久保 健・小野広治・小林好紀
内部含水率が高いスギ黒心材の乾燥性を改善するために、前処理としてマイクロ波照射による内部加熱を行い、乾燥時間の短縮効果、水分傾斜の除去効果について検討した。
その結果、加熱処理は木材内部の水分を表層に押し出して内部含水率を下げるので、乾燥速度を短縮し、乾燥終了後の含水率傾斜を小さくすることがわかった。
中田欣作・杉本英明・海本 一
ロータリー単板と挽き板を圧延してゼファーを作製し、下刈り不要マットとのり面被覆マットとして使用するゼファーマットの材料としての可能性を検討した。試験の結果、生材の単板から得られたゼファーは、圧延により幅が良く広がり、柔らかさも備えており、かつ、もとの形状を良く残しているので、ゼファーマットの材料として最も適していた。その他の材料では気乾状態の単板と挽き板はゼファーが作製できなく、生材の挽き板は、得られたゼファーがわらのような形状であり、ゼファーマットに適していなかった。
伊藤貴文・当麻 毅・中村嘉明・桧原雅之・児玉昭男・山下將人
3mm薄挽き板を用いた結果については前報で報告したとおり、予想以上の好結果が得られた。それに引き続いて、本報では5mm厚のアルダー、ミズナラの薄挽き板をグリオキザール系樹脂で処理し、前報とほぼ同様な方法で、床暖房用フローリングを作製した。材表面温度は45℃前後で、3mm厚の板よりも約10℃低下した。材の寸法変化および材間の隙間の変化は、アルダーでは3mm厚の板に比べても一層改善され、所期の目標を達成することができた。
伊藤貴文
グリオキザール系樹脂の濃度を4段階に変えて、スギ・ヒノキの辺材部分を処理し、それぞれの強度性能を無処理材と比較した。
樹脂処理に伴って、曲げヤング係数はヒノキで最高25%、スギで同30%近く向上し、曲げ比例限度も2倍以上に向上したが、曲げ強さは最大で10~20%の向上率に留まった。最大たわみ量も無処理材の1/2以下に低下した。
圧縮強さは樹脂処理によって顕著に改善された。特に、部分圧縮試験において、ヒノキ材の比例限縮み量が無処理材の1.5倍になったことは実用上、有意義であると考えられる。
和田 博・坂野三輪子
スギ、エゾマツ、カラマツラミナを用いて、静的曲げ試験を行い、最大たわみと力学的諸量との関係を求めた。さらに、「型枠」に沿ってラミナを曲げることによりラミナ厚さと、曲げ可能な最小曲率半径との関係を求め、「構造用大断面集成材の製造基準」等と比較した。その結果、静的曲げ試験から曲げ可能な最小曲率半径を予測することは困難であること、および厚さの薄いラミナを曲げるには製造基準の値はやや厳しいことがわかった。
中村嘉明
バーサチック酸亜鉛エマルジョン製剤を用いて、加圧注入処理による6樹種の供試材への薬剤注入量、あるいは耐候操作回数の違いによる防腐効力の発現の差異を検討した。その結果から、この薬剤の樹種別の有効注入量下限値を推定した。