第15回定例会議(令和6年2月28日開催)

開催概要

議決事項

1

奈良県教諭の資質向上に関する指標の改訂等について<1(pdf 3954KB)><2(pdf 3958KB)><3(pdf 4868KB)><4(pdf 4785KB)><5(pdf 3346KB)>

<教育研究所>

その他報告事項

1

第2回奈良県「いのちの作文コンクール」実施報告について(pdf 136KB)

<学ぶ力はぐくみ課>
2 令和5年度「こころと生活等に関するアンケート」について(pdf 705KB)
<学ぶ力はぐくみ課>
3 令和5年度社会教育功労者文部科学大臣表彰について(pdf 115KB)
<人権・地域教育課>

4

 第76回優良公民館表彰(文部科学大臣表彰)について(pdf 199KB)  <人権・地域教育課>
5 令和7年度奈良県特別支援学校幼稚部・高等部等入学者選抜・選考の日程について (pdf 58KB)  <特別支援教育推進室>
6

「令和4年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」について<1(pdf 4354KB)><2(pdf 843KB)>

<教育研究所>



令和5年度第15回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
 令和6年2月28日 
 14時30分

 

<閉会>
 令和6年2月28日
 15時45分

 

<会議場所>
 教育委員室

 

<委員出欠>
 伊藤忠通(出席)
 上野周真(欠席)
 田中郁子(出席)
 伊藤美奈子(出席)
 三住忍(出席)

議案及び議事内容

<議案>

議決事項1 奈良県教諭の資質向上に関する指標の改訂等について

 

<議事内容>

○吉田教育長 「伊藤忠通委員、田中委員、伊藤美奈子委員、三住委員おそろいですね。それでは、ただ今から、令和5年度第15回定例教育委員会を開催いたします。本日は、上野委員が欠席ですが、定足数を満たしており、委員会は成立しております。」

○吉田教育長 「議決事項1『奈良県教諭の資質向上に関する指標の改訂等』について、ご説明をお願いします。」

○栢木教育研究所長 「奈良県教諭の資質向上に関する指標の改訂等について、説明いたします。
 まず、『奈良県教諭の資質向上に関する指標の改訂等』については、令和4年8月31日に改正されました『公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針』に基づき、『奈良県教諭の資質向上に関する指標等』について、3回の指標検討委員会、2回の育成協議会を経て、改訂案の検討を進めてきました。
 指標の大きな枠組である分野について説明します。国通知『公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針改正のポイント』に基づき、『教職に必要な素養』、『学習指導』、『生徒指導』、『特別な配慮や支援を必要とする児童生徒への対応』、『ICTや情報・教育データの利活用』の五つの分野に整理しています。指標の項目、内容については、現行の内容を見直し、五つの分野における指標の項目を整理し、新たに必要な内容を追記しています。『教諭』の指標に準じて、『養護教諭等』『栄養教諭等』『市町村立小中学校事務職員』の指標についても改訂しています。また、国の指針に基づき、『校長』『副校長・教頭』の指標、『幼稚園等教諭・保育教諭』『園長等』の指標モデルについても改訂しています。
 続いて、『奈良県教職員研修計画』については、教育公務員特例法第22条の4に基づき、奈良県が目指す教育に対する教職員の資質向上に役立てることを目的として、現行の教員研修計画(グランドデザイン)を見直し、『奈良県教職員研修計画』の改訂を進めてきました。
 研修計画の全体構成として、『奈良県教職員研修計画について』『1 奈良県教職員の資質向上に関する指標について』『2 奈良県教職員の研修について』『3 奈良県教職員研修の実施方針』『4 各職におけるキャリアステージに応じた研修計画』について具体的な内容を示しています。
 今般改訂する令和6年度『奈良県教諭の資質向上に関する指標』及び『奈良県教職員研修計画』に基づき、奈良県の教職員研修は、研修の目的・目標、適切な評価を明確に設定し、『探究型研修』の開発や多様な研修方法を取り入れた研修を計画し、『研修観の転換』に向け、研修体系の見直しを図っていきます。
 先ほど示しました指標に基づいて、具体の内容をこの研修計画に示しております。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○伊藤(忠)委員 「具体的にはどこが改訂されたのですか。」

