木材加工資料No.19(要旨)

スギ・ヒノキ小径丸太の曲げ強度性能

海本 一

 スギ、ヒノキ間伐小径材丸太の曲げ強度性能を明らかにするために、スギ、ヒノキ全供試丸太を、丸太のまま、タイコ材、正割材の3グループに分け、それぞれ実大曲げ強度試験を行った。その結果、いずれのグループとも試験材の強度性能はいずれも規定された強度基準値を上回っていたが、製材品の強度性能は丸太の強度性能より低い数値を示した。

 

 

スギ柱材の除湿乾燥特性

小野広治・小林好紀

 スギ柱材の除湿乾燥特性を把握するため、同一素材から連続試料を採取して、除湿乾燥と冬季の天然乾燥の比較、並びに除湿乾燥における乾燥条件の違いによる乾燥性の比較試験を実施した。除湿乾燥と冬季の天然乾燥との乾燥速度比は夏季のそれに比べて大きかった。除湿乾燥における乾燥速度の違いは飽和水蒸気圧の差の関係と類似していた。

 

 

曲木加工したケヤキ材の強度性能

和田 博

 マイクロ波を用いて曲木加工したケヤキ材の曲げ強度性能を求めた。曲率半径30、20cmにそれぞれ曲木加工した材に凹面から荷重を加えた場合には、最大破壊強さ、およびたわみ量は通直材に比べて10%程度変化し、ヤング係数は約30%減少するが、引張側のひずみにはあまり差がない。凸面から荷重を加えると強度性能は通直材よりも大きく低下する。

 

 

林地内に放置された間伐木の腐朽・分解

中村嘉明・花尾英男・小林伸隆

 搬出されずに林地内に放置された間伐木が、自然に劣化・分解する経時的な過程を明らかにするために、県内大和川森林計画区5か所の山林で、既に放置されていた間伐材試料を採取して、重量減少率法および肉眼観察法により、主に腐朽・蟻害の進行状況を調査した。その結果、搬出すれば材として利用可能と見られる年限や、林内作業の障害とならなくなる年数および木材の崩壊による肥料効果が発現する年数等を明らかにした。

 

 

床暖房用薄挽き板の寸法安定化処理

伊藤貴文・当麻 毅・中村嘉明

 厚さ3~5mmの薄挽き板を床暖房用フローリング材料として用いると、材面温度の上昇と共に含水率が低下し、材料の著しい収縮が認められた。そこで、本研究では昇温による材料の含水率の変化と収縮率を求めると共に、グリオキザール系の樹脂を含浸したときにどの程度の寸法安定性能を発揮するかについて検討した。その結果、樹脂含浸の効果は大きく、未処理時のほぼ1/2に寸法変化を抑えることができた。

 

 

樹脂含浸処理した薄挽き板の性能
床暖房用フローリングとしての利用

伊藤貴文・当麻 毅・中村嘉明・桧原雅之・児玉昭男・山下將人

 グリオキザール系の樹脂を含浸したアルダー、ミズナラの薄挽き板を用いて、床暖房用フローリング材料を試作した。実際に床暖房ユニット上に粘着テープで固定後、通電、加熱試験を行った。材面温度は約60℃に達するが、70時間通電後の材の収縮は0.22~0.29%と微小であり、材間の隙間も0.5mmに留まった。反りも少なく、樹脂含浸薄挽き板を床暖房用フローリング材料として用いることの見通しが立った。

 

 

耐候性塗料の利用技術の開発(Ⅰ)
フェノール樹脂の利用

魚澤 傳

 屋外で用いる木材の表面の美しさを少しでも長く保持するために、フェノール樹脂の中でも、比較的に淡色の樹脂をスギ、ヒノキに含浸することを試みた。その結果、水流ポンプを利用してわずかに減圧するだけで、浸せき処理によるよりも、はるかに短時間で高い含脂率が得られること、また送風乾燥機を用いて徐々に昇温すると、プレスによる樹脂の硬化の際に見られる木口からの樹脂の流出もなく樹脂が硬化できることも分かった。

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