令和2年度実施事業
事業実施事業者:特定非営利活動法人(NPO KYOBATE)
事業実施地域:京終地区
事業期間:令和2年9月1日~令和3年3月19日
★PDFデータはこちら
地域の現状
JR京終駅周辺エリアは、かつては青果市場や商店が立ち並び、奈良市の物流の拠点ともいえる土地であったが、
現在はいくつかの商店が散見される状態になっている。
地域が抱える課題
青果市場や運輸局が移転し、京終のまちの経済力が落ちるのに合わせて、
まちの外部から見る京終印象値・ブランド力が低下してきている。
まちに携わるひとの活気・活力も上がる機会が少なく、
地域の中心経済の喪失→空き屋・空き店舗の増加→地域のブランドの低下と負のスパイラルとなっている。
ならまち旧市街地の中で京終エリアのみがならまちの活性化から取り残されており、
歴史はあるものの注目されない状態が続いている。
線路の南側は再開発により若年層の移住もみられるが、駅周辺は高齢化が進んでいる。
実施事業内容
JR京終駅周辺エリアにて、新しい店舗を出店しやすい環境を整えることで
まちに賑わいを創出するきっかけを作るという目的のもと取組を始めており、取組の進化を目指し、以下の事業を実施した。
「お店づくりスクール」の実施を柱とし、地域調査、空き店舗整備の更なる改良・展開の実施、
お店づくりスクール参加者による実験店舗運営を実施した。
①地域調査
出店希望者に向けての情報として「地域にどのようなお店が必要とされているか」を調査し、
昨年度調査した内容と合わせ、資料としてまとめた。
まとめた資料をもとにお店づくりスクール当日に調査結果の発表を行った。
自治会長や観光案内所へのインタビュー、事業実施空き店舗前の通行量調査、
地域住民へのアンケート調査(聞き取り調査、ポスティング)を実施した。
②実験店舗の整備
ニーズがある飲食店営業に対応できるよう整備を行った。
自分たちの手で空き店舗を整備したことで愛着のあるスペースとなり、今後、自信を持って貸せる店舗となった。
③お店づくりスクールの開催
「何をするのか、ではなく、なぜするのか」という考えを大切に、
実際に店舗の運営や事業を行っている方をアドバイザーとして迎え、出店希望者に対し、スクールを実施した。
応募時の志望動機などから選考を行い、スクール参加者(約10名)を決定。
参加者を2つに分け、アドバイザーとサポートメンバーを1名ずつ割り振り、Aチーム/Bチーム構成にして実施した。
最終的に実際にチームで運営するお店の事業計画書作成までを行った。
チームごとに作成した事業計画を発表し、アドバイザーからの講評を受けた。
出店してみたいという気持ちを持ちながらも自ら一歩を踏み出しづらい人に向けて、
その思いの実現を応援できるような場所の創出を目指した。
④実験店舗の運営
お店づくりスクールにて各チーム作成した事業計画をもとに、
スクールから約2ヶ月後に空き店舗で2つの実験店舗をオープンした。
準備から広報、当日の運営までをスクール参加者が行い、店舗運営について実践的に学んでもらった。
準備の様子も含めてSNS等で積極的に配信し、地域の方やお店に関心を持ってくださる方により興味をもってもらえるよう工夫した。
成果
昨年度実施した空き店舗の整備・地域調査を改良し、
新しい取組としての「お店づくりスクール」実施からその参加者による実験店舗オープンまでを行うことができた。
地域調査を通じ地域の方の声を聴くことができ、地域の中でのNPO KYOBATEの立ち位置を知れた。
厳しい意見もあったが、少しずつでも活動を見てもらえている実感が得られた。
実験店舗を飲食店営業にも対応できる状態まで整備することができ、
出店希望者の様々なニーズに対応できる環境を整えることができた。
実験店舗のオープン時には2チームとも沢山の来店があった。地域の方も多く来店していただけた。
今後の課題・取組
継続的な実験店舗の運営を検討していく。
事業の中でNPO KYOBATEメンバー以外が実験店舗を使用する上での課題が見えたため、
最適な運営方法のあり方を検討していく。
奈良県内でお店づくりやまちづくり等の活動をしている他の団体・チームと連携して、
お互いのノウハウを共有し、活動の話を広げていきたいと考える。
事業の特徴
店や地域についての勉強会の開催、空き店舗の整備、実験店舗の実施、勉強会参加者へのサポートにおいて、
NPO KYOBATEのメンバーが労を厭わず、丁寧に事業を進めたことで、
昨年度に築いた空き店舗の所有者や地域との信頼関係をより深めることに繋がっていた。
一から事業計画を作成し、作成した事業計画をもとに実験店舗で期間限定出店をしてみることで、
実際の店舗運営を具体的に体験することができ、本格的な実践的の場を創出する仕組みとなっていた。
「何をするのか、ではなく、なぜするのか」という考えを主軸にすることで、
事業全体を通じ、お店に対する想いを地域や参加者、NPO KYOBATEメンバー自身にも考えてもらう機会となり、
今後地域をより良くする店舗の創出に繋がっていくと期待される。
地域調査の様子 お店づくりスクールの様子 実験店舗整備の様子
実験店舗「人×人(ぴとぴと)つながるカフェ」 実験店舗「きょうばてサンドatMETRO」