○栢木教育研究所長 「国の方が新しい指針を出しましたので、それに基づいて改訂しております。以前は、分野が『教員としての素養』『授業力』『生徒指導力』『マネジメント力』の4つでありましたが、国の方がICT関連を入れた5つの分野を示しましたので、この分野に基づいた指標をそれぞれ作りました。指標の分野を国の指針に基づいて奈良県の指標を改訂させていただいております。」

○伊藤(忠)委員 「細かい内容は、ICT以外はほぼ前のままですか。」

○栢木教育研究所長 「他の部分についても国の指針に基づいてそれぞれ変えています。例えば、基礎形成期というのは初任者の時期であります。基礎定着期というのは大体4年から10年程度の中堅研修を終えるまでの時期であります。この後、伸長期とか充実期につきましても、それぞれの教員のキャリアや年数等によって変わっていくと考えています。」

○伊藤(忠)委員 「4つのステージは前もありましたか。」

○栢木教育研究所長 「ありました。変わっていません。」

○吉田教育長 「分野の項目も国が指定しているのですか。」

○栢木教育研究所長 「こちらは奈良県の方で考えさせていただきました。」

○吉田教育長 「項目は変わっているのですか。」

○栢木教育研究所長 「はい。変わっております。前回の『教員等としての素養』の分野では、『人間力』と『情熱』でしたが、今回はそれをもう少し細かく入れさせていただきました。」

○吉田教育長 「そのあたりを国は何か示しているのですか。国は分野を定めて、項目についてはそれぞれの県で定めなさいということですか。」

○栢木教育研究所長 「国の指針には、具体の内容は示されています。例えば『教職に必要な素養』であれば、『令和の日本型学校教育を踏まえた新しい時代における教育、学校及び教職の意義や社会的役割・服務等を理解するとともに、国内外の変化に合わせて常に学び続けようとしている。』等の内容を示しており、その内容に基づいた項目を入れています。国が示している内容に合わせて項目を設定しております。」

○伊藤(美)委員 「今も分野と項目が話題になっていたのですが、それぞれの項目は割と大事なところを抽出していただいていると思います。ただ、『生徒指導』の分野で、2つ目の『指導』という中身が分かりにくい感じがします。他の『集団づくり』『教育相談』『キャリア教育』などは特徴がはっきりしているのですが、この『指導』というのが他に言い換えられないかと思いながら内容を見ていました。何をキーワードにしたらいいのかはっきり名前をつけにくい内容ですが、『生徒指導』の中の1つの分野として、もう少し具体的な項目名がつくといいと思います。」

○栢木教育研究所長 「国の指針に基づいた内容としては、『個に応じた指導』や『集団指導を実践する』といったことができるということを示しています。」

○吉田教育長 「なぜ、『指導』となっているのですか。」

○伊藤(美)委員 「その内容をまとめて一言でとなると少し難しいですね。」

○栢木教育研究所長 「前回も『指導』となっていましたので、そのまま『指導』としています。」

○吉田教育長 「『生徒指導』の中の項目は『指導』というとなかなか分かりにくいですね。上は『集団づくり』となっているのですね。それは『個別指導』ということですか。」

○伊藤(美)委員 「いろいろ入っていますね。主体的、連携等のキーワードがそれぞれに入っているので項目名をつけにくかったので『指導』になったのかと思います。」

○栢木教育研究所長 「またご意見を聞かせていただいて、今後検討させていただきます。」

○三住委員 「一番上の基本理念『本人のための教育』というのは、今の考え方でいいと思うのですが、こういう理念はずっと前からあるのですか。それとも、どこかで変わったのですか。」

○栢木教育研究所長 「これが奈良県の教育振興大綱の中で示させてもらっている内容になります。」

○吉田教育長 「これは荒井知事の時の令和3年度の第二期の教育振興大綱で打ち出しました。」

○三住委員 「昔から教育と言えば、国家が自分の都合の良いような大人にするためにされていましたが、国や社会のためにではなく、本人のためとなっているので、今の内容になっていると思います。
 少し抽象的な話になりますが、一般的に育むというのは、成長していくということが中心になっていると思います。私の個人的な考えとしてはそのことに加え、子どもは子ども時代を充実させる、伸びていくだけではなくて、小学1年生なら1年生、中学生なら中学生と、その子ども時代そのものを肯定して、その子どもの時代を積極的に応援することが大切だと考えています。このような子ども時代を積極的に応援して肯定するというような発想も入っているのでしょうか。」

