第10回定例会議(令和5年11月7日開催)

令和5年度第10回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
 令和5年11月7日 
 11時00分

 

<閉会>
 令和5年11月7日
 12時00分

 

<会議場所>
 教育委員室

 

<委員出欠>
 伊藤忠通(出席)
 上野周真(出席)
 田中郁子(欠席)
 伊藤美奈子(出席)
 三住忍(出席)

議案及び議事内容

<議案>

議決事項1  奈良県県費負担教職員の人事評価に関する規則の一部改正について

議決事項2  奈良県高等学校等職員の人事評価に関する規則の一部改正について

議決事項3  令和6年4月人事の教職員人事異動方針及び重点項目について

議決事項4  奈良県立高等学校総合寄宿舎管理運営規則の一部改正について

 

<議事内容>

○吉田教育長 「伊藤忠通委員、上野委員、伊藤美奈子委員、三住委員おそろいですね。それでは、ただ今から、令和5年度第10回定例教育委員会を開催いたします。本日は、田中委員が欠席ですが、定足数を満たしており、委員会は成立しております。奈良県教育委員会会議傍聴規則第2条の規定に基づきまして、1名の方が傍聴券の交付を受けられています。」

○吉田教育長 「議決事項1『奈良県県費負担教職員の人事評価に関する規則の一部改正』について、ご説明をお願いします。」

○東村教職員課長 「議決事項1『奈良県県費負担教職員の人事評価に関する規則の一部改正』と議決事項2『奈良県高等学校等職員の人事評価に関する規則の一部改正』は関連していますので、合わせて説明いたします。」

○吉田教育長 「はい。」

○東村教職員課長 「両規則の中に、人事評価に関する書類等の保管期間についての記載がなかったため、今回の改正により、評価期間が含まれる年度の翌年度の4月1日から起算して、5年間という規定を入れます。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○三住委員 「保管期間終了後は、他の県の書類と同じように廃棄されるのですか。」

○東村教職員課長 「保管期間が過ぎた書類については、県全体の廃棄にあわせて廃棄しています。」

○伊藤(忠)委員 「今まで保管期間の記載がなかったところに、改めて保管期間を加える理由は何ですか。」

○東村教職員課長 「人事評価は平成18年から始まっており、実際の保管は今回の改正案と同じ5年間で運用してきましたが、根拠を明確にして、文書管理の明確化を図るため、規則で規定します。」

○伊藤(忠)委員 「人事評価で問題があった場合のために5年間とするのではなく、今まで運用でしてきたものを明文化したということですね。」

○東村教職員課長 「人事評価の結果は給与に反映しており、給与は5年前まで遡及して返還することがありますので、書類の多くは5年保存を基本にしています。」

○三住委員 「今後、電子データで保存する形になっていくと思いますが、それとの対応関係はどうなっているのですか。」

○東村教職員課長 「県庁で電子化が進んでいますので、今後できれば人事評価シートも電子化したいと思いますが、当面は、まだ紙で行います。」

○三住委員 「紙だと溜まってしかたないですが、電子化した場合、永久保存が事実上可能になりますね。将来的には永久保存的なことはあり得るのですか。」

○吉田教育長 「指導要録も今、電子化しており、その電子データの保存についてはどうなっていますか。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「変わっていません。保存年限は紙と同じです。」

○上島教育次長 「学校現場の話なのでなかなか進んでいませんが、将来的に電子化をめざしていく必要があると思います。廃棄の仕方は決まっていませんが、残せるから残すというのではなく、5年の保存期間を超えたら廃棄をするというのが前提になります。」

○三住委員 「廃棄する書類のほか、ずっと残しておくべき情報が教育委員会であるかどうかわかりませんが、一般的にはあります。判決は永久保存です。スキャナで読み込めば全てデータになります。そういう形で永久保存すべきことはあるのでしょうか。ないとは思いますが。」

○上島教育次長 「県は永久保存という区分がなく、一番長いのが30年保存です。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」

      ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項1及び議決事項2については可決いたします。」

○吉田教育長 「議決事項3『令和6年4月人事の教職員人事異動方針及び重点項目』について、ご説明をお願いします。」

○東村教職員課長 「令和6年4月人事の教職員人事異動方針及び重点項目について、説明いたします。
 教職員人事異動方針は、昨年11月8日に見直した方針に従い、令和6年4月の人事異動を進めていこうと考えています。
 県立学校の重点項目は、項目2と項目3の順番を昨年から入れ替えるとともに、項目2の交流先に、従来の小中学校に加えて、高等学校を追加しています。近年、高等学校においても、特別支援教育を必要とする生徒が増加しており、特別支援学校のセンター的機能を活用し、交流を通じて、人材育成を図ります。また、項目4として高等学校で公募制人事異動を進めることを追加しています。県立高等学校適正化及び県立高校における特色ある教育を推進するため、新たに公募制を設け、情熱と意欲のある教員の積極的な異動を図ります。
 小中学校の重点項目は、項目1から4の順番を昨年から入れ替えるとともに、項目5として、へき地教育推進のための公募制人事異動を進めることを追加しています。へき地教育に対し意欲と実績のある教員を公立小中義務教育学校から公募し、適材を適所に配置することで、人事面から学校づくりを支援し、へき地教育の一層の充実を図ります。
 それぞれの重点項目の充実に向け、県立学校においては所属校へ、小中学校では市町村教育委員会へ、積極的に働きかけ適切な人事異動に努めてまいります。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○伊藤(忠)委員 「小中学校の異動の件で、項目5に、へき地教育推進のための公募制人事異動がありますが、これまでへき地の学校に教員を配置するのは、本人の希望があってのことなのか、あるいは事情によって、へき地の学校に赴任してくださいということなのか、今回それを公募制にされるということは、当然本人の意思を尊重するということですよね。今までへき地の学校を希望される人が少なかったのでしょうか。」

○東村教職員課長 「従来、教職員が提出する人事異動調書では、希望地について、広い範囲で、吉野郡など郡市名の記載をすることはできました。今回の公募制では、学校名を記載してもらいます。公募の対象校については、国のへき地基準に基づく特地勤務手当が支給されるへき地性の高い学校とします。」

○伊藤(忠)委員 「ただ、へき地性の高いところは、なかなか教員の方の日常生活等の変化もありますから、そう簡単にいかない部分もあるかもしれませんが、公募制にしてうまく人が配置できなかった場合はどうされるのですか。」

○東村教職員課長 「へき地の応募がどれだけあるかは実際、まだ掴めていませんが、従来どおりの人事異動調書の記載も残るので、それも活用してへき地への人事異動を進めたいと思っています。」

○伊藤(忠)委員 「へき地に赴任される場合、それは単身赴任という形になるのですか。」

○吉田教育長 「単身は限られています。へき地でも通えるところと、教職員の寮に入るところがあります。人事異動方針の中にはないですが、対象を初回の異動者に限定することを考えています。そのことはどこに示すのですか。」

○東村教職員課長 「職員向けの案内をする際に、初回異動者に限定することを示そうと思っています。」

○伊藤(忠)委員 「へき地に赴任された方は、平均して何年ぐらいそこに勤められることになりますか。」

○吉田教育長 「この初回異動で行う場合に想定しているのはだいたい4年です。へき地ではもっと長く居て欲しいと思われていますが、あまり長くなると、行く人間が少なくなるので、県としては4年ぐらいを想定しています。初回異動は2校目になるので、評価が高ければ評価を高くすることも含めて、この公募制人事異動の実効性を高めようと思っています。2校目で1度へき地を経験してみようという人がそこで4年は最低頑張ってくれたらというイメージです。」

○伊藤(忠)委員 「公募の時に、こういう条件ですというのはつけるのですか。勤務は4年間ですよとか。」

○東村教職員課長 「期間についてはどのように周知するか検討します。」

○吉田教育長 「へき地の教育長は、新採をせっかく育てたのに、後任はまた新採かということよりも、2校目の配置の人が入るこの公募制の形で推進して欲しいということをおっしゃっています。」

○伊藤(忠)委員 「適材適所でしていただければ一番良いのですよね。」

○三住委員 「これは他府県からの公募ということもあり得るのですか。今は奈良県を前提に検討されているようですが、北海道から奈良県のへき地に来て、やりたいという人がいて、その人に、お願いするということはあり得るのですか。いろんな勤務条件とか、問題がありますが、理屈としてあり得るのですか。」

