大和三山、愛を争う
文と絵・山崎しげ子
奈良盆地の南部、橿原市にある大和三山。東の香具山、西の畝傍山、北の耳成山。いずれも標高200mに満たない低い山だが、ほぼ三角形に浮島のごとく点在する。この神の悪戯(いたずら)かと思われる配置の妙と、緑濃い秀麗(しゅうれい)な山容が古くから多くのロマンを生んできた。
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『万葉集』の、有名な大和三山の歌。 香具山は 畝傍ををしと 耳成と 相争ひき 神代より かくにあるらし 古(いにし)へも 然(しか)にあれこそ うつせみも 妻を争ふらしき(巻一・一三)
作者は、中大兄皇子、のちの天智天皇。弟ののちの天武天皇と、美貌の歌人、額田王を争った逸話も重なり永遠のロマンを誘う歌となっている。
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こうした物語に想を得たのが能『三山(みつやま)』。能では香具山が男性、畝傍山、耳成山が女性という設定。
香具山の里に住む膳公成(かしわでのきんなり)は、はじめ耳成山の里に住む桂子(かつらこ)と、畝傍山の桜子(さくらこ)のもとに通うが、やがて若い桜子に心が移り、年上の桂子は、悲しみの余り耳成の池に入水した。
さて、お話は融通念仏宗の布教のため京都から大和へ来た良忍(りょうにん)上人の登場から始まる。時はまさに春。
耳成山の麓まで来ると、桂子(実は亡霊)が現れ、これまでの三人の愛憎の物語と、愛を失った自らの身の上を語る。そのうち、桜子(亡霊)も現れ、桂子の嫉妬に苦しめられた恨みを語り、二人は狂乱のさまとなって、やがてクライマックスへ(挿絵参照)。
若い桜子は華やいだ装束、手に桜の枝を持ち、年上の桂子はやや渋い装束、手に桂の枝を持っている。
二人は、片袖を脱ぎ、桜と桂の枝で打ち合う。とはいえ、そこはお能、憎悪の生々しさや激しさはなく、華やかな衣装と二本の枝が優雅に宙を舞い、舞台は華やかさに包まれる。やがて、二人の恨みも晴れ、良忍上人に供養を願って夜明けとともに姿を消す。
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大和三山は、今、どれも登山が可能。山頂へ続く道も整備されている。樹々に覆われた静寂の道は、かつて桂子、桜子がさまよった涙の道かもしれない。大和三山に吹く春の心地よい風は、昔も今も変わらない。
ゲーム感覚で名所を巡ってオリジナルチーズグルメも堪能
春の耳成山
今回のおはなしの舞台「大和三山」がそびえる橿原市。世界遺産登録を目指している「藤原宮跡」はじめ、中世の町並みが残る「今井町」、第一代神武天皇を祭る「橿原神宮」など、魅力あふれるスポットが点在しています。2024年からは格闘ゲーム「ストリートファイター」シリーズとコラボした「STREET FIGHTER×KASHIHARA 観光周遊アプリ」を無料配信。ゲーム感覚で名所散策が楽しめます。また市内16飲食店が「かしはらHi!チーズグルメ」として古代のチーズ「蘇(そ)」にちなんだチーズグルメを開発。大和三山へのハイキングや周遊観光のお供にぴったりのカップ入りメニューも提供しています。
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