○栢木教育研究所長 「おっしゃるように、そういう子ども自身が育つというところは肯定していると思いますので、そのような内容は含まれています。」

○伊藤(忠)委員 「研修計画についての質問です。12ページに対象となる教職員について、県費負担教職員に限るという記載があります。但し書きで、臨時的任用職員や事務職員については、『受講奨励を行うことも可能』とありますが、必要に応じてされるということですか。」

○栢木教育研究所長 「できれば受講してほしいと思っていますが、強制ができない部分がありますので、このような書き方をしています。」

○伊藤(忠)委員 「受講した場合、費用負担等はないのですか。」

○栢木教育研究所長 「はい。費用負担等はないです。」

○吉田教育長 「県教育委員会が行っている研修について、大学に行ったりした場合を除き、費用負担はありません。」

○伊藤(忠)委員 「研修計画の13ページで、校長等の学校管理職への対話に基づく受講奨励に関して、県立学校長は県教育委員会が、市町村立学校長は市町村教育委員会が行うと書いてありますが、具体的にはどこの部署が行うのですか。」

○栢木教育研究所長 「研修等を管轄しているところもありますし、それぞれ専門分野で担当するところもあります。担当課が研修を管轄することになります。」

○伊藤(忠)委員 「具体的には、担当課が受講奨励をするということですね。あと、研修後の話ですが、33ページの最後の行に『研修の効果を適切に検証するよう取り組んでいきます。』と書いてありますが、具体的にどのように取り組まれるのですか。研修の結果、資質向上したかどうかということを検証する必要がありますよね。」

○栢木教育研究所長 「研修を受けた後には、振り返りをすることになっております。教育研究所では、研修等における振り返り等の意見を全て集約して効果的であったかどうか、また、個人にも振り返りシートの内容を返し、それに対する効果があったか等、検証を継続しています。」

○伊藤(忠)委員 「振り返りシートというのは自己評価ということですか。それを客観的に判断するのは難しいですよね。本人は『よくやりました。』と言っても、そうでない場合があると困りますよね。」

○栢木教育研究所長 「研修によっては、細かく指導等が入っていく研修もあれば、受けるだけであとは管理職と検証してもらうこともあります。」

○伊藤(忠)委員 「11ページの概略図に(1)~(4)の対話の場面がありますが、例えば、対話の場面(3)で、研修受講後の学びやリフレクションしたことなどについて対話します。『資質が向上しましたが、まだここは足りないからさらにやってください。』ということで、さらに対話の場面(4)があるということですよね。これも検証なのですか。」

○栢木教育研究所長 「これは今年度から初めての取組になりますので、定着するまで時間はかかると思います。管理職は研修の記録を見ることができますので、研修履歴を活用しながら教職員と対話をしていただくということになります。」

○伊藤(忠)委員 「これを実際にするとなると、かなり労力がかかりますよね。特に管理職の先生の仕事量が増えると思います。対象となる教職員数は、かなり多いのではないですか。大体どれぐらいの方が研修を受けられるのでしょうか。」

○栢木教育研究所長 「私が郡山高等学校にいた頃は、初任者研修が1、2名程度、中堅研修が6、7名ぐらいでした。」

○伊藤(忠)委員 「全部の高校になってくると相当の数になってきますよね。」

○栢木教育研究所長 「管理職が対話するのは所属校の教職員になります。先程言った人数と、それ以外の研修を受けた者も含めて20名ぐらいかと思います。」

○伊藤(忠)委員 「そんなに大きな負担ではないということですか。実際うまくこの対話が機能していけばいいですよね。」

○栢木教育研究所長 「そうですね。どこまで管理職がこれに関わっていかれるかだと思います。初任者研修、中堅研修については、教職員にとっても、学校で非常に大きな役割を果たすことになるので、管理職はしっかり対話をしながら進めてほしいと思います。」

