令和元年5月17日(金曜日)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。

 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 本日の発表案件は、ムジークフェストなら2019の開幕でございます。

 それでは、知事、よろしくお願いいたします。


ムジークフェストなら2019の開幕
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 お手元に資料ございますが、ムジークフェストなら、8回目になりますが、またさせていただきます。見どころというふうに整理されておりますので、ここだけご紹介いたします。18日ですから、今週末の土曜日からいつもと同じようなオープニングをいたします。115会場で300のコンサート、ほとんどが無料であります。

 2つ目は新しい試みで、ぐるっとムジークというのを5月27日から6月2日までいたします。特に青いバスの、この大宮通りバスをムジークフェストと連動させて、100円で移動すれば幾つか無料で見られるというご案内を、構成を意識的にしてたくさん見ていただけるということに取りかかりました。ちょっと行きにくいところを何カ所か見られるようにするという試みが、ぐるっとムジークという新しいコンセプトでございます。

 野外コンサートを6月からしていたのを5月の末からに持ってきて、天気のリスクが少し軽減されることもありまして、野外コンサートを春日野園地、2度の週末で4回、割と人気ですので例年いたしますが、去年あたりから試み始めました県営馬見公園での演奏会も、ことし続けるということです。有料コンサートが、目玉コンサートがいつも一つ二つあるんですけども、ウィーン少年合唱団のコンサートなど、有料コンサートが5つありますが、ほとんど完売、1つだけ売れ残りがありますが、ほかの4つは完売だと聞いております。

 中南部の社寺などにも声をかけるのが定着してまいりまして、予約の事前申し込みの様子を見ていますと、南のほうでも予約が2倍以上、定員以上になっているところも出ています。だからハンディを克服してというような定員オーバーの予約、無料だけど要予約ということがありますので、演目にもよるのかな、工夫によってそのようなことを学習しながら続けているというのが実情です。ことしも多少の工夫をさせていただいたというご報告です。

司会:
 ありがとうございました。

 それでは、発表案件に関する質問をお受けしたいと思います。よろしくお願いいたします。


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質疑応答
 

ムジークフェストなら2019の開幕

時事通信:
 今回のムジークフェストなら2019に対する観客の方々に対するアピールというか、どういったところを楽しんでいただきたいか、知事のお言葉でいただければと思います。

知事:
 ずっとしてきて、行った人はとてもおもしろいよというのを、広報の仕方とも関係するのかと思ったりしますが、継続しているのが一つ人気が定着している感じがします。ことしは例年どおり、また例年以上にお楽しみくださいといったことですが、これは考え方としては、お子様も含めて、高齢者も含めて、お出かけ健康法と連動していると思います。とにかくお出かけして、音楽を聞いて散歩も含めてというようなことを試みているものです。中部、南部もお客様の集客というのもありますが、中部、南部の人は自動車で行って買い物して家に帰ってと、歩数が少ないのが実情であります。このような会場に行って、自動車で行かれる方も多いかもしれませんが、なるべく会場を渡り歩いて、歩数をふやしてくださいと、お出かけ健康法の一環というふうにも捉えております。

 アピールというのも、演奏会で音楽楽しいよというだけでなく、食も一緒に合体してやろうという試みでもありますので、反応を見て、その評価をしながらここまで続いてきております。ムジークフェストというドイツ名のこの音楽祭は、東京なんかでやる、高度な演奏家が来る有料演奏会と違って、気楽に楽しむ地域音楽祭、気楽に楽しんでお出かけしていただいてというタイプの音楽祭ですので、ラ・フォル・ジュルネとまたちょっと違う雰囲気に、ならムジークフェストと言ってもいいかもしれませんけれども、もちろんバイロイト音楽祭とも違いますし、そのような雰囲気になってきてます。

 もう一つは、文化財の社寺でするというのがおもしろいところだと思います。こうしてやってきますと、社寺のご協力がたくさんありますので、社寺に親しんでいただくということも兼ねて考えております。演奏会場のある社寺もありますし、ないところもありますので、臨時の社寺での演奏会というのは、ヨーロッパは石の寺院とかお城が多いので、遺跡で演奏会はしょっちゅうあります。

 最近は野外でしたら、春日野のもそうですが、スピーカーシステムがすごくよくなっているので、例えばファミリーコンサート、4万人、5万人来られても割と音が通る仕組みになっております。夏ちょっと暑くなりますので、日陰と、お子さんたちが余り疲れないように、奈良の人も音楽やっぱり楽しむんですよね、このようにありますと。それはお出かけして気楽に楽しんでもらうという仕組みで、奈良に住んでおられる方にとってもそうですが、インバウンドで外国から来られた人が、こんな音楽やってるんだということは出会う楽しみ、これをやっているからといって商品になっているわけではないですが、奈良はみんなで楽しんでるんだと、人楽しむところに人集うという言葉がありますので、そのようなことを心がけていると。

ちょっと長くなりましたが、どこかにキーワードが入っているかもしれないので、それをキャッチしていただけたらと思います。

時事通信:
 幹事社からは、以上です。

司会:
 ほかによろしいでしょうか。どうでしょう、よろしいですか。

 では、この案件も含めまして、ほかの案件も含めてご質問がございましたらよろしくお願いいたします。

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今後の奈良県のビジョンについて

時事通信:
 知事のいろいろな政策について、10連休でいろいろ考えてこられるということだったんですけれども、どんなことをお考えになったのか、その一端をお示しいただければと思います。

