今から約1ʼ300年前、平城京鎮護のため、白い鹿に乗って強大な力を持つ武神が御蓋山(みかさやま)に降り立ちました。平城京の守護神であり、ひいては国の守り神、ご祭神として春日大社に祀(まつ)られるタケミカヅチノミコトです。 『古事記』でも日本国創世の重要な場面で登場します。「神生み」のくだりでは、イザナキノミコトが火の神の首を切り落とした際、剣についた血が飛び散って生まれた神と記されます。「国譲り」の段では大国主神(おおくにぬしのかみ)に、日本の国を高天原の神々に譲るよう談判。この時、大国主神の子の一人が力比べを挑むも、その手を握りつぶし、体を投げ飛ばして圧倒的な力で一ひねり。国譲りが完成し、これが相撲の起源とされています。 その後、大和を平定する「神武東征(じんむとうせい )」でも、苦戦する神武天皇の一行をタケミカヅチの剣の威光が救ったとされています。御蓋山の中腹に社殿を構える世界遺産の春日大社は、ほぼ20年に一度行われてきた「式年造替(しきねんぞうたい)」を平成27〜28年に迎えます。社殿や調度を新調・修繕し、ご神威を力強く若々しくするこの最も重要な儀式を記念して、禁足地の御蓋山浮雲峰(うきぐものみね)でも期間限定で参拝ができるようになりました。遥拝所の鳥居から神降る山の頂を拝めば、厳かな空気に包まれます。
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