○田中委員 「よく学校で中1ギャップとか言いますし、今先生がよく辞めたり、応募者がいなかったりするということを聞きますが、一番辞めていかれるのが多いのは、このキャリアステージのどのタイミングですか。」

○栢木教育研究所長 「辞めていくとは違うのですが、今、精神疾患等で長期休暇を取られている先生の割合は、奈良県でも全国的に見ても20代が半数近くです。」

○田中委員 「ということは基礎形成期くらいですか。」

○栢木教育研究所長 「はい。前半の部分です。」

○田中委員 「13ページに、教師は専門職で、学び続けなければならない旨のことが書いてありますが、この枠組みを外さないとかなりしんどいと私は思います。この時期にはこの研修を受けるというふうに高めていくのは分かるのですが、あらねばならないに縛られすぎて自由裁量がなく、あまりにもガチガチでこれでは自主性は出ないなと感じました。」

○栢木教育研究所長 「一番メインである主体的で対話的で深い学びの主体的という部分がこういうふうに学び続けなさいというように示されると、それはあるかと思いますが、メインでうたっているのは主体的、あくまでも自分のためにあるという研修にしていきたいと思いますので、これをしなさい、あれをしなさいというようにはもっていく研修はないと考えております。」

○吉田教育長 「研修履歴にその研修だけを記録するのではなくて、例えば教科の研究会なども履歴に残すということでしたね。」

○栢木教育研究所長 「はい、残します。自分で入れることができます。」

○吉田教育長 「奈良県で作っているアプリは、悉皆研修とか教育委員会の研修を受講すること以外にも、教科の研究会にどう参加したかとか、そんなものも入力できるのですね。」

○栢木教育研究所長 「はい入力可能です。自分で入力することが可能になっていますので、自分でこれは研究会の勉強会等でいろいろ研修したことを自己研修と認めた場合、管理職はそれについて対話します。」

○吉田教育長 「4つのすべての場面で必ず対話するということではないということですね。履歴アプリで管理していくので、管理職も見られますので、その研修をどう受けてきているかということや研究会にどう参加したのだとか、そういうアプリを絶えず、新しい管理職でもその人の履歴を見ることができるので、そういうところで対話していくようなイメージです。10年ごとの免許更新講習がなくなったので、10年ごとにやるべきことをやれというのではなくて、中長期的に教員がどのように学んでいくかというふうなことをアプリで管理しながら、校長も教職員と対話していくという形です。
 その研修履歴はアプリで全教職員を見ることができるので、新しく着任した先生もこの先生がどういう研修を受けてきたのかなとか、研究会でどういう活動してきたのかなどは、そういうことがアプリを活用して見ることできます。」

○伊藤(忠)委員 「職員の研修履歴を管理職は見ておかないといけないのですね。」

○栢木教育研究所長 「はい、ただ、強要するというか、受けなさい、あなた足りないよということはしません。」

○伊藤(忠)委員 「自主性に任せるということですね。」

○吉田教育長 「そこは10年ごとに受けよという免許更新がなくなって、それに代わるものとして国が導入してきたのは、研修履歴を残して管理職と対話をしながら自己研鑽していこうということです。そこに奈良県は研修の履歴以外も研究会の活動を入力できるようにしています。このアプリは国のアプリとは違うので、独自にアプリを作っているのですね。」

○栢木教育研究所長 「そうです。現在は、今年度の研修について記録しているというのがアプリの運用状況です。来年度当初からはアプリから受講できる研修を選択して、それとアプリを連動して申し込み、受講記録もそこに残る、研修が終わった後の記録も残るというようになります。」

○伊藤(忠)委員 「令和6年度からスタートするのですか。」

○栢木教育研究所長 「令和5年度から研修履歴を残すことになっています。来年度からは申し込みから全てそのアプリで完結するという形になります。」

○吉田教育長 「免許更新講習というのは対象の年度に何単位かを必ず強要されて、それを受けよという話から自主性に任せていくという話なので、毎年校長が管理しなくても、10年ぐらいたってどうやろうとか、弱み強みはどうやろうとか、どういうものを今後習得していったらいいのかとか、そんなイメージです。毎年教職員がどんな研修を受けたのかとか、そんなところまで管理するものではないですね。」