知事:
 改めてというふうに私自身は思ってますけれども、最初の所信は何だったのかということを振り返って、最初の所信から3期して、この4期目の再所信は何なのかということを自己チェックをいたしました。最初の知事選に出たときに、「新都づくり」というマニフェストみたいなのを書いたんですけども、あれを久しぶりに読んでみると、それの線に沿ってやっていることがすごく多いというふうに改めて思いました。それをまたチェックして違う雰囲気で進んでいるところとか、今の政策にビジョンとして具体化できないかという作業を連休後始めました。

 今、奈良県ではエビデンス重視と、それを一緒にしましょうというナッジ(自発的に行動を選択するよう促す手法)でいろんな施策を進めてる流儀がありますが、奈良県庁流儀を定着させるのと、ビジョンの共有化、議会あるいは市町村、行政主体との共有化、県民との共有化ということを目指して、そのような考え方を提示できないかなということで作業をしているところでございます。

時事通信:
 知事の所信と、奈良県のこれまでの行政のやり方をまとめて、それを議会とか市町村とか県民とかにビジョンとして共有できないかということだと理解しましたが、形式的にどういうふうになるんですかね、奈良県の行政運営の流儀とでもいうものができるのか。

知事:
 ビジョンは目指す方向ということになりますので、それはその都度変わってもいいんですけども、定常的といいますか、こういうものを重点にしているということは理解が進んだほうがやりやすいということにもなりますし、個別のいろんな私ごとで反対される方は時折出てこられるんですけども、私ごとか公ごとかということの判断をしないといけないわけでありますけれども。

 このプロセスについては、6月に内外情勢調査会での講演がありますので、そのときまでにその資料が間に合うようにと思ってつくりかけております。あれをキックオフにして、議会とか、それから皆さんにも場合によれば意見を、パブリックオピニオンみたいな、形式じゃなしに、知ってもらうというような、それで意見をもらうというような流儀ができないかということを模索しております。その中の意見の発信者というのも、皆様方の県政・経済記者クラブという主体のそれぞれのメンバーのご意見も賜る機会があればありがたいなと、個人的には思っています。

時事通信:
 あえてそのビジョンに見出しをつけるとすると、どういうタイトルになるでしょうか。

知事:
 まだ、これは個人的なあれだから。奈良県では「主な政策集」ということで議員に配布していますけど、昔使った名前ですが、「奈良新都づくり」というブランド名でしたので、個人的にはまたそれを復活、もう一度使いたいなと。「奈良新都づくり」というビジョンで議論をお願いできたらというふうに思っています。

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県内の交通安全対策について

時事通信:
 先日、大津市で散歩中の保育園児の列に車が突っ込んで2名が亡くなられるという痛ましい事故があり、また、そのような重大交通事故がここ最近相次いでいるように見受けるんですけれども、荒井知事として県内の交通安全対策等で何か取り組みを行われるお考えはありますでしょうか。元国交官僚だったことも含めてですが。

知事:
 このたびの事故、大変痛ましくてお悔やみ申し上げます。奈良県は実は道路整備がおくれてる県です。道路整備がおくれてるというのは、自動車のための幹線道路の概成もなかなかできないですけども、歩行環境も悪いんですね。歩道の整備率というのが全国でも相当低いですけども、それはずっともう就任以来気にして、整備率というのを上げようというふうに心がけてきましたが、奈良特有の、土地執着が強い県でありますので、人のせいではないんですけどそのようなこともあって本当にできないんです。だからそれが背景にあると通学路の安全性というのは事欠くじゃないかということを、去年、もう一年前から指摘して、県警と教育委員会に誰が通学園路を決めているのかということの調査をお願いしました。

 多少の調査は出てきたんですけども、このようなことがあったので改めて教育委員会にお願いしました。通学園路の再点検、安全かどうか。それから、お出かけ学園路の点検というのを全面的に点検してくれませんかということを改めてお願いしました。

 その心は、歩道の整備あるいはガードレールをつけるとかいろいろありますけれども、交差点のガードというのもありますけれども、動く場所を特定されますので、自動車の来ないところを動くということで身を守るというのも一つのやり方かと思いますので、できるだけ自動車が来ないところを歩いてもらうということを改めて心がけて再設定できないかというお願いで、それは一年前にもうやり始めているんだけども、あまり自動車が来ないところはむしろ身の安全が怖いですよというような、抽象的なんだけども、そのような話があったんですね。自動車が来ないところで人けが少ないとこを、ぼつぼつ歩かすわけではないんだけれども、防犯カメラつけたりその見守りを、自動車が来るとこをこうして守っている通園路もあるんですよね。最近私が通勤してるところではそういうことがあるので、ちょっと危なさそうだと思って、どうして自動車の来ない住宅地の中を歩かせないのかということのような指向で再点検して、なかなか進まない。警察と教育委員会にお願いしたことがあるんですけども、進まなかったので、今回はちょっと語気を強くして、絶対やってくれと、こういうふうに改めてお願いしましたのが、最近の経緯であります。

 それは身の置き場所で安全を図るという手法ですので、車道からの隔離を図るというハード対策はもちろんあるんですけど、今、奈良はおくれてきたので、一朝一夕になかなかできない県だという反省も含めて自覚がありますので。というのが奈良県の通園・通学路の安全対策と、今の時点でのという取り組みです。

時事通信:
 なるほど。もちろん、通学・通園路の見直しというのも有効かと思うんですけれども、もっと恐らくは根本的に事故が起こらないような、起こしにくいようなハード面の対策ですとか、そういった部分は予算権者である荒井氏の権限かと思いますけれども、そのあたりに関しては、例えば予算をつけるとか、そういったことのお考えはありますか。

