令和2年9月30日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 ただいまより知事定例記者会見を始めます。

本日は、奈良県コンベンションセンターにおける「まちびらきイベント」の開催について、知事から発表いただきます。

 

奈良県コンベンションセンターにおける「まちびらきイベント」の開催について

《報道資料》

知事:
 コンベンションセンターのまちびらきは4月に開催予定でしたが、コロナによるイベント自粛で半年遅れになりました。街の人、イベントを楽しみにしてたよとおっしゃる自治会長がおられましたので、10月31日と11月1日に、コロナ時代の配慮をしながら開催します。

 コンベンションセンターは、ホテルや蔦屋書店、NHK放送会館が併設されている複合拠点です。複合性を今後活用していくためにつくった拠点ですので、その特色を徐々に生かせるようなことが、この最初のイベントでもできたらと思っています。

 NHKの開設を待っていたわけではありませんが、全施設が揃ってまちびらきということになりました。喜ばしいことだと思っています。

 報告案件は、以上です。

司会:
 発表案件につきましてご質問ございます方、挙手にてお願いいたします。


質疑応答

NHK:
 複合拠点として活用していきたいというお話がありましたが、具体的にまちの活性化といった観点から、どのようなことに今後活用していきたいとお考えなのか。また、コロナと付き合いながら大きいイベントも今後開催していかなければいけない局面に差しかかると思いますが、どういった配慮をしながら、イベントとの両立を図っていきたいとお考えですか。

知事:
 複合の要素がコンベンションという大きな集会場で、奈良県や奈良市にありませんでした。大きなホテルもありませんでした。奈良で象徴的なことは、全国知事会をしたことがないことです。大規模な国際会議もしたことがないので、これから国際会議の予約も入っていますし、1年遅れになりましたが全国知事会も再来年、奈良県で初めてするといった、ホテルとの複合性がここの特色になっています。

 まちのにぎわいという意味の複合性が一番大きなことですので、NHKも、表通りへ出られたらどうですかと陳情に行ったときに、他の地域でこういう拠点と一緒に併設する例が、どこだったか忘れましたが、あるんです。その例の2つ目なので、チャレンジしてみますとおっしゃったような記憶があります。

 それと、サテライトみたいに、前の天平広場に面したところでいろんなイベントができることが、これから大きなことになると思います。例えばイベントのパターンとして、ムジークフェストをずっと開催していました。「いないいないばぁっ!」というNHKの番組がありまして、これまでは春日野園地で開催してきましたが、天平広場とコンベンションホールで開催すると、全天候型で雨を気にしなくてもお子さんたちに来てもらえるという、コンベンションの大ホールと、天平広場と一体になって、大きなお祭りができると。お祭りが一つのキーワードになってくると思います。

 お祭りには、音楽も入りますし、飲食も入りますし、いろんな出店、参加型のお祭りが入ると思っています。そのようなタイプのイベントが、奈良にはありませんでした。梅田のグランフロントのように、駅を中心に広場ができていますが、奈良は駅前にそういう広場がない街です。この度、少し離れていますが、県営プール跡地を利用して複合性を初めて持たせたと。

 あとは、私の個人的な思いですが、秋、春、冬と季節性を持たせて、天平広場の前でスケートリンクができたらなと思います。スケートリンクで遊んでいる子供たちをテレビで撮っていただけたらという思いもあります。スケートリンクがないのも奈良県ですので、そういう臨時の遊び場という使い方もあろうかと。対象は、やっぱりファミリーですよね。子供とか、お母さんとか、お年寄りが来られるイベントをキーコンセプトにし、具体的に展開をしていきたいと思っています。

NHK:
 こういう大規模なイベントをするにあたって、コロナとどうやって付き合っていくのか、その辺りも聞かせていただけますか。

知事:
 コロナに対応したイベントの開催方法が分かってきました。ソーシャルディスタンスと言われるような距離を置く、声を出さない、飛沫を飛ばさないということがあろうかと思います。そのような基本的な配慮はしていただくことになると思います。具体的には、入場される人に検温をしたり、消毒をしていただいたり、密にならないよう規制をする等、今できる感染防止対策を徹底した上での、まちびらきイベントになろうかと思います。

 それから、コンベンションセンターの予約は、まだずっと維持されています。これはありがたいことです。今まで4月の開業以来のコンベンションの開催で、大規模なものはあまりなく、中規模・小規模なものが約100件、既に開催されています。年度内には、それも含めて、280件が開催予定です。来年度以降の開催も合わせますと、360件の予約が入っています。まだ余裕はありますので、とりわけ今までなかった大きなコンベンションが開催されるようにプロモーションをしていきたいと思っておりますが、そのような動きがあるのはうれしく思っていることを、恐縮ですが、付け加えさせていただきます。


