奈良県指定文化財 木造大日如来坐像【H29修理完了】
大日如来坐像について
本像は、平安時代後期の仏師・定朝(じょうちょう)が完成した様式に通じる特徴を備えた優品で、像の高さが150cmを超える大型の大日如来像の遺例として県内を代表する仏像です。
元々は十市御縣坐神社(とおちのみあがたにますじんじゃ)の神宮寺(じんぐうじ)の本尊として伝わり、明治初年の神仏分離に際して正覚寺(しょうかくじ)阿弥陀堂に移されたと言われています。地域の歴史を物語る貴重な財産といえます。
現在、正覚寺は十市町自治会が所有・管理しており、本像は令和元年(2019)に新築された収蔵庫内に、橿原市屈指の古さを誇る木造地蔵菩薩立像(もくぞうじぞうぼさつりゅうぞう)、木造天部立像(もくぞうてんぶりゅうぞう)(いずれも平安時代・奈良県指定文化財)とともに安置されています。
【修理について】
修理前は、全身にわたって後世の厚い漆に覆われ、本来の姿が損なわれていました。また、各部材の接合が緩んだり、割損したりしている箇所が見られました。
そのため、修理では、後世の漆を除去し、制作当初の彫刻面や漆箔を出す作業を行いました。また、本体を解体し、割れた部分は接合し、隙間には新たな材を補って、部材を組み直しました。
今回の修理により、本像は制作当初により近い姿を取り戻すことができました。
※拝観について
事前予約をお願いいたします(0744-47-1315、橿原市文化財保存活用課)。
<参考データ>
・時 代:平安時代末期(12世紀)
・所有者:十市町自治会(橿原市十市町)
・像 高:153.0cm
・指定年:平成18年度
・修理年:平成28~29年度(2か年)