知事:
 もちろんあるんですけれども、いろいろ見てみると、車道があって、歩道が無きに等しい道路が多いんじゃないですかね。それを広げるのに、田んぼを減らしてもらうとか、住宅地を今の車道、歩道というのが確立するような、若干規格グレードアップの道路にするとか、といったことがしたいんですけど。先ほど語気強くして、と言いましたけれども、予算じゃなしに土地取得だとつくづく思っています。

 予算でできることだったら割と計画的にできるんですよね。

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6月補正予算について

奈良新聞:
 6月補正に向けて、先ほどの質問で構想はお聞きしました。具体的にこういうところに力を入れようとか、新しい施策の中で何かお考えがあれば、教えてください。

知事:
 まだ秘密です。というのは、公式発言で秘密でもないんだけども、知恵を出すようにしていますということです。これは、ここでお聞きになりたいのは、トップダウンの知恵があるかというご取材でもあると思います。私の流儀としては、体系的に進められたらと思っております。ということは、何が欠けているのかということを体系的に調査をして、できるだけ進められたらと考えております。進まない原因がわかるというので、だんだんそういうふうに進めて、それが一番現実的だという、その目玉は何かとよく聞かれるんですけど、その目玉なんかなくてもいいんですよと言っております。

 10年たてばすごく奈良がよくなったとなればという気持ちで、着実、着実というふうに行政、政治を進めてきたと、多少振り返るとそんな感じがします。そのようなやり方をご理解願えたらと今でも思います。その反映であれば、今の時点で目玉はありませんねといったような返事になります。

奈良新聞:
 何か特に力を入れていこうと思った分野や、あと選挙期間中に何かこう、そういったものを探すみたいな話しされてたと思いますがいかがでしょうか。

知事:
 特にこれというより、いろいろしたいことはありますが、全体を体系的に進めようとしております。

 その中の優先度というのが、我々の地方の暮らしからすれば、これだけあれば幸せよというのは余りなく、あらゆることをせないかんのが地方政治のように思います。

 今まで政策項目で出してきて、今、同時並行的に私のとこでレポートがあって回っている政策アイテムが100以上あります。それを並べて、新都づくりのカテゴリー化して、それの予算をどのようにするのか、それをどのような年次でつけていくのか、10年かかるのも、2年で終わるのも、いろんなプロジェクトがあります。それが地方政治の体系化と私は思っております。

 その都度ちょっとした目玉は出ると思います。私の意識では、ちょっとした目玉なので、結局政治は成果だというふうに思っております。やるぞ、やるぞの吹き上げもそうやって認識していただいて、そういう方向いいねと県民の皆様に共感、共有してもらえばありがたいというふうに思います。

 我々の責任は、吹き上げるのが目標じゃなしに、吹き上げて共感をいただいて予算をとって実行して実現するというのが一番の喜びです。これまでの実現したことを振り返って、これでよかったねと言っていただくと、同じようなサイクルで進めていく。やっぱりかれこれ5年、10年かかるプロジェクトも結構ございます。そのような意識ですので、長い目で見ていただきたいなと思う中でのサイクルです。プラン、ドゥー、チェック、アクションのサイクルを見ていただくというのが、皆様とも共有できたらと思うところであります。

 だからというわけではないですが、今の時点で何か目玉をと言われても、特に抵抗してるわけではないですが、さてというような感じの頭の中です。

 今みたいに百何十項目あるようなアイテムを、さあどのように進めようかというので腐心している段階です。

 

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奈良公園バスターミナルについて

奈良新聞:
 奈良公園バスターミナルも開園1カ月がたって、成果とか課題も見つかってきたと思います。その両面について教えてください。

知事:
 4月13日にオープンして、部屋から見えるので、バスが駐まっているのか、にぎわっているのか、時々見に行っております。

 この前、連休明けのほうがバスが随分駐まるようになって、一度バスの尻尾が見えたんで、あれ、随分駐まってるなと思って見に行ったら、全てのバースが埋まっているタイミングでした。みんな埋まってうれしいなと思いました。最初は予約制ですので、数珠つなぎというのはありませんが、予約制の間隔はスムーズにいってるな、随分バースが埋まるようになってるんだなと思いました。

 観光から帰ってこられて、出発時間に間に合うように列をつくって、乗っておられるような感じがいたしました。バスターミナルとしての現地での運営は大変スムーズという印象を受けました。

 あとは、アメニティーの中で、食事とレクチャーホールですね。それらのアメニティーの改善の仕方もいろいろあろうかと思います。具体的に見たチェックとして、アメニティーはまだいろいろ改善できるということで、検討の指示をしております。

 例えば、これは指示をしたらできそうなこと、検討を経て実行ということになりますが、レクチャーホールは今、奈良の観光案内の映像を流していますが、あまり席も埋まっていません。ですのであちらのカーテンを開放すると外が見えますので、開放したほうが人気もあって安らぐという意味でいいかもしれないということで、ちょっと実験してくれませんかと検討を指示しております。

 またレクチャーホールの舞台を利用して、素人、アマチュアの方含めて、時々演奏できるか検討しております。県警のブラスバンドは県庁の前で演奏しておりますが、レクチャーホールで定期的に、演奏するのはどうですかとアイデアを持ちかけています。周りのアメニティーのあいているところにスターバックスみたいに外に椅子席を置いて、座って椅子と机を置いても差し支えないようなところは置ける余地はないのかと検討しております。そんなことを勝手に見に行っては点検して検討を指示しております。そのようなアメニティー向上の改善の可能性はあると思っています。

