奈良県には、重要伝統的建造物群保存地区に選定された橿原市今井町、宇陀市松山地区、五條市五條新町地区の3地区をはじめ、魅力のある歴史的な町家・町並みを有する地区が数多く存在しています。
しかし、1998年(平成10年)には12.2%であった奈良県における空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)が、2008年(平成20年)には14.6%となっている(総務省統計局「住宅・土地統計調査」より)ように、空き家が増加傾向にあることや、管理不足による老朽化の進行等により、良好な景観が失われ、地区の活性化・安全性が阻害されるという問題に直面しています。
また、1999年(平成11年)には1,449,138人であった奈良県人口が、2010年(平成22年)には1,400,728人となり(奈良県統計課「奈良県推計人口調査」より)、人口減少が進んでいることや、県内の65歳以上の人口の割合が、2000年(平成12年)の16.32%から、2010年(平成22年)には23.44%となり(奈良県統計課「住民基本台帳に基づく奈良県年齢別人口」より)、高齢化が進んでいることから、地域コミュニティの活力低下が懸念されています。
このような状況の中、歴史的なまちに誇りを持ち、住民が主体となって地域力を向上させることにより、多くの人が集う魅力的なまちへつなげていきたいとの想いから、2011年(平成23年)に、まちづくり団体を中心メンバーとして「奈良・町家の芸術祭 HANARART実行委員会」を結成、この年に初めて「奈良・町家の芸術祭HANARART」を開催し、今年で14回目の開催を迎えました。
先人達の知恵が残る「歴史的な町並み・町家」に、斬新な発想の「現代芸術」の演出を施すことで、より多くの方々に会場となる空き町家に訪れていただき、地域の方々や作家との交流を図っていただく中で、今までに気付かなかった魅力や利活用の可能性を認識する機会になることを期待しています。
会場となる空き町家は、会期中の短期的な使用であることから、オーナーの心理的な不安や抵抗感が少なく、本格的な利活用のきっかけとなっています。また、空き町家の利活用を検討している人にとっては、気軽に建物内部を見ることができ、空き町家の利活用に対するイメージが湧きやすくなると考えています。
さらに、「はならぁと」会場となる空き町家を、実行委員会をはじめ、アーティスト、サポーター等が一緒に大掃除を行うことで、オーナーの負担軽減とともに、地域内外の人との交流促進にもつながっていると考えています。
これまでに、過去13年間の開催を通じて、「はならぁと」会場となった空き町家が住宅や店舗等に利活用された事例が46件、地域の若者による新しいまちづくり団体の誕生、所属メンバーの高齢化が進む既存のまちづくり団体への若い女性の加入など、まちづくりに関する様々な効果を生み出してきました。
今年も訪れる方々に楽しんでいただくのはもちろんのこと、私たち自身も「はならぁと」を楽しみ、まちづくりの新たな可能性にチャレンジしていきたいと思っています。
奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2024を開催いたします!
詳細は、奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2024 ページへ。