あまねく国土を治めるわが天皇が統治なさる天下に、国々は多くはあるけれども、山も川も清らかな河内として、御心をよしとなさる吉野の国の、花の散る秋津の野のほとりに、宮殿の柱も太く君臨なさると、百しきの大宮人は船を連ね競い合って朝も夕も川を渡ってはなやぐ。この川の絶えることのないように、この山が高いように、ますます永遠に高々と統治なさる、この激流のほとばしる滝の宮居は、いつまでも見あきないことだ。
<反歌>
見あきることとてない吉野、その川の滑らかさが永遠であるように、いつまでも絶えることなく、くり返し見よう。
|