで減っていますと。この診療報酬上げると、受療行動の量が回復するかというのは、先ほど毎日新聞の方がおっしゃったように、むしろ抑制する心配はないのかというご質問だったと思います、それはやってみないと分からないとこもあるし、そのほかの要素で影響されている可能性もあるからというふうにお答え申し上げたんですけど、そのときに、ある程度回復したときにどの程度収支にいい影響が、プラスの影響があるのかという計算は、例えば診療報酬10円が11円に上がるわけですから、収入が100億円のその医療であれば、10億円プラスになるということが予想されます。100億円が10億円になるということが予想されます。それが放っておくとだから90億円にすぎなかったのが、100億円に伸びるということよりも、その受療行動が同じであっても10億円伸びると。受療行動が100億円で変わらない場合でも10億円伸びるということに今なります。そのような単価の収入のアップがこの診療報酬の単価アップの直接効果になりますので、そういう計算はできます。
1,000億のことであれば、100億円の1割だから10億円ですね、1割診療報酬が伸びるということは、1,000億であれば100億円伸びると、3,000億であれば300億円収入増が、受療行動が変わらなくても伸びますねということが計算上できます。
そのときに、受療行動が減るんじゃないかというのと、前へ戻るんじゃないかというのは不確定要素であります。受療行動の行動量の変化は安心かどうか。しかし、病気だからいつもかかっている透析とか、定常の診療を遠慮してたからというような方が戻るかどうかということにもよりますので、量的な戻りと単価の収入のアップと、両方またがっての収入増ということが計算できますが、受療行動が増嵩したときの増加分というのは、これはちょっと様子を見ないと分からないと思っています。
日経新聞:
ありがとうございます。
産経新聞:
すみません、先ほど知事が、県医師会について、要は全国一律の診療報酬の引上げは賛成される一方で、地域別は賛成されないという、その根拠が分からないということをおっしゃっていたと思うんですけど、ただ一方で、知事の方が、全国一律ではなくて地域別での引上げで対応すべきと考えていらっしゃる根拠というのは何になりますでしょうか。
知事:
1つはね、県は全国の権限ないですよね。県では13条で引き上げるという意見を出せるという根拠があるからというのが、そういうことであります。そのときに国が、全国一律のほうがいいよと判断されたらそれになりますけど、国の判断は、診療報酬制度を使うかどうかということと、その範囲は全国か地域かという判断が、2つの判断が要ると思っています。
県の判断は、全国はぜひ必要だというとこまで判断の権能がないわけですので、データも調べていません。県では必要があるということを判断して、そのデータをそろえて、高確法の13条をよりどころにして言うというだけの話でございますので、今の全国は要るのかという点については、お答えしようがないという返事になります。
産経新聞:
じゃ、あくまで全国での引上げよりも、地域別での対応のほうが望ましいという考えであるというわけではないということですか。
知事:
ああ、そうですね。全国と比較してやったわけじゃありませんので、奈良県ではこうですよということを言っているにすぎませんので、おっしゃるとおりだと思います。
共同通信:
先ほど県民負担、患者負担が増えることについて、医療機関を救うためという大義名分を理解していただきたいというお話でしたが、その救われる側のはずの医療機関が反対しているわけですけれども、そうすると県民からすると、なぜ医療機関が反対している方法を取るのかというのが分かりづらいと思うんですけども、そこはどう説明されますか。
知事:
だから、県医師会の言っているのはおかしいなということを、さっき腑に落ちないと言ってますので、それはもう少し客観的に県民の方も判断していただくデータが、情報が流れていけばいいかと思います。言えば通るかと思われても、ポリティカルじゃないですねということも念を押しているわけですので、理屈はどこにありますかということを言っているわけであります。反対されるのは、地域では反対、全国では賛成ですかということを繰り返し言っているんですけど、もう一回皆さんからも聞いてくださいよ。全国は反対ですか、賛成ですか。全国も反対、地域も反対だと、これは筋が通っている。全国は賛成、地域は反対だと、どういう理屈か分かんないというのが私の考えです。県民の人にも言いようがないです。
司会:
ほかにご質問はよろしいでしょうか。
それでは、これで記者会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。
(発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。)