○東村教職員課長 「今回お諮りしているのは人事異動の方針で、一旦採用された方に、どのように異動していただくかというものです。他府県から公募するとなると、採用に関わりますので、この人事異動方針の対象外になります。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」

      ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項3については可決いたします。」

○吉田教育長 「議決事項4『奈良県立高等学校総合寄宿舎管理運営規則の一部改正』について、ご説明をお願いします。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「奈良県立高等学校総合寄宿舎管理運営規則の一部改正について、説明いたします。
 この度の改正は、奈良県立高等学校総合寄宿舎管理運営規則第12条に規定する教育委員会が定める区域について、資料に示す区域を追加するものです。
 お手元の資料『奈良県立高等学校総合寄宿舎管理運営規則の一部改正について』に概要をまとめておりますので、そちらをご覧ください。
 今回の改正は、総合寄宿舎の入寮資格について検討したところ、条例及び規則に規定されている住所要件の区域指定が、特に県東部地域(奈良市、山添村)について、現在の交通事情等と整合していないため、区域を拡大する変更となっています。
 奈良市については、現在、県教育委員会が定める区域に加え、奈良市教育委員会が定める市立中学校通学区域における『田原中学校・興東館柳生中学校・都祁中学校』の区域、『2 改正の内容 (1)奈良市 【拡大後の地域】』の下線を引いている地域58町を追加します。
 山添村については、現在指定されていない区域、『(2)山添村 【拡大後の地域】』の下線部の15地域を追加します。
 一枚めくっていただきますと、地図が載っています。地図の黄色の部分が現在すでに指定されている地域になります。加えて、緑色で示した部分が、今回新たに追加させていただく地域になっています。
 この改正については、令和5年12月1日から施行し、施行後、各中学校及び高等学校に周知してまいりたいと考えております。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○三住委員 「交通事情の変化というのは、採算が合わないことでバスの利用が減るということですか。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「地図をご覧いただきたいと思います。青いラインが名阪国道になっております。今まで名阪国道を走っているバスが、山添村までつながっていたのですが、バス路線が廃止になり天理方面へ行けなくなるという交通事情の変化が、この地域全般にわたりあります。」

○三住委員 「今後、奈良交通等で、どれだけ減らすとかいう話や地域のコミュニティバスを運行するなど、いろいろな話があると思いますが、ある程度、情報として入ってくるのでしょうか。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「情報は取りに行かないとなかなか入ってはこないので、今回も情報を取りに行きました。」

○吉田教育長 「拡大後の地域と改正の内容が書いてありますが、その内の黄色の地域は従来の地域ですね。では、従来の地域も入っているのではないですか。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「下線を引いてある部分が新しい地域で、下線を引いてない部分は従来の地域です。地図でいうと黄色の部分は従来の地域で、緑色の部分が今回拡大した地域です。」

○吉田教育長 「奈良市教育委員会から要望が出されているのですね。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「この3中学校の地域を拡大して欲しいと要望が出されています。」

○伊藤(忠)委員 「今回拡大されたわけですが、このエリアに在住する子どもたちが入寮できるのですね。拡大したことによって、現在の総合寄宿舎の受け入れキャパシティーは大丈夫なのでしょうか。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「現在のところ、コロナ禍の影響で2人定員の部屋を1人で使っているということもあり、十分にキャパシティーはあると認識しています。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」

      ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項4については可決いたします。」

○吉田教育長 「その他報告事項について、ご報告をお願いします。」

○新子健康・安全教育課長 「性に関する指導ハンドブック作成について、報告いたします。
 これまで県では性教育について学習指導計画に基づいた指導計画や指導案を中心とした性教育の手引きを平成16年度に作成し示してきました。ただ、近年、児童生徒を取り巻く環境が大きく変化している中、性に関する指導においても様々な課題がもたらされています。そこで、学習指導要領における性に関する指導の取扱いや、発達段階に応じた指導内容についてまとめ、そして、科学的根拠に基づき、ジェンダー、多様性、人間関係、性暴力の防止など、従来の性教育よりも広く包括的な内容を含めた基本的な考え方、進め方及び事例等を提示するため、今回『性に関する指導ハンドブック』を作成することといたしました。
 作成までのスケジュールとしましては、資料のとおりです。作成委員会を立ち上げて進めていく予定です。また原稿作成にあたりましては内容に応じて教育委員会事務局関係各課等に依頼をしたいと考えていますので、ご協力をお願いします。
 『性に関する指導ハンドブック』の作成委員会に関しましては、資料のとおりとなっております。奈良県性教育研究会の会長をされている畿央大学の高田恵美子先生を委員長とし、委員として同副会長の吉村先生、そして原稿作成を依頼しております関係各課の課長、室長、部長、性暴力に関しましては知事部局の女性活躍推進課及び子ども家庭課の課長にも入っていただく予定をしております。
 第1回の作成委員会につきましては11月21日火曜日15時から教育委員室にて開催を予定しております。委員の方々には改めて依頼をかけさせていただきます。また、原稿等の実務に当たりましては、関係各課の係長及び指導主事にお願いしてワーキンググループを設置しまして進めてまいります。当課としましては事務局として庶務全般を当たる予定としています。
 以上です。」

○栢木教育研究所長 「令和4年度『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』結果の概要及び令和4年度『奈良県公立学校における生徒指導の課題に関する諸調査』結果の概要について、報告いたします。
 資料といたしましては、2種類の『結果の概要』を配布しております。資料1は、全国調査において全国と本県の結果の比較となり、対象は国公私立全ての学校となります。資料2につきましては、資料1の全国調査の内容に合わせて、本県の公立学校における調査結果をもとに作成したものとなります。
 まず、資料1の1頁『(1)暴力行為の概況』をご覧ください。本県における発生件数は全国平均より低いものの、令和3年度から0.6ポイント増加しました。全国平均も昨年度より上昇しており、全国的に増加傾向が見られます。具体的には、資料2の1頁『(2)暴力行為別』で見ていきますと、1,000人当たりの発生件数では、『生徒間暴力』が大きな割合を占めております。これについては、新型コロナウイルス感染症対策によって、家庭生活が学校生活における制約が多くなったことにより、不安やストレスが増大したことが要因の一つと考えられると分析しております。コミュニケーションの能力の欠如や発達特性により、集団生活を苦手とするような児童生徒が一定数いることも考えられます。
 続きまして、資料1の2頁、『(1)いじめの概況』をご覧ください。いじめの認知件数は全国的に増加傾向であり、本県は58.1件で、前年度より1.9ポイント減少していますが、全国平均より高い状況が続いています。校種別では、『(2)校種別』のとおり、小学校で減少(3.2ポイント)、中学校で微増(0.3ポイント)、高等学校で微増(0.2ポイント)となっております。小学校で全国平均より18.4ポイント高くなっております。いじめの認知件数につきましては、本県では平成27年度以降8年連続で全国平均を上回っております。本県としましては、各学校に、些細な兆候であっても積極的に認知し対応につなげていくよう求めていることが、全国平均を上回っている要因と捉えております。
 次に資料1の『(4)いじめの現在の状況』をご覧ください。本県において、いじめが解消しているものは80.4%で、前年度から2.8%減少していますが、全国平均より3.3ポイント高くなっております。いじめが解消しているものが全国平均より高い要因としましては、いじめに関するアンケートの実施や、令和3年度から毎年12月を『いじめ防止強化月間』と定め、各学校における『学校いじめ防止対策組織会議』の集中開催等の取組等をお願いしていることによって、教員や子どもの意識が高まり、早期発見・早期対応を組織的に行えるようになってきていることが考えられます。各学校には安易に解消したと判断することなく、丁寧な見守りをお願いしているところでございます。
 次に、資料1の3頁、『不登校』をご覧ください。『(1)校種別』では、小中高いずれの校種においても全国的に増加となっておりますが、特に中学校で高い傾向にあります。これについて、資料2の5頁の2つのグラフを見ますと、上のグラフでもわかるように、小学校6年生から中学校1年生にかけて大幅に増加していますが、そのうち『新規不登校』が多くなっています。中学校2年生では前年度からの継続が多くなり、総数でも増加しております。下のグラフでは先ほど述べた『出席日数が10日以下』を示す緑の棒が、中学校2年生から大きく増加しております。対応としましては、従来の支援・相談に加えて、令和3年度から小学校6年生や中学生を対象としたオンライン学習支援を開設し、学習へのサポートを行っています。また、1人1台端末を活用し校種別に『子ども支援サイト』を開設し、悩みを抱える子どもへの情報提供や気軽に相談できる窓口等を設置し、より適切な支援につなげるきっかけづくりに努めております。令和5年度からは、県内5市及び教育研究所内に不登校支援のための奈良県ネットワーク型フレキシスクール『不登校支援ならネット』を開設し、オンラインによる支援を行っております。
 最後に、資料1の4頁、『中途退学』をご覧ください。高等学校における中途退学者は奈良県、全国ともに増加しております。資料2の6頁に県立高等学校のデータがありますが、全日制では1.1%となり、0.2ポイント増加していますが、全国平均より下回っております。
 以上です。」

