平成15年度
奈良県保健環境研究センター年報
No.38
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論文
1.飛鳥川の水質に及ぼす河川流量・堰・植生の影響 P.41-P.48
松川康夫・松本光弘・浅野勝佳・米田正博・中山義博・梅林清志・樋上耕・野村賀寿男・兎本文昭
飛鳥川の水質に影響を及ぼす要因として河川流量・堰・植生に着目し、明日香村高市橋~橿原市西新堂大橋の調査区間において、堰・植生・水利用等を特徴とする8地点を選び、灌漑期を中心におおむね月1回の頻度で7回水質測定を行った。また水質に影響を及ぼす水利用状況と水利用計画について関係機関から情報収集を行った。今回の調査では水質汚濁の要因と影響の大きさは、河川流量>汚濁負荷量>堰>植生と推定され、水質改善には水利用の合理化を図って河川流量の増加を図ることが最も効果があると思われた。
2.清浄地域に位置する明神池の水質特性調査 P.49-P.54
浅野勝佳・氏家英司・樋上耕・松本光弘・兎本文昭
日本有数の降雨量を誇る大台山系の麓に位置し流出河川のない湖沼「明神池」の水質に着目して調査を実施した。調査期間を通してアルカリ度(0.034meq/L)、電気伝導率E.C.(8.81μS/cm)、pH(6.1)とも非常に低い数値で安定していた。また年間を通してほとんどのイオン成分濃度の変動も小さく、低い値であったが、硫酸イオンについては比較的変動が大きかった。明神池の硫酸イオンとpHの関係は、明神池周辺地域の雨水の硫酸イオンとpHの関係に類似している可能性を確認した。
3.奈良県の河川水のイオン成分の特性と多変量解析法による評価 P.55-P.66
松本光弘・浅野勝佳・氏家英司・岡田弘・兎本文昭
平成13年度から平成14年度の2年間にわたり、奈良県内の4水系(大和川水系、淀川水系、紀の川水系、新宮川水系)91地点で河川水のpH、導電率(E.C.)、イオン成分濃度(質量濃度)の調査を年4回行った。水系別にpH、E.C.、各イオン成分濃度と有機汚濁指標であるBOD、COD濃度を用いた多変量解析法(クラスター分析、主成分分析)の結果、クラスター分析から各水系別の地理的特性を反映し、また主成分分析から2個の主成分(Z1、Z2)で要約することができ、イオン成分とBOD、CODとの関係と調査地点の特性を把握することができた。
4.HPLCによる喫煙ラットの血清中ニコチン及びコチニンの定量 P.67-P.71
田中健・大前壽子・森居京美・大橋正孝・安村浩平・北田善三
喫煙させたラットの血清中ニコチン及びコチニンの簡易な同時測定法を開発した。分析法はアルカリ性下、クロロホルムによる液-液抽出後、クロロホルム層に0.1N塩酸を加えて逆抽出し、その150μlをクロマトグラフ(波長260nm)に注入した。内部標準物質には5-アミノキノリンを用いた。ニコチンの平均回収率は99-104%、コチニンは99.7-104%であった。定量限界はニコチン2ng/ml、コチニン1ng/mlであった。
業務調査報告
1.大気中の粒子状物質に係る環境調査 P.73-P.76
吉岡浩二・陰地義樹・松浦洋文・岡田弘
2.平成15年度奈良県水道水質外部精度管理調査結果について P.77-P.82
中山義博・浅野勝佳・梅林清志・米田正博・松川康夫・松本光弘・兎本文昭
3.物品購入伺いと薬品管理のシステム統合 P.83-P.89
大橋正孝・田中健・大前壽子・森居京美・安村浩平・北田善三
4.奈良県における神経芽細胞腫のマス・スクニーリング検査結果 P.90-P.91
立本行江・井上ゆみ子・中野守・北堀吉映・足立修
短報
1.奈良県における環境放射能調査(第12報)(2003年4月~2004年3月) P.93-P.94
岡田作・玉瀬喜久雄・北村栄治・岡田弘
2.LC/MS/MSによる食品中のスクラロースの分析 P.95-P.96
大橋正孝・田中健・大前壽子・森居京美・安村浩平・北田善三
3.LC/MS/MSによる食品中のステビア成分の分析 P.97-P.98
安村浩平・伊吹幸代・田中健・北田善三
4.LC/MS/MSによる清涼飲料水中のパラコートおよびジクワットの分析 P.99-P.100
伊吹幸代・植田直隆・宇野正清・北田善三
5.奈良県の2003/2004シーズンにおけるインフルエンザ流行疫学 P.101-P.102
北堀吉映・井上ゆみ子・中野守・足立修