国のGoToキャンペーン事業について

時事通信:
 明日からGoToトラベルに東京発着分が追加されますが、知事の受け止めはいかがですか。

知事:
 GoToトラベルは、当初慎重論もあり、今でも多少あるかもしれませんが、私は最初からずっと賛成論でした。大阪往来の自粛も要求したことはありません。「気をつけて」ということをいつも言っています。気をつけて往来するしかないと。往来奨励はしませんが、往来自粛は要求しませんというスタンスをずっとしています。

 GoToトラベルが出てきたときも、「GoToトラベル賛成です」と「気をつけて」、配慮との両立ということを訴えていました。その際、東京も含めることについて賛成であることを明言をしていました。そのとおりになってきたなと思いますので、慎重にやるのも大事ですが、慎重にやりながら、重症、死者を防いで、経済、とりわけ観光往来との両立を図るというステージに日本が入ってきていると思いますので、GoToトラベルの効果を期待をしています。

時事通信:
 一方で、東京から訪問客が来て県民も不安な方が多いと思いますが、その辺りはどうお考えですか。

知事:
 観光で感染したところは奈良県ではないですよね。だからといって大丈夫だとは言えないということは繰り返し言っていますが、不安をあおることはもちろん報道機関の皆さんもないと思いますが、クラスターが出たり不安な人はいましたが、奈良県では飲食クラスターは発生していません。そういう場所を摘発しようにも、場所がまだ発見されていない。飲食の場所はあるけれども、クラスターになっていないことが実例です。病院クラスターも随分現場で配慮していただいた実績があると思いますので、県民の不安は現実化していませんよ、今のところはと。引き続き用心しながら、この調子でいけたら良いと申し上げたいと思います。


診療報酬に係る厚生労働大臣への意見提出について

時事通信:
 厚労省に先月提出した意見書があったかと思います。特に今何も反応がない状況だと聞いていますが、県としては今後どのようなアクションを取っていくのでしょうか。

知事:
 県としては、向こう(国)に球を投げました。奈良県医師会はそのようなものを出してはいけないと意見を言われましたが、申請適格の話は、医師会のご心配に反して、厚労省には十分検討しますと受け取っていただきました。一番のポイントは、受療自粛というか、受療控えがあって医療機関の収入が減っていること。飲食店が倒産したという報道がありますが、医療機関はなかなか倒産しませんが、経営危機になっていることが現実としてあります。

 その危機の程度によりますが、それを回復するのに、コロナ対策の費用が増嵩したのは手当てしましょうということで、国から交付金が出ます。収入が不足したときに手当てしましょうという施策は、他の業種も含めてどこもありません。収入を図るのは、他でもいろいろ工夫されていますが、医療機関については健康保険で大体収入が賄われています。健康保険は受療行動に応じて出来高で収入を図るのではなく、応能負担で、収入があれば保険料がたまっていく仕掛けになっています。そのため、しばらくはたまりが出る状況、受療が低く収入はそのままという状況で生じたプールを、保険の機能を利用して収入を図ろうというのが奈良県のアイデアです。いっときのことですが、税金の負担をかけずに保険の中で収入増を図ろうというアイデアですので、その点をどのように厚労省なり国民が理解されるかが大きなことだと思います。

 医師会の反対は、全国はいいが、地域では駄目だと。全国何でも一律にしたいと。これは全く腑に落ちませんので、その点は論争していますが、どのように斟酌されるかは、論点だと指摘しておきたいと思います。結果はどうあれ、そのやり方も可能でしょうということを申し上げたということですので、事の性格、論点を報道機関の皆さんも含めてよく理解されることを願っています。

時事通信:
 意見書に関しては、国からの返事を待つ状況ということでしょうか。

知事:
 内容については、まだ反応がありませんので分かりません。政権の担当大臣も代わりましたし、省内も異動があるかもしれませんので。厚労省は、医師会が反対しているから影響されるということが現にある役所です。日本医師会が反対しているとできないとか、そういう反応がある役所ですので、それを菅さんが規制改革で、そういう現場を見ろと言っておられるのは頼りになる言い方ですよね。現実を見ろという言い方が今度の政権の頼りになるところですので、役所の業界忖度、官庁忖度がなくなるようにということも併せて願っています。