 出かけておりますと、奈良市民の方から呼びとめられて、声をかけていただくことがたびたびあります。総じて、声をかけていただくからですが、想像以上に良いのができたねと言っていただきます。それと、デザインが良かったねとおっしゃることも多いです。私が見聞する評価ですので一部だと思います。ただ非常にバスターミナルそのものに肯定的な評価をいただいてうれしいと思っています。

 また、アメニティーの向上や、渋滞により寄与するための仕組みなどいろいろ検討をしたいと思います。

奈良新聞:
 運営上の課題として、正面玄関の前の道路で奈良交通の路線バスと観光バスが交差する場所があります。それが1つ課題なのと、もう一つ、裏の部分で相当バスも運行するようになってて、そこの危険性の回避とか、あと県庁西側の交差点までのところも時間帯によってバスで渋滞するような、渋滞と言えばいいのか、停滞するようなときもあって、そこら辺の課題も見えてきたと思います。そこをお聞かせください。

知事:
 課題かどうかチェックしたいと思います。私は時々今おっしゃったようなことを気にして見ております。ただ目の前で、問題だなという場面には出くわしたことがございません。監視をしないと課題なのかわからないところがございます。だからエビデンス主義で、写真で見て、これは課題だろうと突きつけていただくようなこともあるかもしれません。

 そのように課題かどうかが、こちらの思い込みのないようにと思っています。いろんな人からそのような話が来てれば、また上がってくると思ってます。いろいろ市民の方が見られて、これはえらいこっちゃというふうに思われると、それは課題であるかもしれません。それは常時耳を凝らしてと思いますので、それは直に見られている方の印象が何よりじゃないかと私は思っています。私や記者さんが時々見るだけの課題だというのでなく、あるいは良いと言うだけでなく、常時今のような課題があるというふうに記者さんがお思いでありましたら、その意見を尊重して、監視をするようにしたいと思います。ご指摘ありがとうございました。


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地方政治について

奈良新聞:
 この間、知事が連休前に市町村サミットをやられているのを拝見したんですけども、二元代表制のことや、地方政府・政治のことで。本当にたまたまかもしれませんが、今、報道でも県内見ると、宇陀市が注目されていると思うんですけど、これは知事のおっしゃってた地方政治のこととかかわってくると思うんです。今回のその専決処分のやり方であるとかいろいろ出てて、現在の市長と議会とのやりとりって、注目できるとこだと思うんですけど。しかも奈良モデルにも、県と市町村の連携の話にもかかわってくるテーマが上がってきていると。この一年ずっと、ちょっと続いているみたいですが、それを知事はまずはどう見ておられるのかというところから。

知事:
 市町村サミットで、地方政治のテーマで、北村さんと、待鳥さん、それから砂原さん、この分野はなかなか学者さんおられないようにお見受けするんですけども、一番よく勉強されているような方々が関西におられて、来ていただいて講演、パネラーをしていただいての、市町村サミットでしたけども、市町村議会の人にも声かけたら100名以上の参加があったんですね。それは、また市町村議会の議員、市町村で随分来られているとこと、ほとんど来られない市と、極端に分かれるんだけれども、関心があってとてもうれしかったです。

 その内容は、今ちょっとレジュメ整理したりしてるんですけれども、大阪大学の先生もおられて、維新の政治って、最近では地域政党というふうに言われます。地域の関心と国政の関心というのが分離してるかもしれないということがありますので、国政と地域の関心がバッティングするときに取り上げられることが多いんですけど、地域政治、プロパーでの取り上げ方というのはどうなのかというのが我々地域、地方の政治のしている者にとっては、そのあり方というのは関心の中心でありますので、そのようなテーマでセミナー(シンポジウム)をさせていただいたということであります。

 その評価は、また来られた方、関心の持っておられる方に改めてお伺いしたいとは思いますけれども、ある程度の関心を呼びました。また、先生方も後、市町村サミットの懇親会、3人ともつき合っていただいたんですね。すると、引き続き3人の先生プラス地方政治に関心のある先生の関心を持続、また惹起していきたいなという思いがありまして、一つは、何か調査をしてくれませんかという申し出をしております。北村先生を中心に、地方政治の調査というのは、制度の調査ではなしに、県民の皆様の気持ちの持ちようの調査ということになります。気持ちの調査というのはどのようにするのかという設計がちょっと難しい面があるんですけども、地方政治に向かわれる有権者の関心というのは投票行動にあらわれるわけであります。アメリカでもその投票行動調査というのは割と頻繁に行われて、日本ではほとんど行われてないというふうに思うんですけども、今回の選挙、知事選も、県議会選、それから市町村議会選、たまたま統一地方選という年であり、また参議院選もあるので、そのような投票行動、投票動機の分析というふうにしてもらえないかということを申し入れております。それは調査委託のようなことができないかというふうにお願いをしています。講演で来ていただいた弾みで、そのようなことまでしてもらえないかというようなことが一つであります。
 
 それから、地方政治の制度ではなしに、その実態が非常にバラエティーがあるなというふうに先生方もおっしゃっておられましたし、各県レベルのバラエティーもあるし、市町村レベルの違いもあろうかと思いますので、その実態を理論的にどう整理するのかというのが私の関心事であります。先生方も、待鳥先生はもう政党という切り口で、地方政治の政党というのを大分主張されておりましたが、上牧の今中町長が、地方政治で、国政の政党というのはあまりなじまない、意識として余り上がってこないんだという意見を言われまして、議論かみ合ってるなと、そういう意味でかみ合ってるなという、違う意見が出された。

