奈良市で英会話スクールを経営、外国人向け文化体験サービス事業も展開
Vincy English School 代表 ダシルバ久恵さん
ダシルバ久恵さんは、奈良市内で英会話スクール「ヴィンシィー イングリッシュ スクール」を立ち上げた奈良県でご活躍の女性起業家です。
英会話スクールに加えて、2016年7月にはならまちの一角に外国人旅行者向けワンストップ型文化体験サービス事業を提供する「NARAigoto EENA HOUSE」をオープンされました。奈良県主催「ビジコン奈良2016」の最優秀賞である「知事賞」と「まほろば部門部門賞」を受賞されています。
名称:ヴィンシィーイングリッシュスクール(「NARAigoto EENA HOUSE」は有限会社ナカニシによる事業)
住所:奈良県奈良市三条本町9-1 三条通ガーデンハイツ1階 Tel 0742-35-3411
創業:2015年5月
URL:http://vincy-english.com/ http://www.naraigoto.org/
1.事業やスペースの特徴を教えてください
私が代表を務めるヴィンシィー イングリッシュ スクールでは、英会話レッスンと事業者向けインバウンド支援を事業の2本柱にしています。
英会話レッスンでは、3才から12才までの子ども向けの体験型英会話レッスンや大人向けの日常会話レッスン・ビジネス英会話レッスン・接客英会話レッスンを提供しています。事業者向けインバウンド支援は、奈良にはたくさんの外国人旅行者の方が来られていますので、その対応のためのサポートをお店や飲食店の皆様に提供しようというもので、出身地である奈良に貢献できる事業だと考えています。
事業者向けインバウンド支援は、具体的には英語接客の研修に加えて、飲食店のメニューやホームページなどの翻訳を行い、外国人旅行者の受け入れをサポートしています。これまで、自治体や飲食店様からの研修依頼がありました。今年度は奈良ドットFMでラジオによる接客英会話講座も担当させて頂いています。もともと、ヴィンシィー イングリッシュ スクールは、英会話教室としてスタートしましたが、事業者向けインバウンド支援にも力を入れているところです。
一方、有限会社ナカニシでは、奈良県主催「ビジコン奈良2016」で「知事賞」をいただいた「NARAigoto EENA HOUSE」の事業において、町家スペースを利用した外国人旅行者向けワンストップ型文化体験サービスの提供に取り組んでいます。今年、立ち上げたばかりの事業です。
ならまちにある私の実家の古い民家を利用して、母や姉の腕を活かして、書道、茶道、料理の体験プログラムを開催中です。
奈良県内で様々な文化体験を一箇所でできる場所はほとんどないので、ワンストップで様々な文化体験ができるサービスを提供しようと考えました。
2.あなたの起業ストーリーを教えてください
大学進学をきっかけに上京し、卒業後も東京で勤務していたのですが、両親が高齢になってきたこともあり、2015年4月に奈良県に戻ることになりました。
奈良県に戻ってどんな仕事に就くかを考えたとき、大学時代からずっと関わってきた、「外国にルーツを持つ子どもへの教育支援」の経験を活かしたいという思いがあり、同時に地元である奈良に貢献したいという思いがどこかにありました。
普通に企業に就職することも考えたのですが、私のやりたいことは就職では実現が難しいと思い、「では起業しよう」と考えたのがきっかけです。
具体的に起業を考えたとき、外国人である夫が14年間英語の先生をしていたことと、私自身の教育支援活動の経験を活かす形で、事業ができればと思いました。
外国にルーツを持つ子ども達への支援活動では、学校の勉強だけでなく、外国人のご家庭が日本で暮らす上で抱える様々な問題の解決をサポートしました。日本で生まれ育った日本人は気づきにくいのですが、外国の方が日本社会で暮らすと、いろいろな問題点があります。それなら同様に、旅行で日本を訪れる外国人旅行者も日本で様々な不便を感じるのではないかと考えました。
そこで、奈良を訪れる外国人旅行者の不便を解消し、「また奈良に来たい」と感じてもらえるようなお手伝いができればと思い、インバウンド支援の事業も行うようになりました。
3.起業のときのご苦労をお教えください
実際の事業は計画通りにはうまくいかないことを痛感しました。ヴィンシィー イングリッシュ スクールを開業する前には、どこに立地するかの検討のために、入念にリサーチしました。地域の子どもの数、世帯収入、周囲の英会話スクールの状況などをリサーチして、事業計画を作成し、経営者やコンサルタントとして活動している友人にもチェックしてもらい、何度もブラッシュアップをし、自分ではかなり良い事業計画ができたと思っていたのです。
ところが、実際に事業を始めたところ、半年たっても生徒数はわずか。目標としていた生徒数を集めることにとても苦労しました。完成度の高い事業計画を作り、内容的にもすばらしい事業を行えば、自然とお客様が集まってくると安易に考えててしまっていたと思います。
4.どのように乗り越えてこられましたか?