時事通信:
 ありがとうございます。


県域水道一体化を巡る大和郡山市の利益剰余金の操出について

毎日新聞:
 県域水道一体化の件です。

 大和郡山市が水道会計の余剰金の一部、28億円を一般会計に移したという形になって、県の方は水道事業会計に戻すようにという要請をしているようなんですが、それに対して大和郡山市長が25日の記者会見で、受け入れるつもりはないと明確に拒否しました。そのことについて、水道一体化を進める県のトップの知事としてはどのようにお考えでしょうか。

知事:
 水道の一体化については、大和郡山市が28億円隠されたのも水道料金から発生したものなんです。税金のたまりじゃないんですね。水道の収入で発生したものですから、それを一般会計に儲かったから戻すという手がないわけじゃないということは分かっております、判断ですが。しかし、一体化するときに、資産は隠すよ、古い施設と負債は持っていくよ、それで一体化するよというのはできない相談です。もしそうであれば、それは一体化の趣旨に全く合いません。「一緒に参加されるなら、資産も負債も古い施設も持って、みんなでやりましょう。みんなでやると国の交付金もたくさん出ますので、660億円の将来の投資抑制があって得しますよ」というスキームを奈良県で提示している。水道料金でたまったお金28億円だけよそに置いとくよ、これはできない相談です。もしそれを主張されるならば、大和郡山市は一体化から離脱やむを得ないかなと思っています。そのとおり通るとは思えない考えを提示されていますので、離脱を宣言されたと受け取っています。


スマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA」について

毎日新聞:
 コロナの関係で、知事は厚生労働省が推奨しているスマホの接触確認アプリ「COCOA」についてご存じですか。

知事:
 よく分からないです。効果があるのかどうか、正直言ってよく分かりません。効果がないのを進めると何とかマスクみたいになるかもしれませんし。比較としては悪かったかもしれませんけれども。行政は、こういう効果があるからどうかと進める程度が関の山じゃないかなと思っています。知識が低いからだと思いますけどね。知識の高い人は、これは効果があるよとおっしゃっているので、もう少し効果があることが分かれば推奨しますけれども、というスタンスです。


菅内閣が進めるデジタル化の推進について

NHK:
 新しい政権が誕生して、規制改革や行政のデジタル化をかなり前面に押し出しているかと思います。この間、知事も委員会で答弁されていましたが、改めて県内では、デジタル化を進めるべきかどうか、そして進めるならばどこに力を入れたいとお考えですか。

知事:
 菅さんの現実政策追求スタンスにとても期待をしています。菅さんは、知らない人ではもちろんないんですが、知事として官房長官時代の陳情のお付き合いでは、地方消費税の清算基準を陳情に行き、2回その件で会いました。とても現実的で、当時の総務省税務局長の案を3回蹴ったよと、そういう言い方をされました。官僚との折衝を直にされるという印象で、その結果、今の内藤自治財政局長にやれよと言われて、不利な地方消費税清算基準を改善されました。ひどい清算基準でしたから。人口比率が半分でまだ少し不足であり、譲与税になった方がよかったという意見は持っていますが、今の地方消費税というフレームの中で内藤財政局長は最善を尽くしてくれた。東京都から何千億も召し上げて配分するという現実効果がありましたので、奈良県よりもほかの県がものすごく裨益(ひえき=助けとなり、役立つこと)した結果になりました。それを菅さんが独力でされたのを目の当たりにしました。それはとても大事なやり方、省庁が張っている壁を打破する、穴を開けていくという手法で、私にとってはとても斬新な手法のように思いました。

 もう一つは、直接の陳情ではありませんが、先ほどのGoToトラベルと関係しますが、インバウンドが増えるきっかけになったのは、法務省・検察へのビザ発給の壁を開けることだったと思います。ビザ発給の壁が壊されて、インバウンドがこれだけ増えた。インバウンドの経済効果を誇らしく思われてもいいんじゃないかという程に高く評価をしています。それがGoToトラベルの奨励にもつながっているかと。具体的なんですね。政策が具体的であることをとても高く評価します。

 前置きが長くなりましたが、その具体的な政策の中で、デジタル化はとても大きな要素。実は菅政権ができる前に、今年の初めから地域デジタル化構想というものを奈良県でつくり始めています。地域デジタル化は奈良県はとても遅れていましたので、地域デジタル化の一つの発想として、地域電力を持っていったら地域デジタル化が進まないかという発想で取り組んでいます。地域電力というのは再生可能エネルギーで、バイオマスですね。バイオマスの発電所で、安い電力を提供する地域があれば、田舎でもデジタル化が進まないかということをやり始めた。データセンターは来るけど、なかなか雇用ができない。データセンターの設置までは電力でできるかもしれないけれど、デジタル・プラットフォームはまた別の話なので、デジタル・プラットフォームをどうつくるかという、これはまちづくりと関係します。デジタル・プラットフォームを、例えば奈良の新駅の前にAIタウンというコンセプトでつくろうとか、今度、国体の競技場をつくるのに手を挙げられた田原本町、三宅町、川西町辺りに、デジタル・プラットフォームの拠点ができないかという構想はあります。それは場所の構想です。