 すると、地方政治の政党というのは何なのかということになりますね。現実的には会派とかね、人脈とかいうふうになるようにも思うんですけど。それは理論的に国政の政党とどのようにリンクするのか、リンクすべきなのかという課題もあるように、その政党の問題。

 それから二元性の、先ほど宇陀市のことをおっしゃいましたが、二元性の首長権限と議会権限というのが、場合によってはあまり意識されてないかなというふうに感じることもありますが、日本の二元性の地方の首長の権限の一番大きなのは予算提出権だと思います。予算提出権が首長にしかないと、議員にないというのが非常に大きいと。議員がそれぞれ提言すると、多数派の議長派が予算何でも通せられると。パッケージで予算通すというような仕組みで、これは国も同じですけれども、アメリカのように個別予算をその都度可決するというやり方じゃないというようなことでありますので、首長の予算提出権と、その議決権というか予算承認権は議会にある、これは二元性の最も大きなことであります。そのようなことが県民の皆さん含めて基本的な意識が二元性というのである。

 国政の報道がたくさんありますと、国政は議院内閣制ですので、地方も議院内閣制のようにもしかしたら、これは失礼ですけども思われてる方もあるかもしれないのかというふうにもちょっとよぎるわけであります。国政の議院内閣制と地方の二元代表制というのは、どうしてそうなったかという、その制度設計の話はさておきまして、現実でどのように運営すればいいのかというのが我々の現場の課題であります。もう少し勉強を続けたいなということで、宇陀のケースもあるかもしれませんが、現実にはあそこでも言いましたように、予算提出権のある首長の責任は重たいですよと私、提言いたしました。それは首長の情熱とやる気がもう大前提だと、絶対不可欠だというふうに叫んだわけですけれども、それをどのように代表制のもとでチェックするかというのは、議会のチェックもあるんですけども、選挙のチェックが一番いつも大事なわけですけど、そのようなことも含めて、その実態をどうするのかというふうに思います。

 3つ目の点は、ローカルニュースが流れるかどうか。実は最近、ローカルニュースの量ということに関心を持ってます。2つのニュースをご報告してもいいかと思いますが、1つは、アメリカのニュージャージー州でローカルニュースが流れないと、あそこニュージャージー州はニューヨークの近辺ですけども、流れないと国の政治、地方政治も含めて分裂、分断が進むというふうに、ニュージャージー州の知事と議会が同じことを思って、ローカルニュースの記者養成のための予算を可決したというニュースがスマートニュースで流れたんですね。あれは何ニュースだったかな、スマートニュースじゃなしにグーグルニュースだったかな、しばらくたって消えてしまったのでフォロー自分ではできないんだけど、ちょっと調べるように、そういうことを。

 もう一つは、スイスのベルン州のベルン応用科学大学の学長さん以下12名ほど来られて、議論をちょっとしたら、こちらから持ち出したわけじゃないんだけど、スイスでもローカルニュースが流れないと、ポラライゼーション(分断)が進むんですよと、これはちょっと困ってるんですよと関心がありました。ああ、そういうふうに思っている。そのポラライゼーションの一番の刺激は、移民ですね、移民の扱いでポラライゼーションが進むというので。それはローカルニュースで流れた近所のこと、また日本でも同じようなことが起こりつつありますね。外国人労働者が増えると自治会の関心が、自治連合会の関心が一挙にその方向で高まってきてます。これは奈良県でもそのような情報が来ております。自治連合会で地域の共生ができるのかという自治連合会の関心が出ておりますので、それはニュースとちょっと違いますけれども、そのアイテムでヨーロッパと同じような、日本は外国人労働者に大変センシティブでありますので、そのようなコミュニティーとフォーリンな事物、これは労働者というケースですけども、日本はいろんな長い間かかって融和する技術がある国でありますけれども、一つの社会のテーマだというふうに、ローカルニュースの地方政治の関係でのローカルニュースというふうに関心持ってきておりますが、それも一つ大きなことかなと。3つの報告でございます。

 二元性からの報告、所見というふうにお問い合わせありましたので、ちょっと長くなりましたが、所見の報告でございます。

奈良新聞:
 そこから戻りまして、もう一回、今の宇陀市の現状については、知事はどう見ておられるんですか、いろいろ報道されていることについて。

知事:
 宇陀市、ちょっとまだよくわからないね。その事実をあんまり探索してないもんだから、今の理論体系の中でどのように問題を位置づけていいかというのはちょっとよくわかんないんですけども、先ほどの地方政治の勉強から始まって、制度なのか個人なのかって。地方政治は割と個人の人格とかやり方でもめたり、あるいはうまくいかなかったりする要素が多いように思うんですけれども、宇陀の場合はどういうことかちょっとよくわかんないんですけどね。首長さんたちが、首長会とかで、あるいは市町村サミットで議論するのと、議会に対してとか市民に対して見せられる顔というのはもしかしたら違うかもしれないので。私の関心は、首長さんは仕事熱心でないと困るなと、僕の立場からはですね、こういうことをいつも言っておりますけれども。だから仕事への情熱、やる気というのがあるところを応援しようというのが奈良モデルで、奈良県政はやる気のある首長を応援しようということをやってますので、宇陀市の首長さんはやる気があるのかないのか、その点はよくわからないんだけども、やる気があれば議会とうまくやってくださいねということになるんですね。やる気がなければ、議会しっかりしてくださいねということになるんですけれども、その事情がちょっとよくまだわかりません。