○吉田教育長 「ただ今の件について、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○伊藤(忠)委員 「性に関する指導ハンドブック作成について、性に関する指導で各教科とありますが、どの教科について行うものですか。」

○新子健康・安全教育課長 「中学校や高等学校では保健体育で性教育を行うことになりますが、小学校では理科の授業の生物に関わる分野や、社会や家庭科においても関連付けて行うことは考えられます。このことについて、指導主事とも相談しながら作成していきたいと考えています。」

○三住委員 「これは先生向けのハンドブックと考えてよろしいですか。また、小中高とそれぞれ作成されるのですか。」

○新子健康・安全教育課長 「教員向けの指導に役立てるものとなり、小中高を一冊にまとめる予定です。」

○三住委員 「他府県も作っているところもあると思いますが、それらも参考にしながら奈良県としてのものを作成していくのですか。」

○新子健康・安全教育課長 「他府県も参考にしながら良い部分については取り入れていくことも考えています。」

○三住委員 「性に関する内容は非常に多岐にわたるものであるため、先生方が幅広くいろいろな知識を深められるよう、参考文献などを提示してみてはどうですか。」

○新子健康・安全教育課長 「参考文献や参考となるサイト等はまとめて示したいと考えています。」

○吉田教育長 「委員会で出た意見も参考に進めていきましょう。よろしくお願いします。」

〇伊藤(美)委員 「資料2『奈良県公立学校における生徒指導の課題に関する諸調査』の5頁『不登校』のデータで『学年別不登校児童生徒数』を見ると、小学校に比べて中学校で増加するということがわかります。他の学年では『前年度からの継続』が上がっていますが、中学1年では少し下がっています。逆に、『新規不登校児童生徒数』の方が増加しています。このことを考えると、小学校から中学校に上がる時に、学校のいろんな環境の変化から、『中1ギャップ』等、そこで不適応になる子どもが多いと考えられる一方で、小学校では不登校だった子どもがリセットされるということも考えられますが、どう捉えていますか。」

〇栢木教育研究所長 「お話しいただいたとおり、中学校に上がるということで、今まで学校に行けなかった子どもが環境の変化により行けるようになるということも多くあると考えます。高等学校でも同じようなことがあります。その傾向から、中学校1年で『前年度からの継続』が減少すると考えられます。反対に、複数の小学校から中学校に入学した時に、新しい環境に馴染めずに不登校となって、『新規不登校』という形になる子どもたちも多いと考えられます。」

〇伊藤(美)委員 「『中1ギャップ』という言葉にはマイナスのイメージが強いですが、それだけではなく一つのバネにして、学校に戻れる子どももいるということに気付くことができました。もう1点、資料1の4頁で、『中途退学率』がありますが、この資料には転学者が含まれていますか。」

〇栢木教育研究所長 「転学者は含んでいません。」

〇伊藤(美)委員 「実際には不登校であったが別の学校に転学して、そこで登校できている場合は、この数には含まれていないということになりますか。」

〇栢木教育研究所長 「退学をして通信制等に入学した場合には、一旦退学となっているため退学者数に含まれています。学校間の試験を受けた転学や、地域等の移動による転学の場合は、この数には含まれていません。」

