的場三輪子・和田 博・中西祺周
前報で、ニュージランド産ラジアータパイン材ラミナを樹心からの年輪数によって、3段階に区分し、強度性能を調べたが、実用上は年輪幅で分類した方が便利であると思われるので、今回は、それぞれに対応する年輪幅として、A:10mm以上、B:10~5mm、C:5mm以下を基準として等級区分を行った。これらのラミナを最外層に配置した5層の集成材を作製し曲げ試験を行った結果、最外層にCを用いたものは最も強く(MOR:606~698kg/cm2)、Bを用いたものがそれに続き、AとC、BとCが混在しているものは共に弱かった。
また、造作用として用いることを前提として、人工乾燥を施したラミナ、および、それらから作製した5層の集成材の含水率、寸法の変化、狂いの発生等を測定した。その結果、変形は人工乾燥直後に最大値に達するが、その後減少し、集成材製造後における変形もごくわずかであった。
魚澤 傳・皆地良雄
スギ穂付き丸太の穂枯らし中の干割れを防止するために、剥皮材面に水分蒸散抑制用塗料を塗布する方法を試験した。塗料による干割れ発生時期の遅延効果と耐候性を調べた。所期の目的を達成するために必要な塗料を選定し、スギ小径穂付き丸太に適用し干割れ防止効果と含水率経過を調べ干割れ防止について有効な結果を得た。塗布試料の含水率は無塗布対照試料と比較すると6カ月後で9%高かったが1カ年後にはその差はほとんどなくなった。
岡崎 旦・西本順蔵・吉田明男
ヒノキの種子凶作年の苗木需給計画を安定させる方法の一つとして、実生山行苗側枝を利用したさし木苗育成が考えられる。この方法によるさし木苗の植栽後の生長量その他諸形質を知るための試植林分で、初期生長についての調査を行った。その概要は次のとおりである。
1)植栽後10年目におけるさし木苗と実生苗の生長は、ほぼ同じかやや実生苗の方が良い。しかし両者の差は比較的小さく、平均樹高でのもっとも大きい差は約1mである。
形状比にも大差はなく、ほぼ同じ値である。
2)植栽本数に対する10年目の本数割合は、さし木苗が実生苗より低い傾向がある。その主な原因は活着率の良否によるものと推定される。このことは、さし木苗の実用性にはマイナスであり、発根性を始めさし木苗の根系充実、働きに関する検討が必要であろう。
衣田雅人
県内で栽培されているヒラタケの系統整理と優良系統選抜の資料とするため、県内で得た22菌株から対峙培養法により識別した明らかに異なる3系統の特性を比較した。麦芽煎汁寒天培地における3系統の菌糸伸長の速さは、系統間で異なったが、菌糸伸長の最適温度は、どの系統も30℃前後であった。菌糸伸長は、どの系統も35℃を越えると急速に遅くなり、40℃になると菌糸は死滅した。この3系統を鋸屑ビン栽培法で栽培すると、栽培日数は、系統間で大きな差が認められなかったが、子実体発生量は、系統間で差が認められた。
岩田せん穀
天理市及びその周辺地におけるクヌギの適地は、1)標高500m以下であること。2)山脚部、谷筋、山腹下部であること。3)A層は20cm以上であり腐植は十分浸透していること。4)軟さ指数は7.0以上の値であること。5)土壌型はBD型土壌で崩積土又は匍行土であること。
以上が必要条件となる。
20年生時におけるクヌギの生長は、1)蓄積はha当たり最大200m3。2)平均樹高(上層木)14m、平均直径20cm、成立本数(ha当り)2500~3000本となる。
今後シイタケ原木としてクヌギ林を造成する場合には、採算コストを考えるならば一団地ある程度の面積が必要である。