 もめたりするのは、民主主義が機能しているというふうにも見えますので、もめること自身私はあんまり悪いことじゃないと思っているんです。民主主義というのはしょっちゅうもめているのが民主主義だと。もめ方が課題だというふうに思いますので、何でもめているんですかということになると思います。民主主義は流儀、決め方の話ですから、民主主義のプロセスのどこが問題になっているんですかというふうに課題設定しますので、もめていること自身はいろんなもめ方あるので、民主主義というのはもめるもんだとは思いますんですけどね。もめ続けというのはちょっと困るなということになりますね。もめ続けになるのかというようなことは関心事ですね。

 もめ続けるのは、個人的なもめ、また、事項でもめるんじゃなしに、人脈でもめるというのは時々ありますので、そうかどうかということ。民主主義では人脈でもめる必要はないんだよと、事項で多数決という手段があるからですね、事項で判断。もめるのは民主主義の機能している証拠だからというふうには思うんですけど。

 ちょっと総論的で申しわけございません。また勉強いたします。また教えてください。

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緊急防災大綱について

毎日新聞:
 今週、緊急防災大綱をまとめられて、昨年度の西日本豪雨、それが契機になったとお聞きしてます。当時、記者会見の中でも、同じぐらいの量が降ったらと思うとぞっとするみたいな発言があって、知事としても思いのある政策の一つではないかと思います。大綱ができて、これを市町村と今後共通認識のもとでいろんな施策に取り組んでいかれますが、改めてその部分、知事の思い、今後どのように具体的に生かしていくかを教えていただきたいのと、6月補正で関連する予算を何か計上されるお考えはあるでしょうか。

知事:
 今のご意見で、「具体的」がキーワードだと思います。いつも職員は紙に書いて、やっていますでは、いざというときに役に立つ紙かどうか問われるということを、それには現実的に大綱が具体的にどのように受けの準備が変わっているのかを心して、大綱の実効性を確保することにしなければと。これは起こってみないとわからない面もありますが、日ごろの訓練や、そのように言ってますと、実効性、実効性と言ってますと、現場がちゃんと動かないとだめでしょうと浸透すればいいなということです。つくるときは熱心で、あとはほったらかしということは、災害のない地域でしばしば起こりますから、災害のあるところはその痛さが身にしみるわけで、紙どころか、気持ちの中で災害対応、備えが発生している、日本の特有ですが。災害がないとこの備えをどのように維持するかということが、奈良は大きなことだと、基本的な心構えで思っています。

 具体的な適用は、何よりも心構えが一番大事だと私自身は思います。災害は起こると。備えがないところとあるところでは随分差があるということを、実感としてなかなか発生しない県ですので、災害がないから、それは幸せなことですが、備え、心構えが一番大きいと思います。

 次に、県が防災大綱をつくった、県の責任で何でもやっていくのか、これは気持ちが全く逆ですね。自助から始まりますよと一応言っているけども、命が助かるのは、自助、共助、共助は身近な共助、隣のおばあちゃんはどうだったのか、から始まって、助かる、助からないの生死を分けるのが実例として出ております。すると組織、防災組織の自治会に大きな関心持っていますが、そのような組織が大事です。ハードかソフトの組織かと分かれてきますが、ハードで安心しちゃいけませんよという心構えの第一歩で、言っています。その気持ちをつくることを、気持ちの防波堤をつくるということがとても大きなことだと、私の意識では思っています。一朝一夕にできないですが、いつも大事だと言っていると、その意識を持っている自治会も現場の人もふえてきているということですね。意識づけで、県庁の流儀はエビデンスとナッジだと、ナッジを随分続けることが、緊急防災対策の心得、第一番だと思っています。

 だからどんと国土強靱化の予算できたから安心だと、安心は絶対にないと思いたい。だから多少の補正でも、特にこの緊急防災のテーマにしていたのは内水対策でしたので、内水対策をどのように進めるか、また内水ため池を整備することが予算的には大きなことです。それだけで安心しちゃいけませんよと、今の伏線で言った点ですが、それでもあわせて内水対策は命にかかわることは少ないですが、床下浸水、床上浸水あるのはやっぱり嫌ですから、それを防止しようと思っています。

 それは直轄遊水地の大和川があふれることに対して、やっと工事が始まった。先ほどの用地ですけどね。防災対策のため池も用地を出さないのかと、こう語気荒く迫ったりしますが、そんなもの出さない、うちは災害来ないとおっしゃるから、奈良らしいな、必ず来るよと言い返したりしてたんです、そのように言われる方には。掛け言葉ですけど、そのような会話がある奈良県だと認識してもらう必要もあるかと。内水対策は実効性があるところを、どうぞ、この田んぼを使ってくださいとなればいいですが、市町村でいろいろそのような用地取得にさえ困っているところもあるのが実情ですけど、どんどんこうして音頭を取って進めようというのが緊急防災対策の主眼です。進めよう、進めようというムーブメントですね。できるときには進めないと、いざというときに進め、では手おくれであることが世の常です。何もないときに進めようということが緊急防災対策の要諦だと思っています。

 6月補正でも、今申し上げた気持ちが第一だとは思いますが、気持ちを予算化するのはできませんけども、県庁の心構えをそのようにしなければということで、その心構えで予算の仕立てができる部分も、まだ頭にこの場では浮かびませんが、多少出るように思います。

毎日新聞:
 対市町村については、この大綱の精神、それぞれの防災計画に反映していただく流れになると思いますが、具体的にどのように積極的に参加していただけるような呼びかけをお考えですか。

