私は川西町で生まれ育ち、大学進学から奈良県を離れました。私の仕事は、家具から建築設計、鉄道車両デザイン、街づくりなど。仕事の知識の基礎は大和郡山駅前の本屋で学び、この道に進もうと決めました。 大学卒業後の6年半、仕事で欧州各地に滞在しました。パリやロンドンに負けない歴史と文化を持つ奈良県出身であることの誇りを深めました。同時に西洋の模倣ではなく、日本人らしく自然に寄り添うデザインを希求したいと思うようになりました。単なる設計にとどまらず、議論や組織の仕組み創りから、例えば奈良県産木材を活かして地域経済の循環まで創ることが大事だと心掛けています。 祖父と祖母が眠る河合町の墓地から眺める奈良盆地が大好きです。ただ、近年は自己主張の強い看板や経済性優先の構造物が、美しい風景を乱している気がしてなりません。同じシルクロードの西の果てにある欧州では窓辺のカーテンの色に至るまで厳しく規制され、風景を維持しています。伝統を守る民衆の意思こそ、世界中から観光客を惹き付ける要素なのです。 奈良県には、世界が刮目(かつもく)する寺社建築や集落がたくさんあります。奈良のさまざまな遺産を、未来の生活に生かせる仕事で貢献するのが夢です。
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