木材加工資料No.18(要旨)

打撃音の周波数によるヤング係数の測定

海本 一・江口 篤

 数種類の材料について、動的ヤング係数測定法の一つである打撃音の周波数によるヤング係数の測定を行い、曲げ試験によって得られた静的ヤング係数との関係を比較検討した。その結果両者の間には高い相関が認められ、静的ヤング係数をパラメータとする強度等級区分法と同等の信頼性を期待できた。

 

 

ヒノキ柱材の除湿乾燥条件について

小野広治・小林好紀

 ヒノキ柱材の除湿乾燥条件について、同一素材から連続試料を採取して、乾燥温度、相対湿度、風速の乾燥速度に及ぼす影響について検討した。
 乾燥温度(30℃、40℃、50℃)及び相対湿度(45%、60%、88%)の違いによる乾燥速度の差は認められたが、風速(2.5~3.0m/s、0.5~1.0m/s)の違いによる乾燥速度の差は認められなかった。

 

 

マイクロ波過熱によるフィンガージョイント接着

坂野三輪子・和田 博

 集成材用ラミナのフィンガージョイントの加熱にマイクロ波を用いて、照射時間と曲げ強度の関係を調べた。曲げ破壊強度は照射時間7、10、15秒でほぼ同等で、充分な強度が得られた。破壊形態は照射時間の短いもの(0.5秒)では、接着層の材破が少なく接着が不良であるものが多く出現するが、10秒以上になるとそれは見られなる。従って、出力4.5kWでは10秒の照射時間が必要であると思われる。

 

 

薄挽き板積層木製タイルの耐候性

中村嘉明・伊藤貴文

 薄挽き板積層材から、浴室用木製タイルの開発を図るため、2液型特殊ポリウレタン樹脂を数回塗付した塗膜について、湿潤な環境における実用に即した耐候性能や防かび効力の検討を行った。その結果、樹脂塗膜の表面性能は、浴室用として充分な耐候性があると評価された。一方、木材変色菌による汚染に対しては、材面を露出させないよう、木製タイル全表面に樹脂を充分に塗付すれば、かびの被害が防止できることが明らかにされた。

 

 

有機ヨウ素系接着剤混入型合板用保存剤の防腐効力

中村嘉明

 最近、木材用防腐剤として、最も有望視されている薬剤は有機ヨウ素系薬剤である。それらの薬剤を利用する接着剤混入型合板用保存剤の開発研究を行った。その結果、有機ヨウ素系の防腐剤3種類および有機リン系の防虫剤2種類を主剤として、それにヨウ化カリを添加する2液型の油剤に製剤することによって、何れも防腐効力が強く、製剤コストも含めた採算性が良好な、接・混合板用保存剤開発の可能性が認められたので報告する。

 

 

水溶性樹脂による樹脂含浸木材の制作(Ⅰ)
注入樹脂の重縮合特性

伊藤貴文

 スギ・ヒノキ材をフローリングや壁材等の建築用面材料として用いるためには、木材が元来持っている吸湿性能をある程度保持した状態で表面硬度ならびに寸法安定性を向上させることが望まれる。そこで水溶性樹脂を含浸・重縮合することによってこれらの材の改質を試みた。本報では注入に用いた樹脂の重縮合後の水不溶性樹脂への転化率や材色変化等について検討した。

 

 

わん曲集成柱を利用した作業小屋の試作

魚澤 傳・杉本英明

 スギわん曲集成柱を用いた作業小屋(建築面積21.6m2)を試作した。製造原価の算出より坪当たり単価は、約172,000円で、他県で試作された類似品と比較し、坪当たり単価で約15,500円程度安く仕上げることができた。作業環境を重視した設計により夏場や冬場のきびしい条件下でも作業がし易く、また、軸組工法に準じ簡単な構造としたので、自家労力による建設が可能で、建設経費の節減が出来ることが分かった。

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