○伊藤(忠)委員 「校長先生とか教頭先生、特に校長先生のマネジメント力が問われますね。」

○吉田教育長 「それは元々要りますね。」

○三住委員 「研修を受けた先生が、研修した後にその研修分野で困った時にその講師に相談できるとか、そういうことはあり得るのですか。」

○栢木教育研究所長 「直接その講師の先生に聞くということはなかなか厳しいところですけれども、以前に聞いた話について、例えば教育研究所の方とか、その研修を管轄する部署に、これについて詳しく聞きたいと問い合わせをしていただければ、仲介をして聞くということは可能です。」

○三住委員 「先生がいろいろと困って、精神的に病むというようなケースも結構あると思うのですが、病む前に相談する窓口的なところは、管理職である教頭や校長にするのがしやすい場合とちょっと離れたところでしやすい場合とありますが、具体的事案に対しての相談窓口は、この研修と関連させて何かあるのですか。」

○栢木教育研究所長 「今年度から教育研究所の方に相談室は作らせていただきました。また、それから先ほど言いました初任者研修は担任制のような形になり、担当は40人なら40人の担当の校種につきっきりでおりますので、研修だけではなくて、その先生たちのいわば全てにおいて情報を聞いて悩みの相談を受けたり、学校へ状況はどうだという報告をしたりということをやっています。特に初任者研修はそういうふうなことも意識しながら研修だけではなく、その教員の働き方についても意識をしながら担当の指導主事がやっており、何かあったら相談してくるようにと伝えているところです。」

○吉田教育長 「メンタルヘルス相談室には何件くらい相談ありましたか。」

○栢木教育研究所長 「10件もないと思います。」

○三住委員 「休まれる先生方の原因を探ってそのような状況になる前に相談をするような場を設けるなどはどうでしょうか。」

○吉田教育長 「今回、教職員課が、東京大学教授による調査に協力しています。そのことについて紹介してください。」

○東村教職員課長 「今年から5年間かけて、東京大学教授ら労働安全衛生の専門家が、一定数の都道府県教育委員会を抽出し、各団体におけるメンタルヘルス体制を調査されます。奈良県も調査対象になっており、この調査に協力することを通じて本県の課題を整理し、その改善に向けた体制を構築したいと考えています。」

○三住委員 「メンタル疾患になった後でカバーする対応となる前に原因を調べてならないようにする対応と両方あると思いますが、両方ともされるということですね。」

○東村教職員課長 「労働安全衛生の観点からの調査なので、基本的に予防と、なってからとを含めてトータルで考えていきます。」

○三住委員 「なった人は当然カバーしなといけないし、事例を分析して、今後ならないようにする体制をどのように作るかですね。さっき言った相談も一つですし、あと新任研修で教えていただいた先生には相談しやすいと思いますけども、それだけではなくて広くカバーできるのも必要だと思います。今は学校の先生は、勤務時間も大変だし、親のクレームも大変だと思われていますが、子どもを一生懸命育てたいという教師の理想を妨げるような状況をカバーしてくれる制度があれば、先生の希望者も増えてくるかと思います。美辞麗句ですみませんが、一生懸命頑張って子どもを育てられる環境が揃っていますよというような状況を作っていかないといけないと思います。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」

 ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項1については可決いたします。」

○吉田教育長 「その他報告事項について、ご報告をお願いします。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「第2回奈良県『いのちの作文コンクール』実施報告について、報告いたします。