知事:
 そうですね、今までの防災対策の市町村の担当首長の巻き込み方という、あるいは市民の方の巻き込み方は、先ほど申しました自治連合会にとても関心持っています。自治連合会は首長以上に集落の安全に関心持っており、地震などがあるし、古い家にも住んでいらっしゃいます。それから防災訓練でその実務に即した避難訓練をやり始めて、デモンストレーションだけではなく、実務訓練の機会を与えようということで、県がやり出すと市町村も一緒にやってもらえるような雰囲気に少しずつ進んできています。それから、市町村の内水対策は、去年、一昨年ぐらいの大和川の内水対策協議会、県と市町村と地方整備局が入っている場で、内水対策を完璧にしませんかと呼びかけたら、すごく乗りがよくて、この緊急防災対策のハード面にもつながってきていますが、やはり市町村長は、水つきが市民の反応も大きいので関心があったかと。

 内水対策は、県が余り手を入れる分野ではなかったけども、一緒にやろうと呼びかける、内水対策に県が呼びかけることがハード面では一つの大きな流れになってきていますので、内水対策を完璧にすることが、やはりこの緊急防災対策の期間でしていきたいなと思います。思いつくこの流れの目新しいところは、今、気がつくところではそのような感じです。繰り返しになりますが、防災大綱をつくったら安心だと、世の中、災害の神様はそのように見ない。そんな紙切れだから。その心構えで来たらしっかりやるぞと思っている地域は意外と襲われないと、神がかったような言い方をしています。

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国保県単位化について

時事通信:
 今週の頭に大阪市で行われた財政制度等審議会の地方公聴会で荒井知事がお話しされて、国保の県単位化、保険料の県内統一一元化について講演されました。まず、奈良県における国保の県の一元化の取り組みを1年間やってこられて現在、知事としての評価、どこまで進んできているかという点が1つ。それからもう1点、財政審の全体を通して拝見しますと、財務省、国としても国保の県内水準の統一というのを全国的に広げる意思があるんではないかと受け取りました。全国に国保の一元化、水準統一化を広げることの意義についてお考えがあれば教えてください。

知事:
 財政審の意図というのは、前経団連会長である榊原さんのプレゼンにもあったように、社会保障費がずんずん増嵩(ぞうすう)している。これは高齢化に従って増嵩するのは当然なんですが、それで財政がもつか。それを消費税で穴埋めするのが普通、ヨーロッパでもそうですが、それが現世代で税制なり保険料で穴埋めできないと、後世へツケを回すことになる。借金という形でツケを回すというのが基本的なテーマであり、これでいいでしょうかというのが財政審の感覚のように思います。

 そのような中で、収入を増やすというのは消費税の値上げ、社会保障の持続性確保のために消費税を上げるというのが一つのテーマで、そのような識者もおられました。関経連の会長が、15%まで上げてもいいんだよと、こういう提言をされたのは印象的でしたが、ヨーロッパのEUのメンバーになるには、15%ないとなれないんですね。消費税をね、付加価値税ですけども。それは社会保障は、それぞれの国が自分の消費税という税金でやりなさいよというのが前提になっていると思います。ほかの農業補助金とかは、EU補助金でやりますよと。EU補助金で社会保障はしませんよという流儀のように思っておりますが、日本は社会保障の持続性のためには消費税を上げようという、収入の面もありますが、歳出は合理的にしようというのがもう一つの柱であると思います。

 その歳出の合理化の中で、私のプレゼンの中にあった、保険料の令和6年の最後、収入と受益と負担を合わせて1,177億であったと思いますが、負担が1,177億というふうに設定しますと、令和6年の収入は保険料が218億だったと思います。ほかは、国民健保からの収入、財政の収入とかで合わせてますと。その218億の保険料を調達して、合う仕組みにしておりますと。その保険料水準が市町村保険から県営保険になると、保険料の統一というのが同一所得、同一世帯構成であれば、県内どこでも保険料が同じと。今はばらばらなんですが、こういうことを目指している府県が4つあります。奈良県、滋賀県、大阪府、広島県。4つしかないんですが、今のところ4つの中で目指す勢いがついているのは奈良、大阪、滋賀と近畿で3つあるので、地方制度審議会もその3府県にプレゼンをして、ほかにも展開しようと思っておられると思います。

 すると、統一保険料設立を目指す県というのは、まだそれだけしかないわけですが、これは国保の県営化に伴って、負担を公平化するという観点です。奈良県は、最初からそれを目指すということを県・市町村長サミットで確認をずっととってきて、国が方針を決める前にとってきていました。それは保険らしくしていこうと。市町村保険だといろんなでこぼこがあって、保険料が、1人人工透析患者が出れば、野迫川の保険料はばかっと上がるんですね。県営保険になればそういうことはない。だから野迫川で2人目の透析患者が出ると、ちょっと籍を、現住所を変えてもらうとか、そんなテクニックもしていたと。保険とちょっと違う世界での、村の負担を軽減するための、そういう苦肉の策をされてたというエピソードも聞いていますので、総じて県営保険化は賛成されている県だと思います。

 これは合併が進まなくて、小さい村が残っている県というのは今、数少なくなっているかもしれませんが、そのようなことも県営保険でやるのに賛成のコンセンサスがとれてきた、その政治的な理由かもしれません。そこまで分析をしていませんが、財政審の意向とマッチしたのは、保険料一元化という、受益と負担の見える化、受益と負担の総合マネジメントと奈良県が言っていますのに、県営保険のマネジメントというのが一つ大きなことだったと思います。

