基本情報
指定概要(国宝 金峯山寺二王門)
建立
室町時代中期 康正2年(1456)頃
構造
三間一戸二重門 入母屋造 本瓦葺
修理期間
令和2年(2020)9 月~令和11年(2029)3月
修理方針
修理前の二王門は、柱の基礎となる礎石に不同沈下(※3)や割れがみられ、これが建物全体に影響して、木部材に変形が生じていました。また、多くの木部材に虫害がみられ、屋根では、使用されていた瓦に亀裂や剥離、欠損が目立っていました。
そのため、建物を一旦全て解体して、必要箇所を修繕した上で再度組み立て直す「解体修理」を行うこととしました。建物を解体後、発掘調査を行い、現在の基礎の構造や地下にある別の遺構の有無等を確認し、あるいは不同沈下の原因を究明します。その後、礎石を掘り上げて基礎の補強工事を行い、再度建物を組み立てますが、事前に行っていた耐震診断の結果を受けて、建物の耐震補強も合わせて行います。
※3 不同沈下(ふどうちんか):構造物の場所によって異なる沈みが発生している状況。
工事の経過
本工事は、令和2年度に着手し令和10年度に完了の計画で進めています。令和2年度には常駐現場として現場事務所(金峯山寺出張所)を開設し、準備工事を進めました。令和3年度には、二王門をすっぽりと覆う工事用の素屋根(※4)を建設しました。令和4年からは建物の解体に着手し、令和5年度上半期にかけて実施し、10月上旬に建物の解体を完了しました。その後下半期は、発掘調査を行い、二王門の基壇の築造状況や下に別の遺構がないかを確認しました。また、解体した木部材の詳細調査や修繕作業にも着手しました。令和6年度も引き続き、解体した木部材の詳細調査や修繕作業を継続して実施中です。
※4 素屋根(すやね):主に修理中の建物や解体した部材を風雪雨から護るために、その上部に覆い屋として架けられる仮設の建物。