現在、春日大社で式年造替(しきねんぞうたい)が行われているのは皆さんご存知のことと思います。式年造替とは御本殿や御神宝などの新造・修繕を行う儀式で、春日大社ではほぼ二十年毎に執り行われてきたといいます。 春日大社の本殿は御蓋山(みかさやま)のふもとに建てられています。御蓋山は、春日山の手前にある左右対称のなだらかな笠(かさ)型の山で、禁足地(きんそくち)として今も守られている聖地です。 その御蓋山は『万葉集』では「春日なる三笠の山」と詠まれており、春日の地を代表する山だったようです。若草山のことを後世に三笠山と呼んだために、現在では一般的に御蓋山と書き分けがなされています。ただし『万葉集』の三笠山を、現在の春日山・御蓋山などの総称とする説もあります。 右の歌は三笠山の月の出を詠んだ歌です。通常の短歌と違って、旋頭歌(せどうか)という五七七五七七のリズムで詠まれています。月を夜空に浮かぶ船に見立てていますが、これは漢語に学んだ表現で、漢詩にも「月舟」の語がみられます。「遊士」は風雅を理解することができる教養ある男の意で、平城京に出仕する官人と考えられています。杯にそそがれた酒のなかに三笠山の月の姿を見るのですから、なんとも風流な光景ですね。 万葉文化館では現在、特別展「見る・知る ―万葉と春日― ~飛鳥と春日大社の宝物~」を開催しています。また、ここでご紹介した歌を刻んだ万葉歌碑も庭園にあります。明日香の地で万葉の春日に思いを馳せる”みやび”な時間を過ごされてみてはいかがでしょうか。 (本文 万葉文化館 小倉 久美子) ■特別展「見る・知る ー万葉と春日ー 〜飛鳥と春日大 社の宝物〜」について、詳しくはP21で。
県庁舎屋上広場からは、奈良盆地の景観が一望のもとに眺められます。特に奈良公園の東大寺大仏殿、若草山、興福寺五重塔を間近に眺めることができる絶好のロケーションです。
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