 多分ご質問は、デジタル化のコンテンツはどのようになるのかということだと思います。これは実はまだそんなに詰まっていなくて弱いところですが、その時に菅さんのデジタル化構想、デジタル庁構想がありました。地域のデジタル化が進んで地域の経済勢力の分散、経済拠点が分散するという、リモートワークを中心に分散するという結果になれば、地方に住んで、地方で仕事をすることがより活発になり、東京一極集中の是正、地方での雇用確保につながるということは大きな政治的な目標にもなっています。菅さんがおっしゃる地方創生、地方を原点にということには、言葉だけではなく具体化することを期待をしていますので、県もデジタル化構想の中で地方の雇用創出に知恵を出したいと思っています。

 具体的なことは、今、奈良県の地域デジタル化構想の中で練っています。デジタル庁の話では、スマホの料金の値下げと、行政のデジタル化、マイナンバーカードを通じたデジタル化、行政の効率化ということが併設してあります。ワーケーションのような民間の、報道機関の皆様の世界もそうですが、効率化しないともう大変ですよね。労働生産性が上がらないじゃないかと、日頃思っておられる面もあろうかと思いますので、そのようなことがデジタル化で省力化できて、皆様の知能がより活用できるようにというのがデジタル化構想の大きなポイントです。

 民間の中でも特にデジタル化が必要なのはサービス業だと思います。サービス業のデジタル化というのは、お客様との関係になりますので、顧客の方のデジタルリテラシーが上がらないとデジタルワールドができないということになります。それも狙っています。そのフィールドは、人口の過少地域、奈良では南和において、医療の提供あるいはサービスの提供、物販の搬送など、デジタル化することで人・物が移動しないでサービスが届くということができないか、医師会が反対しているオンライン診療も、規制改革の一環としてデジタル化の方に入ってくる可能性があります。それも期待しています。

 奈良県では医師会の反対があっても進めたいと思うテーマの一つですが、そうすると、医師会でデジタル化に追いつかない高齢のお医者さんもおられますので、どうするかという課題を抱えておられます。だからといって、デジタル化、電子カルテ反対というのも変な話です。変なことが残っている日本の国を打破される菅さんに期待をしたいと思っています。

NHK:
 ありがとうございます。そのデジタル化の流れの中で、河野行革担当大臣は、ハンコの決裁に焦点を当て、できる限りハンコでの決裁をなくせないかということを各省庁に呼びかけました。ただ、一方で、業界や文化という側面があることもあり、賛否両論の受け止めがあるかと思うんですが、知事はこのアイデア、発言をどのようにお聞きになっていますか。

知事:
 ハンコは、その書類の証書性、真正性、アイデンティティーをどう表すかということで、ハンコ信仰があったと思います。私の決裁は、全てこの赤鉛筆なんですね。下手なサインをずっとしています。ハンコを探して押すの大変だから、赤鉛筆があれば下手な字でも書いておくといいと。変わった字であればあるほど、人間の手というのはなかなかその都度違うサインはしにくいものなんですね。トランプ大統領も何か分かんないサインをして見せておられますが、サインをすると、やはりこの人のサインだということがどこかでハンコ以上に分かることがありますので、これをデジタル化するとなると、真正性がデジタルで達成できるのかというと、ハンコや手作業とは、また少し違うように思います。

 ハンコは象徴的なことだと思いますので、証書性、真正性は、ハンコとはまた別に公文書に必要な形でもありますし、真正性をどのように証明するかということは、それは真正性が証明されたものをデジタル化で流布するとか、共通情報にするのとはまた違うテクニックが要るように思いますので、ハンコだけではいかないように思います。しかし、デジタル化の波に乗せるには効率化、書類の行政効率を図るという意味でも、あるいは私的な契約関係において、契約でこの資本主義は成り立ってきている社会であり、契約というものはとても大事ですので、契約でもめて、それは俺のサインじゃないよとなった際に、その契約の真正性、誰と誰のといったアイデンティティーをどうするかということに、まだあまり慣れてないところがあるかと思いますけれども、文化的なことも含めて基本的なことを、河野大臣が掘り返されるのは楽しいことだと思っています。期待をしています。

司会:
 ほかにご質問はよろしいでしょうか。

 それでは、これで知事定例記者会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。

(発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。)


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