第2回奈良県『いのちの作文コンクール』は、子どもたちが考えた『いのち』の大切さについて表現する機会を設けることで、子どもたちの『いのち』を尊重しようとする態度を育むことを目的に、昨年度に引き続いて実施をしました。
 テーマは2つあり、1つは、うだ・アニマルパークが実施している『いのちの教育プログラム』を受けて感じたことや考えたこと、もう1つは、日常生活の中で『いのち』について考えたことで、どちらかのテーマを選んで、書いていただいています。今年度は、県内外から4,215点の応募があり、最優秀賞、優秀賞、佳作、学校賞を、部門ごとに小学校低学年、中学年、高学年、中学校の部門ごとに選出をしました。
 また、令和6年2月18日には、うだ・アニマルパークで表彰式を開催し、受賞者に表彰状及び副賞の盾を授与しました。3月には、優秀賞と最優秀賞の作品を掲載した作品集を作成し、受賞者、また、県内の各義務教育諸学校及び市町村教育委員会等に配布する予定です。
 以上です。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「令和5年度『こころと生活等に関するアンケート』について、報告いたします。
 このアンケートは、児童生徒の心の状態を客観的なデータで捉えることで、必要に応じて適切な教育指導や支援を行うとともに、個々の児童生徒が抱えている課題の早期発見及び未然防止につなげることを目的としています。
 まず、資料上段は、調査参加学校数及び児童生徒数を示しています。学校は実態に応じ、令和5年9月と令和6年1月の2回実施しました。9月の調査は、県内の全ての小・中・高等学校の小学校第3学年以上の児童生徒を対象に実施し、総計352校、84,332名が回答しています。また、令和6年1月の調査は、県内小・中・高等学校等のうち、希望した学校の児童生徒を対象に、2月9日の時点で総計143校、27,767名が回答をしています。
 資料中段(2)は、回答状況について示しています。別紙の質問項目一覧のとおり、小学校第3学年以上を対象としたアンケートの項目は、39の質問項目があり、『生きる力』、『学校適用』、『こころの不安定』の3つの側面と、『自己評価・自己受容』や『発達の偏り』など12の因子で、児童生徒の心の状態を客観的なデータで捉えられることが特徴です。資料中段をご覧いただくと、12の因子について、学年別の平均値を横のグラフで示しています。
 『生きる力』に分類される各因子は、学年が上がるにつれて平均値が低下する傾向になりました。『学校適応』に分類される『友人関係』は、学年ごとの平均値の差が小さく、『教師関係』『学習意欲』は学年が上がるにつれて、平均値が低下する傾向が見られました。『こころの不安定』に分類される『身体不調』、『情緒不安定』は、学年が上がるにつれて、平均値が上昇する傾向が見られ、『いじめ』は学年が上がるにつれて、平均値が低下する傾向が見られました。
 資料下段(3)は、「こころと生活等に関するアンケート」を9月に実施した公立学校の管理職に対しての事後アンケートの結果を示しています。
 各校種とも、本アンケートを児童生徒理解、またケース会議、スクールカウンセラー等との教育相談で活用していたという意見をいただきました。次年度に向けては、アンケートの実施状況を踏まえ、アンケートの趣旨や具体的な活用事例についても、さらに周知していくとともに、各学校の実態に応じてアンケートの結果を活用できるよう、実施時期、また実施回数等を設定していきたいと考えています。効果的な活用方法についても、調査研究をさらに進めていきたいと考えています。
 以上です。」

○吉田教育長 「ただ今の2件について、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○三住委員 「『こころの不安定』は数値が上がると不安定さが増すということですか。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「学年が上がるにつれて、不安定さが増しているということです。」

○吉田教育長 「いじめについて、高校生で数値が下がっていますが、数値が低いと安定しているということですか。」

○伊藤(美)委員 「小学校は『いじめ』の件数が多いですが、学校種が上がるごとにその件数が少なくなっています。件数に関わらず、その内容や深刻さは様々です。このアンケートでは、感じていることや経験したことについての件数なので、学年が上がるにつれて落ち着いてくるのではないかと思います。」

○吉田教育長 「『いじめ』についての数値は、数値が低い方が安定しているということですか。」

○伊藤(美)委員 「はい。『身体不調』などは、中学校、高等学校の方が、不安定さが増しているという傾向です。」

○吉田教育長 「『教師関係』は、数値が小さい方が心配であるということですか。」

○伊藤(美)委員 「はい。『生きる力』『学校適応』は数値が高いと心配が少ないということで、『こころの不安定』は数値が小さいと心配が少ないということになります。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、その他報告事項3から4について、ご報告をお願いします。」