このままではいけないと思い、「できることは全部やろう」と複数のメディアに広告掲載をお願いしたり、ポスティングをしたりしましたが、なかなか集客につながりませんでした。
そこで、もっと具体的に「顔が見える」ことを意識して、私たちの英会話スクールについて知ってもらおうと考え、予約不要のオープンスクールを開催しました。小さなお子さんをお持ちのお母さん達にとって、参加しやすかったようで、たくさんの方々が来られ、生徒集めにつながりました。
また、近くのショッピングセンターの子ども向けのイベントにも出展しました。ここでも無料の英会話レッスンを行い、実際に体験してもらいました。
入会して下さった方がお友達を紹介して下さったこともあり、今では生徒数は増えてきました。「顔が見える」ということは集客にとって大事なことだと思います。
一方、NARAigoto EENA HOUSEの外国人旅行者向け文化体験サービスの方は、今年7月にスタートしたばかりですので、今まさに集客で苦労している最中です。
現在は、予約も月に数件とまだまだ少なく、集客を安定させるにはもう少し時間がかかりそうです。そこで、宿泊施設や旅行会社との連携のもと、送客を依頼し、集客を増やそうとしているところです。
5.これまでの成果や誇りについて教えてください
今年3月に奈良県主催「ビジコン奈良2016」の最優秀賞である「知事賞」と「まほろば部門部門賞」を受賞し、とても嬉しく思いました。
奈良の観光活性化で有名な方にブログでご紹介いただいたり、金融機関の方が訪ねてこられてテレビ番組への登場を薦めてくださったりと、地元ならではの広がりに驚いています。
また昨年、奈良市中心市街地活性化協議会で事業者様向けにインバウンド接客セミナー・接客英会話講座をさせていただきました。
そのときに、スクール近くの飲食店の方も参加して下さっていて、お店にご飯を食べに行ったときに、「キッチンに研修資料を置いてて、外国からのお客さんが来たときに使ってるよ」と声を掛けて下さったときにはとても嬉しかったです。私たちの事業の意義を再認識することもできました。
6.後輩女性起業家へのメッセージをお願いします
「Warm Heart, Cool Brain」(思いは熱く、頭脳は冷静に)
「Warm Heart, Cool Brain(思いは熱く、頭脳は冷静に)」。これが大切だと思っています。これがしたい、こういう社会にしたいという熱い思いが、女性起業家の皆さんもあると思うのですが、思いだけではダメなのですね。
計画通りに進まなかったり収益が得られないときに、状況を客観視し、分析し、方策を練ることが重要なのだと思います。どちらが不足していてもダメ、バランスが大切です。
もう1点、「応援してくれる人を味方につけること」もとても重要だと思います。私自身、創業スクールでアドバイスいただいたことなのですが、世の中には、「この人のためなら一肌脱いでやろう」と思わせる人がいるのです。
そういう思いが自分にあり、思いを伝えることができれば、応援してくださる方を味方につけることができ、困難にぶつかりながらも打破していくことができると思います。
印刷用PDFデータ
Vincy English School 代表 ダシルバ久恵さん インタビュー記事(pdf 1MB)
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