奈良ゆかり探訪

 



東大寺大仏殿の鉄骨トラス
 明治期の東大寺大仏殿の修復では、当時製鉄業がさかんであった英国のSHELTONSTEEL(シェルトン・スチール)社製の鉄骨トラス(鉄骨構造のうち、小さな三角形を多数組み合わせた構造)が使われ、今も大屋根を支えています。鉄骨トラスを用いた構造の採用は、当時の先端の技術を駆使したもので新しい発想に基づいていました。東大寺の大仏殿は、1903年(明治36年)から11年にわたり大修理が行われました。その要点は、軸部構造材の補強と構造の強化と屋根荷重の削減でした。
 その中で上層小屋組中の2本の松の大梁(長さ23m、直径1・3m)は中央で50cmほどたわんでいました。これを補強する構造材として大梁下端に高さ5mの大型トラスを添わせ、その両端を内陣柱に組み込んだ鉄骨にリベットまたはボルトで固定しました。
 さらに桁行方向にも振れ止めを兼ねた小型のトラスを架け渡して大梁の重量とこれにかかる上層屋根荷重を内陣柱に分散・伝達させる方法が取られました。
 鉄骨構造の採用は、大仏殿はもちろん、日本の木造伝統的建造物の歴史の中で初めてのことで、その活用には細心の注意をもってあたり、外側より見える部分での使用をできる限り控え、鋼材を木部の中に包み込むなどの方法がとられています。
 世界最大級の木造建築の修復に鋼材やセメントといった当時の先端材料が使われ、今に伝わっていることから、伝統文化を守るために、新しいものを受けいれてきた先人の苦労と知恵が感じられます。。


鉄骨トラス(撮影・箱崎和久)

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