平成24年に、「公共建築物における“奈良の木”利用推進方針」に基づき、公共建築物等の県産材の利用を推進する事を目的に、公共建築物等における県産材利用の推進方策の検討、円滑な県産材供給のための連絡調整、適切な県産材利用のための助言等を行うための組織として、県、市町村及び関係団体で組織する「奈良の木利用推進協議会」を設立し、活動しています。
また、令和元年度より「地域における民間部門主導の木造公共建築物等整備推進事業」「地域における非住宅木造建築物整備推進事業」(林野庁・(一社)木を活かす建築推進協議会))に採択いただき、県産材を活用した建築物の木造・木質化推進のための課題とその対策について検討を進めています。
県産材を活用した建築物の木造・木質化推進のための課題
令和元年度に、木材産業関係者・建築関係者・行政関係者が集まり、意見交換を実施。課題と検討方針を以下の4項目に整理しました。
1.木造化推進策の未整備
奈良県で木造建築に取り組むために、確認が必要な事項等、分かりやすい手引き等の作成に向けた検証と資料化が必要
2.木造技術の育成体制の未整備
コスト、メンテナンスに配慮した設計の研究や、内装制限、防音等ノウハウの蓄積体制の検討が必要
3.木材情報の未整備
材料に具備するべき品質、規格、調達方法などの技術情報を示していけるか、効率的な流通体制の構築を検討
4.木造建築発注体制の未整備
自治体が発注する際の情報、制度や体制等の整備が必要
県産材を活用した建築物の木造・木質化推進の取組
上記の検討方針をもとに、出来ることから取組を進めています。
(1)木造公共建築物の特性(コスト等)比較
(一社)奈良県建築士会に協力いただき、木造建築物を建てる際の、耐久性向上、コストについて検討し、試設計案を
作成。建設する際の工事費(建設コスト)の比較を実施。(令和3年2月時点)
▷3階建木造共同住宅試設計案(抜粋)(pdf 1362KB)
▷木造とRC造の工事費(建設コスト)の比較結果(pdf 253KB)
(2)材の調達体制シミュレーション
(1)の試設計案の建設プロジェクトを想定し、県内で材の供給が可能か、シミュレーション検証し、県産材のサプラ
イチェーン構築の課題を整理。
(3)公共建築物の発注者向けの木造建築の発注に関する説明資料の作成
建築物の木造・木質化のメリット等を整理し、公共建築物の発注者向けの発注・設計に関する説明資料「奈良県県産材
を使用した中大規模公共建築物計画のための手引き」を作成。
▷奈良県県産材を使用した中大規模公共建築物計画のための手引き(pdf 4714KB)
(4)発注者、設計者、施工者への木材に関する情報整理、提供
県内に流通している県産材の品質、規格、調達方法などを整理し、「奈良県産材流通規格品リスト」を作成。
▷奈良県産材流通規格品リスト(pdf 193KB)