はじめての万葉集

県民だより奈良
2025年4月号

はじめての万葉集
【vol.132】
大君(おほきみ)は 神にし坐(ま)せば
赤駒(あかごま)の 匍匐(はらば)ふ田井(たゐ)を 都(みやこ)となしつ
大伴卿 巻十九(四二六〇番歌)
天皇は神でいらっしゃるので、赤駒が腹ばう田を都としてしまわれた。
大君(おほきみ)は 神にし坐(ま)せば
水鳥(みづとり)の すだく水沼(みぬま)を 都(みやこ)となしつ
作者未詳 巻十九(四二六一番歌)
天皇は神でいらっしゃるので、水鳥が鳴き騒ぐ沼を都としてしまわれた。
都の造営

 都の造営を詠んだ二首です。当時の人々にとって、都の造営は神の仕業(しわざ)だったのでしょう。天皇を現人神(あらひとがみ)とする思想の高まりです。
 題詞は、両歌が壬申の乱(天武元(六七二)年)平定後のものと記します。よって、飛鳥浄御原宮(あすかきよみはらのみや)(天武元年に造営、朱鳥(しゅちょう)元(六八六)年に宮号を定める)以後の宮都を詠んだことが分かります。
 上記二首の都はいつのものでしょうか。飛鳥浄御原宮周辺は、宮や寺が建ち並び、赤駒の腹ばう田や水鳥の集まる沼が広がっていたとは考え難い状況です。また、歌が記録された天平勝宝(てんぴょうしょうほう)四(七五二)年の漢字原文に、「京師」「皇都」(読み下しの「都」に該当)とあり、大規模造営が想起されます。
 飛鳥浄御原宮は、後飛鳥岡本宮(のちのあすかおかもとのみや)を受け継いだもので、その後に大規模な改修・造営の記録がありません。歌の情景が実景ならば、壬申の乱後であること・飛鳥浄御原宮でないことから、藤原京造営の歌と考えることもできます。
 作者大伴卿の肩書を左注は「大将軍贈右大臣」とします。大伴氏の贈右大臣は、死後に右大臣を追贈された御行(みゆき)を指します。ただし、御行は壬申の乱で功績がありましたが、大将軍任命の記録がありません。大伴氏の有力者では、吹負(ふけい)が将軍、旅人(たびと)が征隼人持節(せいはやとじせつ)大将軍に任命されましたが、贈右大臣の記録はありません。贈右大臣を重視し、大将軍について軍事氏族大伴氏を束ねた立場と解するなら、大伴卿は御行とするのが有力です。壬申の乱で活躍し、その後の藤原京造都まで見届けたのでしょう。
(本文 万葉文化館 中本和)

万葉文化館 イベント情報
 
◆特別展 花と緑に魅せられて
 ー佐藤美術館コレクションよりー
開催中~5月6日(振休)
大阪の鶴見緑地で開催された「国際花と緑の博覧会」(花博)の際、日本画家50名が「花と緑」をテーマに作品を描きました。本展では、佐藤美術館が所蔵する関連作品とともに当館所蔵の万葉日本画を展示します。
※令和7年4月1日から、観覧料の減免(割引)制度が変わります。
※県内在住の65歳以上の方の割引は3月31日をもって終了します。その他割引など、詳しくは当館HPをご覧ください。
田渕俊夫《緑詩》
佐藤美術館蔵
片岡球子《富士に献花》
佐藤美術館蔵
ギャラリートーク
無料
4月23日(水)15時40分~
[講師]当館学芸員
[会場]日本画展示室
◆万葉集をよむ
要観覧券
4月23日(水)14時~15時30分
「秋の雑歌(ぞうか)(1)」
 (巻8・1511~1517番歌)
[講師]井上さやか(当館企画・研究係長)
[定員]150人(先着・申込不要)
 ※オンライン視聴(定員なし)は要申込
◆にぎわいフェスタ万葉 春
4月23日(水)~6月8日(日)
詳しくは当館HPをご覧ください。
電話 0744-54-1850
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