果樹の育種、栽培に関する過去の研究成果

カキ産地リフレッシュ技術の確立

本県カキ産地では「富有」の約30%が老木園で生産性が低下していることから、新しい苗への植え替えを推進しています。これまでにカキ苗の育成方法に関する研究を進め、これまでに2年以上かかっていた苗作りを1年に短縮する「幼苗接ぎ木技術」やポットで大苗にして植え付けて、同年に収穫できる「早期成園化技術」を開発しました。この技術は東日本大震災で被災した福島県の「あんぽ柿」産地の早期再生にも利用できることが明らかとなりました。

カキの実が成った幼苗  カキの大苗 
 カキの実が成った幼苗  カキの大苗

ハウス柿の凹凸果の原因究明

ハウス柿は国内第1位のシェアを誇る、奈良県の主要品目の一つです。しかし、収穫期近くになると果実の表面が凹凸になり、果肉には褐斑を生じて、品質が低下することがあります。この原因として、高温や乾燥が影響していることが明らかとなりました。

ハウス柿の凹凸果  褐変の生じた果肉 
 ハウス柿の凹凸果  褐変の生じた果肉

カキでのチャノキイロアザミウマ多発の要因解明

主に「刀根早生」などの渋柿の果皮に帯状の模様が出るチャノキイロアザミウマによる被害が平成27年に多発しました。そこで、粘着トラップを用いた発生源の探索や発生消長の調査を行いました。その結果、3月下旬~8月下旬までに6回前後の発生ピークがありました。また、カキ園近くにあるチャやヒサカキなどが増殖源となっており、定期的にカキ園内に飛び込んでいる可能性が高いことがわかりました。

チャノキイロアザミウマによる被害果  粘着トラップによる調査 ヒサカキ 
 チャノキイロアザミウマ被害果 粘着トラップによる
発生源・発生消長の調査
 ヒサカキ