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平成26年12月号
どうして瓦づくりを始めようと思ったのですか?
代々、うちは屋根屋でしたから、瓦を目にすることが多かったです。学生の頃から瓦づくりがしたいと思っていましたが、この業界が不況で厳しいこともあり、親は違う道を勧め、自分も自分の思いを貫くことができず、数か月間は他の会社で働きました。でも、やっぱり瓦づくりがしたくて、20歳からこの仕事をしています。
瓦は建物を護るための大切な役割をもっていますね。
瓦には、平瓦、丸瓦、鬼瓦などさまざまな種類があります。今では、瓦葺きの家が減ってきたので、主に文化財保護の仕事が多いです。
屋根の上に飾られる鯱瓦(しゃちほこがわら)も手掛ける
瓦づくりの魅力は何ですか。
施主さんによって、屋根や瓦の形状、大きさはさまざまです。頭を抱えて悩むこともありますが、ものづくりが好きなので、作っているときはやっぱり楽しいです。完成したときはとてもうれしいです。
今までどのような文化財の仕事に関わってこられましたか。
京都の東本願寺の鬼瓦や、兵庫の姫路城大天守保存修理工事で使われた一番大きな鬼瓦などを作りました。今は、平成30年に落慶を目指している「興福寺中金堂再建工事」の鬼瓦を作っています。
発掘されたものにならって
型押しした鬼瓦を乾燥へ
どのように作るのですか。
今回は興福寺境内の中で発掘された鬼瓦を元に復元となりますから、見本となるものを粘土で成形し、検査を経て、そこへ石膏を流して型を作ります。粘土は、乾燥させ、窯で焼くことで12~13%縮みますから、その分、実際のものより大きく制作しなければなりません。
そして、できた石膏型に、粘土を手で押し込んで成形します。成形が終わると、約3か月ほど乾燥させるのですが、この作業が瓦づくりの最も重要な工程となります。
その後、窯入れから窯出しまで1週間。温度は1150度ほど。焼く際にも縮みますので、傷が出ていないか緊張します。失敗すると、最初からやり直しですから。
乾燥を終えて、興福寺中金堂再建に使われる鬼瓦を釜入れ
今後、どのような瓦を作りたいですか。
強く長持ちする瓦はもちろん、瓦は建物の顔でもあるので、仕上がりの美しい瓦、施主さんの思いに合った瓦を作りたいですね。「一生修行」の気持ちで頑張りたいです。
飾り瓦の模様は一筆で描く
最後に、師匠であるおじいさんから一言
奈良には国宝級の文化財が多く、護っていくためにも後継者が必要です。業界はどんどん厳しくなるけれど、自然と孫がこの仕事に就いてくれてうれしいです。
いつまでも永く残るよう、今まで以上の瓦を作り、立派な指導者になって、技術の伝承をしてほしいと思います。
祖父の山本清一さんと、姫路城大天守保存修理の予備として作られた鯱瓦の前で
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