〇伊藤(美)委員 「実態としては、不登校の結果としての転学もあると思います。最近では通信制に転学する生徒が増加しているという印象がありますが、不登校の結果の一つとしての転学について調査することは可能ですか。」

〇栢木教育研究所長 「通信制を受験し直す場合には一旦退学となるため、その場合は中途退学となります。」

〇伊藤(美)委員 「わかりました。」

〇三住委員 「中途退学についてお聞きします。高校の中途退学の場合に、高校卒業資格を取得したいが中退するという生徒と、働きたいから中退するという生徒の両方がいると思いますが、働きたいという思いをもっている生徒の場合に、就職先の斡旋のようなことは地域や学校であるのでしょうか。」

〇吉田教育長 「アルバイトをしている生徒が多いと思います。アルバイトしているから学校を辞めてもいいということになる事が多いと思われます。」

〇栢木教育研究所長  「教育長からのお話にあったように、学校をやめる原因としては、少しずれるかもしれませんが、アルバイトに気持ちが傾いてしまい、アルバイトの方が楽しいということで、学校を辞めて働きたいという生徒もいます。」

〇三住委員 「いじめについて、『解消の定義』をどう捉えていますか。まずは外見上、解消することが第1だと思いますが、その後加害者側がどう納得していじめることを止めるかが大切だと思います。例えば、いじめられている子どもが、家庭環境が悪く入浴もできず、その結果『臭い』と言われる。本当に臭いから臭いと言われてしまう。そこで『臭いと言ってはいけません』と注意し、『いじめ』として押さえつけるだけではよくないと思います。場合によっては被害者の事情をある程度伝えて、加害者側に理解させることが必要なこともあると思います。外見上の解消だけでなく、加害者側の納得も必要だということです。いじめには様々なパターンがあるので、加害者側が納得するということも解消においては大切だと言えます。そうした、いじめの『解消の定義』について県としてはどう考えていますか。」

〇栢木教育研究所長 「定義にとらわれず、継続的な見守りが必要だと考えています。先生の前だけで表面上で謝って、『仲良くしなさい』で終わることが解消とは考えていません。それぞれの子どもの背景等についても学校で調査・把握し、SCやSSWとも連携しながら、いじめの根本にある部分を見据えた上で、双方が納得し、解消されたと判断できるところまで学校では継続的に見守っていく必要があると思います。」

〇吉田教育長 「定義では解消は3か月間となっています。加害生徒に対する指導を行い、表面上のいじめがなくなるだけでなく、3か月かけて継続した見守りを行うことになっています。」

〇三住委員 「いじめ問題の基本的な認識ですが、いじめは昔からあります。社会にもあります。基本的にあるものです。いじめには小さなものから大きなものまでの様々な状況があります。ある程度までは子どもに任せることも必要だと思っています。すべてのいじめに大人が入り、小さなこともすべて解決していくことには疑問があります。小さなことを放っておくことで大きなことになってしまうこともあるため、難しいことではあると思いますが、子どもの社会というものを認めていくことも必要ではないかと思っています。子どもには子どもの世界でいじめがあるということを理解させる必要があると思います。『いじめはあかん』と言っていても、社会に出てもいじめはあるため、耐性をつけるということも必要だと思います。全てのいじめをなくそうとするのではなく、悪化していく可能性のあるものについては対応するが、様子を見ても悪化しないものであれば様子を見るということも必要ではないでしょうか。もしかすると大きなことになってしまう可能性もあるかもしれませんが。大人が子どもの社会にどこまで関与するのかという意識なしに、全てのいじめを大人が解決しようとすることは、あまり良いことではないように個人的には思っています。」

〇栢木教育研究所長 「今のお話にあったように、例えば担任がいじめを発見した際、担任だけで判断するのではなく、必ず管理職等に報告し組織的に様々な面から検討していく必要があります。子ども同士の中で納得して終われるものなのか、些細なものであっても学校として保護者とも連携をとりながら解決していかなくてはならないものなのかというところをしっかりと見極めて、対応していく必要があると考えています。」

〇三住委員 「子どもに任せる場合も、任せながらも見守るということですね。」

〇栢木教育研究所長 「はい。それが大切だと考えています。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、その他報告事項については了承いたします。」

○吉田教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員の皆様にお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」