「鍵の蛇巻き」は、水を司る農業の守護神・龍を意味する蛇を奉納し、五穀豊穣を祈願する祭りです。また男子の成人(元服(げんぷく))を祝う行事でもあることから、6月第1日曜日開催に改定される前は旧暦の5月5日にあたる6月5日に行われていました。 起源は室町時代までさかのぼり、昭和58年には大和の野神行事の一つとして文化庁の「選択無形民俗文化財※1」に指定されています。 同じ田原本町の今里にも「蛇巻き」はありますが、鍵は主に稲藁で作った雄の蛇を、尻尾を上、頭を下にして収め処に飾る「降り龍」、今里は麦藁で作った雌の蛇を、頭を上、尻尾を下にして飾る「昇り龍」と奉納時の姿が違い、祭りを取り仕切る神社も異なっています。 ※1 記録作成等の措置を構ずべき無形の民俗文化財
行事当日は、大人たちが約450束の藁を用い4〜5時間かけ蛇を作成。神主の祈祷の後、250キロ以上ある蛇頭を中学一年生から高校一年生で組織する「頭(かしら)」が中心となって担ぎ、約13mの尾の部分を子どもたちが引き合いながら村内を練り歩きます。 また、「新入り」と呼ばれる中学一年生は自分たちで作ったミニチュアの木製農具を入れた「ドサン箱」を約6mの青竹の先にくくり、新築・結婚・出産などがあった家をお祝いしながら巡って、祝儀をもらいます。蛇を収め処に奉納した後は、蛇頭にトビウオやご飯などを盛り付けた「ぼんさんの膳」を載せ、神主が祝詞を奏上します。
「鍵の蛇巻き」は、元来農家が当屋となって行っていましたが、平成15年から班別制となり、令和4年に自治会有志によって「鍵の蛇巻き保存会」が結成されました。令和5年からは行事そのものの趣旨を男子の成人だけでなく、全ての子どもの健やかな成長を願う行事へと変更。農家・非農家、男女問わず参加できる行事となったことで、地域の結束が一気に深まりました。 これからも伝統を守りつつも新しい考えを取り入れ、地域全体で「鍵の蛇巻き」を受け継いでいきます。
左から平井さん、山本吉伸さん、藤本さん 山本さや香さんと晃正くん、金水さん
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