○辻人権・地域教育課長 「令和5年度社会教育功労者文部科学大臣表彰について、報告いたします。
 本表彰は、地域における社会教育活動を推進するため多年にわたり社会教育の振興に功労のあった者、及び全国的見地から多年にわたり社会教育関係の団体活動に精励し社会教育の振興に功労のあった者等にその功績をたたえ文部科学大臣が表彰するものです。
 令和5年度は、地域における『社会教育計画』の分野で岡田龍樹氏と村田美帆氏が受彰しましたのでご報告します。
 なお、表彰式については、令和6年2月9日に行われ、受彰者105名のうち希望者は式典会場に参加し、本県の受彰者2名は、式典会場へ参加されたことをご報告します。
 以上です。」

○辻人権・地域教育課長 「第76回優良公民館表彰(文部科学大臣表彰)について、報告いたします。
 本表彰は、公民館などの社会教育活動を行う施設のうち、特に事業内容・方法等に工夫をこらし、地域住民の学習活動に大きく貢献しているものに対し、その功績をたたえ、優良公民館として文部科学大臣が表彰するものです。
 令和5年度は、7月の選考検討委員会を経て推薦した、『天理市立福住公民館』が被表彰館に決定されましたことをご報告します。
 この公民館では、オンラインを活用した講座を発案され、地域住民と全国の他の地域が交流することで、高齢者に生きがいを与えるとともに人と人とのつながりを生み出し、地元の魅力を発信されました。さらに、そのことをきっかけに、高齢者にICT技術を普及し、デジタルデバイドの解消を目指すなど、地域課題の解決に向けての取組をされています。
 なお、表彰式については、令和6年2月9日に対面とオンラインを組み合わせて行われました。表彰式の当日、天理市立福住公民館では表彰式会場とオンラインでつなぎ、公民館利用者も参加したセレモニーが開催されたことをご報告します。
 以上です。」

○吉田教育長 「ただ今の2件について、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○三住委員「社会功労者文部科学大臣表彰を受けた方はどのような活動をされた方なのか教えて下さい。」

○吉田教育長「岡田龍樹氏は長期に渡り奈良県社会教育委員会議の副議長をしていただいた方です。」

○辻人権・地域教育課長 「村田美帆氏は斑鳩町で社会教育委員をされており、主に子ども会連絡協議会の事務局として長期に渡り活動されている方です。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、その他報告事項5から6について、ご報告をお願いします。」

○岡田特別支援教育推進室長 「令和7年度奈良県特別支援学校幼稚部・高等部等入学者選抜・選考の日程について、報告いたします。
 高等養護学校の入学者選抜の検査実施日は、令和7年度の選抜においても今年度と同時期である令和7年1月21日としました。次に、奈良東養護学校高等部、奈良西養護学校高等部、二階堂養護学校高等部、西和養護学校高等部、大淀養護学校高等部の入学者選考の検査実施日を、県立高等学校入学者特色選抜の学力検査実施日の令和7年2月18日、そして、盲学校高等部及び高等部専攻科、ろう学校高等部、奈良養護学校高等部、明日香養護学校高等部、盲学校幼稚部、ろう学校幼稚部の入学者選考の検査実施日を、県立高等学校入学者一般選抜の学力検査実施日の令和7年3月11日といたしました。なお、特別支援学校の入学者選抜・選考の日程の詳細はお手元の資料のとおりです。
 以上です。」

○栢木教育研究所長 「『令和4年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果』について、報告いたします。
 まず、この実態調査は、各都道府県の初等中等教育における教育の情報化の実態を把握し、情報教育関連施策の推進を図るために、文科省が毎年実施しているものです。今回の調査は、令和5年3月1日現在のものとなります。調査対象は、全国の公立学校、小中の義務教育学校など、公立学校で授業を担当している全教員が対象となっております。
 調査結果については、全ての項目において、令和元年度は全国順位で概ね45位前後であったものが、令和2年度には全国12位から16位に上昇しましたが、令和3年度以降、調査結果は少しずつ上昇しているものの、全国の伸びには及ばず、令和4年度の調査結果では平均以下となっているのが現状でございます。特に研修については、GIGA端末を導入した当時は多数受講していましたが、現在、受講率が低くなっている状況でございます。
 今後の取組としましては、教員がICTを効果的に活用して授業を展開したり、児童生徒がICTを活用して効果的に学習を進めることができるよう、教員が指導したりする能力をさらに高めることを目指し、先進的、専門的な、教育を推進している人材を講師として招いた研修等を実施したいと考えております。また、各校のDX化を推進するリーダーとなる教員の育成を目指した研修講座を実施したいと考えております。
 次の資料で、学校におけるICT環境の整備状況について説明させていただきます。令和4年度の調査結果では、児童生徒1人当たりの教育用コンピューター台数は1.1台となっております。これは、小・中学校の端末は令和3年度当初に、1人1台端末を実現できたこと、高等学校においては、令和4年度からBYODによる1人1台端末の環境整備を行ったことによります。
 統合校務支援システムの整備率でございます。県教育委員会は、市町村の整備に関して補助金を拠出しており、令和4年度の整備率は令和3年度から21.4ポイント増加して93.5%になるなど、確実に伸びております。今後、教育DXに向けて、令和5年度の整備率は95%、令和6年の末には全ての自治体で統合型校務支援システムの整備をされることを目的としております。
 以上です。」