 財政審の委員の人たちは、そのような動きは評価されているように思います。その動きの方向としては結構じゃないですかと。将来負担を減らすため、現世代がせめてもの努力をしたがツケは多少いきましたとなったほうがいいと私は思います。努力もしないでツケだけどんどん回して、ひどい先祖だな、ひどい世代だなと思われるのは嫌だからということもありますので、できるだけのことをして、それでも高齢化が一時だあっと進んでしまいますので、それを乗り切るというのが今の課題だと。乗り切れば、後は高齢者が少なくなってきますので、2025年以降ですかね、少なくなってくるとお医者さんも要らなくなると言われているぐらいですから、その乗り切るまでの策を、知恵を出すというふうに私は思っています。

 そのようなことをプレゼンしたんですが、そのやり方が奈良モデルで走っていましたので、県と市町村が合同でやりましょうということを言って、財政審の先生方には、奈良モデル、奈良モデルと随分言っていただきました。

 その財政審と並行して、今週スイスのカントン(=地方行政区画)、ベルン州のベルン大学の学長以下が奈良に調査に来られて、そのときのテーマがエージングなんですね。高齢化社会への対応というのが、スイスから奈良県へ来られた勉強のテーマなんですね。どこで調べられたか、ベルン州と提携しているからということもあるんですが、奈良県はエージングソサエティー(=高齢化社会)の構築に向けて先駆的に取り組んでいるらしいなと言って、勉強に来られた。そのとき印象的なのは、スイスなんかいろんな社会保障が進んでいるじゃないですかと、こう言ったら、いやいや、まだまだ勉強することはたくさんあるんだ、もう学びだ、学びだと。学び合うというのが大事だという、心がけがすごくいいと思いましたね、スイスの人は。学ぶのはどこでも学べるんだと。こんなところまで出かけてきて学ぶんだと言っておられたのがとても印象的でした。カントン、ベルンですので、地方政治ですが、ベルンはスイスの中でも先進的な州だと思いますが、そのような大きな州が奈良へ来られるのは、こちらも学ばせていただくことがたくさんありますので、今の時期は学び、学びが大事かなと。政治的にも大事かなと改めて思いました。

 財政審は、その学ぶきっかけをつくるという意味のほうが大きいかと。物を決めるわけじゃないので、大きいかと思います。よくその事態を認識すると。もう知っているんだけども、勝手に後世にツケを回しているんだもんというような、あんまり現世的な欲どしいのは関西だと思われたくないから、やはりせめてもの努力をして、しようがないけども回ったよというふうにせめてもなればと私は思っています。

時事通信:
 国保の保険料率統一の現在の取り組み総括、振り返りはいかがですか。

知事:
 見える化というのはとても大きいので、毎年、それが令和6年、これ今、6年計画の1年目を過ぎたという、そのトレンドがあるんですね。ずっと上がるんだけど、1,177億に達するまで、そのトレンドで年間どのくらい上がっていくのかと。総収入、総費用というのが、受益と負担がどのくらい上がるのかと。1年目のトレンドはね、そんなに上がってないんですね。医療費適正化というのがそのトレンド、マネジメントの大きな要素ですのでね。医療費適正化というのは、それは各県とも取り組んでいるんですよね。健康増進にしろ、ジェネリックにしろ、糖尿病の重症化予防にしろ、メニューが大体標準化されてきている面もあると思いますね。これが大きいんですよね。その展開を実行するかどうかにかかってると。

 受益のほうがふえるということは、医療費が増嵩するというのは、やってなかったんじゃないのと、6年たてば指摘できるんじゃないかと。うちは必死になってやったんだと。健康寿命はよくなるけども、医療費は伸びてないよという、そういうふうに出てくる可能性があるんですね。滋賀県なんか健康寿命もいいし、医療費の抑制も進んでいるという、一つのモデルのように思いますし、それは健康増進という面もありますので、奈良県もまねしたいとちょっと感じました。

 健康増進で、医療費抑制というのが一つあると思います。具体的にはジェネリックとか、糖尿病の重症化予防は、薬で重症化予防じゃなしに、いろんな運動をしようとか、生活習慣をよくしようとか、そういうことも入ってますので、意識して実行しようと。奈良県が市町村の共感、理解を得て実行できるかどうかにかかっていると思います。

 今のところトレンドは順調なんですけども、健康増進の県民の人の健康プラクティス(=健康行動)が伸びるかどうかというのと、もう一つは医療費抑制にきくのは医療提供体制のほうの心がけということが大きいと思います。要らない病床をつくって、高齢者が来るとどんどん医療費を使うというのが一時流行っておりますが、そのようなことをしても、終末の医療というのが大きな課題でありますので、ヨーロッパは割とドライですね。ほとんどお金をかけないですね。だからそれを直ちにまねしたらいいというわけじゃありませんが。

 スイスの人が来て、今の課題は幸せに、健康に生活を送るというよりも、幸せに死ぬというのが課題なんですよということを言ったら、それは向こうはとても共感、ダイ・ハピリーというのが奈良県の大きなテーマなんですよと。記者の皆さんあんまり関係ないご年齢だから、我々高齢化世代はダイ・ハピリーというのはとても切実な課題ですが、スイスの人にそのような言い方をしたら、エージングの問題、ダイ・ハピリーというのはとても大事な課題。メンタル、キリスト教だから向こうは大丈夫かと思ったら、そうでもないですね。ダイ・ハピリーというのは大きな課題だというように、そういう議論ができる機会がふえてくるのは大変いいことだと思います。

 だから財政審も、財政審の押しつけではなく、支出抑制ということでなしに、社会保障を後世にツケを回さない方向で考えることが必要かなと私は思って、参加させていただきました。

司会:
 ほかにご質問よろしいでしょうか。よろしいですか。

 幹事社さんもよろしいでしょうか。よろしいですか。

 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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