奈良伝承

 

樽丸とは?
 酒樽などの樽を作る材料のことです。樽自体は、樽屋が作りますが、樽の側板になるように杉を手作業で加工したものを樽丸といいます。昔は、丸く束にして出荷していたらしいです。 
 江戸時代の享保年間頃に、木目が細かく、まっすぐで香りと色が良い吉野杉に樽屋が目を付けて生産が始まったとされています。
 灘などの大手酒造の鏡開き用の酒樽や香り付け用の酒樽に使われています。
 今も樽丸を製作しているのは、吉野町、大淀町、下市町、川上村の5軒くらいで、僕が一番若手。
 平成20年3月には、「吉野の樽丸製作技術」が国の重要無形民俗文化財にも認定されました。

何年くらいされているんですか?
 仕事を始めて27年目になります。初めは、家が近かったからアルバイトとして入ったんです。この仕事に就きたいと希望して始めた訳ではないんですが、やっているうちに木の違いや特徴がわかり始めました。木を割ったり削ったりする目安もわかり、仕事が面白くなってきました。今では木を買い付けるとき、木の方から「良い木やから買って損ないで」と話しかけてくるような気がするほどです。
 これからも、自分ができる分をこなして、必要としてくれるお客さんを大切にしていきたいですね。

吉野林業について思うことは?
 昔は、樽丸作りのために植林をしていた時代もあったくらい。自分の仕事ができるのは、昔の人が吉野杉を植林して手入れしてくれ、今それを切り出してきてくれる林業に携わる人がいるから。
 木は、災害を防いだり、水を貯めたりもしてくれます。木を手入れして山を育てる人がいないと、この仕事は続けていけません。もっと、木のありがたさや山のことを理解してもらえたら良いと思っています。


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