○吉田教育長 「ただ今の件について、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○伊藤(忠)委員 「ICT活用指導力の研修の項目が低下しているのはなぜですか。」

○栢木教育研究所長 「GIGA端末導入初期は、教員は初めての試みということで多数の教員が研修を受講していましたが、数年経ちある程度端末が導入された状況では研修を改めて受けるということが減ってきている状況です。」

○伊藤(忠)委員 「ある程度の能力がついたから、研修を受けないということですか。」

○栢木教育研究所長 「教員が初期段階の研修をこれまで受けたということなのですが、これではいけないと考えていますので、教育研究所としましては、レベルアップを目指すような活用も含めた研修講座を開設したいと考えます。」

○伊藤(美)委員 「具体的にはどのようなことを研修では行っていますか。教材の作り方や機器の使用を研修で行っているのでしょうか。」

○栢木教育研究所長 「いろいろな研修講座がございまして、例えば令和4年度は、畿央大学、奈良教育大学等の先生に来ていただいて、エバンジェリストを育てるための専門性を高めるような研修講座を行いました。」

○吉田教育長 「研修受講率が高い県はとても高いですね。ほとんど受けています。」

○伊藤(忠)委員 「この差は何でしょうか。」

○田中委員 「児童生徒のICT活用能力を指導する能力という部分が大きく乖離していると思いますが、これはご自分の習熟がまだ足らないという認識でこの辺が大きく乖離しているということでよろしいでしょうか。」

○栢木教育研究所長 「資料の左側の項目について、『できている』『概ねできている』『あまりできていない』『できていない』を、教員が自己評価し回答しています。その中で、奈良県の場合は『できてる』『概ねできている』と回答している教員の割合が低いのかと思います。」

○伊藤(忠)委員 「下の折れ線グラフを見ると、奈良県のトレンドとしては良くなっています。平成20年代後半のところは全国とかなり差が開けられていましたけれども追いついてきています。傾向としてこれは望ましいと思います。奈良県だけ研修のところの凸凹が激しいですが、なぜこのようなことになるのでしょうか。」

○吉田教育長 「研修を受講した教員の割合は、分母は全教職員ですか。」

○栢木教育研究所長 「そうです。」

○吉田教育長 「和歌山県の95%以上はほぼ全ての教職員が受講しているということですね。」

○栢木教育研究所長 「和歌山県の実態について、どのような研修体系になっているのかを一度調査・検証したいと考えます。受講者数の割合が高い都道府県の研修が悉皆なのかどうかも含めて検証したいと考えます。」

○吉田教育長 「和歌山県の95%は校内研修を含んでいると考えられますが、奈良県は校内研修もあまり実施されていないということですか。」

○伊藤(忠)委員 「研修も研修場所に行かなくても、オンライン研修がありますが、そのような講座がもっとあれば研修受講率が高くなると考えます。」

○三住委員 「和歌山県は、一番右がトップですが、他は全部平均です。これは何か事情があるのでしょうか。あと、左の4つは主観的な評価で、四国や愛媛県が主観的な評価が高いです。奈良県は主観の評価だけが高いですが、研修受講の調査結果は低いです。」

○栢木教育研究所長 「この辺を一度、調査・分析をします。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、その他報告事項については了承いたします。」

○吉田教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員の皆様にお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」