景観・環境総合センター大気係

 奈良県のきれいな空気を守るため、空気中の有害な物質等を測定して監視しています。その結果を用い奈良県の現状を把握し対策等を検討するため調査研究をしています。
 奈良県では大気中の環境基準が設定されている多くの物質(二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質、一酸化炭素等、微小粒子状物質(PM2.5))について改善が進み、環境基準をほぼ100%達成するようになりました。しかし、光化学オキシダント濃度の改善は小さく、未だに環境基準を達成していません。この様な状況下、大気係では、きれいな大気環境を維持し、あるいは取り戻すための調査研究を行っています。

アスベスト対策調査

 環境中のアスベスト濃度の状況を把握するため県内5地点で、季節毎に測定しています。また、アスベスト除去作業を含む大規模解体等作業現場におけるアスベスト濃度調査を行い、アスベスト飛散事故が起こらないように監視しています。

アスベストサンプリング装置 アスベスト計測に使用する位相差顕微鏡
(総繊維数で1f/L以上検出されたら電子顕微鏡で再測定)

有害大気汚染物質調査

 県内の環境大気の汚染状況を把握するため、大気汚染防止法に基づきベンゼン等揮発性有機化合物11物質、アルデヒド類2物質、ベンゾ(a)ピレン、酸化エチレン、ヒ素等重金属類5物質及び水銀について測定しています。また、県独自に要監視大気汚染物質(キシレン、1,1,1-トリクロロエタン、四塩化炭素)を測定しています。これらの測定結果を用いて多角的に汚染特性を解析することで汚染増加の原因を解明するとともに、その低減施策を提言することを目的としています。

有害大気粒子状物質のサンプリング装置 粒子状物質を捕集した濾紙
アルデヒド類分析やPM2.5成分分析新規項目
分析に使用するLC/MS
揮発性有機化合物(VOC)分析に使用するGC/MS

酸性雨調査

 県内の降水汚染の実態把握と原因究明を行うため、毎月の降雨量、pH、E.C.、イオン成分8物質を測定しています。

雨水自動採水装置

微小粒子状物質の成分分析調査

 2009年9月、人体への深刻な影響が指摘されている微小粒子状物質(PM2.5)について環境基準が新たに設定されました。このPM2.5を構成する成分の状況を把握するため、PM2.5成分分析調査を行っています。イオン成分9項目、無機元素成分23項目、炭素成分3項目を県内2地点で14日間の連続測定を季節毎に行っています。

PM2.5成分分析用サンプリング装置 PM2.5炭素成分分析に使用する
カーボンアナライザー
試料の分解を行う圧力容器分解装置 PM2.5無機元素成分分析に使用するICP-MS
PM2.5イオン成分分析に使用するIC

道路沿道の自動車騒音調査

 道路沿道の住居についての自動車騒音の状況を把握するため、県内3区間について自動車騒音測定を年に1回実施しています。また、自動車騒音の環境基準の達成状況を把握するため環境省が配布するシステムを用い面的評価を行っています。

自動車騒音の測定用騒音測定装

環境放射能測定調査(原子力規制委員会委託事業)


 県内の大気、土壌、食品などに含まれる自然及び人工放射能調査を行っています。県内の放射性降下物等による環境放射能の水準を把握するため、降下物や大気浮遊じん、陸水(蛇口水)、土壌の放射能を測定しています。また、県内産の精米、野菜類、茶、牛乳等の放射能を測定しています。これらの調査は、国内外の原子力関連施設の事故や地下核実験による県内への影響を評価するための基礎資料になります。

 

大気環境中の放射能を測定する
モニタリングポスト
放射性核種分析に使用する
Ge半導体核種分析装置
放射性降下物サンプリング用大型円盤 核種分析に使用する茶葉の前処理

大気汚染常時監視システム補完のための簡易測定による調査

 県内の大気汚染常時監視システムを補完するため、簡易測定による降下ばいじん量及び二酸化窒素を毎月測定しています。

降下ばいじん及び二酸化窒素サンプリング装置

国立環境研究所との共同研究

 全国環境研協議会の提言を受けて、国立環境研究所と複数の地方環境研究所等の研究者が参加して共同研究を実施しています。景観・環境総合センター大気係では、近年問題になっているPM2.5の調査研究のため、共同研究課題に参加しています。