医薬品の適正使用

重複投薬と多剤投与

 病気やけがを治療するなどの効果・効能がある『くすり』。

 しかし、正しく使わなければ薬の効果が発揮されないどころか、思わぬ副作用を引き起こす可能性があります。

それ、トラブルの原因になるかも!

 

 1 重複服薬と多剤投与とは

 

重複服薬って?

 同じ時期に複数の医療機関にかかっている場合に、同じ効能の薬が重複して処方され、それを服用することです。

 

多剤投与って?

 必要以上に多くの薬が処方されて、服用することです。

 

 

 2 重複服薬・多剤投与の問題点

 

医療費の負担が大きくなる

 同じ効能の薬を複数処方されると、その分医療費を多く支払うことになります。

 患者が窓口で支払う自己負担分以外の医療費は、皆さんが納めている保険料や税金によって賄われています。

 服薬を見直すことで医療費の節約に繋がる可能性があります。

 

体の負担が大きくなる

 薬を重複して飲むと、薬本来の効果が出ないばかりか、薬の働きが強く出たり、薬同士の組み合わせが悪い場合体の不調を招いたり、副作用のリスクが高まります。

 

 

 あなたのくすりいくつ飲んでいますか?(一般社団法人くすりの適正使用協議会)

なぜ、高齢者ではくすりの数が増えるの?

 高齢になると、複数の病気を持つ人が増えてきます。

 病気の数が増え、受診する医療機関が複数になることも薬が増える原因となります。

 75歳以上の高齢者の4割は5種類以上の薬を使っています。

 高齢者では、使っている薬が6種類以上になると、副作用を起こす人が増えるというデータもあります。

 

 ==「ポリファーマシー」って聞いたことありますか==

 多くの薬を服用しているために、副作用を起こしたり、きちんと薬が飲めなくなったりしている状態をいいます。

 単に服用する薬の数が多いことではありません。

 

なぜ、高齢者では副作用が起こりやすいの?

 高齢になると、肝臓や腎臓の働きが弱くなり、薬を分解したり、体の外に排泄したりするのに時間がかかるようになります。

 また、薬の数が増えると、薬同士が相互に影響し合うこともあります。

 そのため、くすりが効きすぎてしまったり、効かなかったり、副作用が出やすくなったりすることがあります。

 

「なにか変だな」「いつもと違う」と感じたら?

 くすりを飲んでいて、次のような症状が気になることはありませんか?

 くすりが追加されたり、変わったりした後は、特に注意しましょう。

  眠気   気分が沈む   物忘れ   食欲低下

  ふらつき・めまい   おしっこが出にくい   便秘


 

 

3 重複服薬・多剤投与を避けるためにはどうしたらいい?

 

その1 お薬手帳は一冊に! 医療機関・薬局に毎回提示!

・お薬手帳は医療機関や薬局、疾病ごとに分けないで一冊にまとめる

・どの医療機関・薬局でも毎回持参する

・処方された薬の情報がシールではなく、紙で提供された場合は、その情報も忘れずに貼り付けるなどしてお薬手帳と持参する

 

薬の情報だけでなく、薬以外で毎日飲んでいる健康食品やサプリメントなどの情報や病歴、かかっている医療機関や薬局、訪問看護師などの情報があると、お薬による体の不調が起こったときに、また、起こる前に、関係者が連携して動きやすくなります

 

その2 かかりつけ医・かかりつけ薬局をもつ

・かかりつけ医・かかりつけ薬局とは、身近で相談しやすい「いつもの医療機関・薬局」のこと

・服薬歴や体質、健康状態を把握して、薬に関する疑問や相談に答えてくれます

気になる症状が出てきた場合や、飲み忘れ・飲み残しが出てきた場合には、医師や薬剤師に相談してみましょう

 

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薬剤耐性にご注意!

 風邪を引いたからと抗菌薬をもらいに病院に行っていませんか?

 そもそも風邪などのウイルスによる感染症に抗菌薬は効きません。

 抗菌薬は主に細菌に対して効果があるものであり、不適切な使い方により、その抗菌薬が将来効かなくなることがあります。

え!?くすりが効かない!?

 

1 抗菌薬と薬剤耐性

 

 かぜ、インフルエンザ、肺炎はどれも感染症ですが、すべて原因が違います。

感染症の原因

 抗菌薬はかぜやインフルエンザには効きません。

感染症の原因とくすり

 抗菌薬は細菌による病気をたくさん治してきました。
 しかし、今「薬剤耐性」が世界で問題になっています。

 薬剤耐性とは、抗菌薬が細菌に効かなくなってしまうこと。

 抗菌薬を使うことで病原体が変化し、特定の種類の抗菌薬・抗生物質が効かなくなる、効きにくくなることを言います。

薬剤耐性菌が増える過程

 

2 薬剤耐性でどんなことが起こるの?

 

感染症の病気が治りにくくなる

 病気に効果が見込まれるくすりの種類が少なく治療が難しくなります。

 
さまざまな医療が困難になる

 抗菌薬が効かないと感染症の予防や治療が難しくなり、さまざまな医療を安全に行えなくなります。

 

 薬剤耐性によって、世界では2019年におよそ127万人が死亡していると推定されています。

 このまま何の対策も講じなければ、約30年後には1,000万人が死亡すると予想され、がんによる死亡者数を上回ります。

 

 

3 薬剤耐性の予防のためにできること

 

 薬剤耐性を防ぐためには、必要な人が、必要なときに、必要量を飲み切ることが大切です。

 □ 何でもかんでも抗菌薬をもらわない(医師の指示・処方箋が必要です)

 □ 抗菌薬をもらったら最後まで飲み切る

 □ ほかの人にあげたりもらったりはしない

 

 日頃から行う手洗い、ワクチン接種、咳エチケットなどの感染症予防も薬剤耐性の予防につながります。

 

4 啓発用ポスター・ツールなど

 

【動画】知ろう まもろう 抗菌薬~クスリが効かない バイ菌の話~

抗菌薬(抗生物質)や薬剤耐性菌についてわかりやすく説明した動画です。(小学校高学年~一般向け)(1分59秒)

【動画】知ろうAMR、考えようあなたのクスリ 薬剤耐性について

薬剤耐性(AMR)の基礎知識、脅威とその影響、AMR対策予防のポイントを紹介します。(3分48秒)

【ポスター】薬剤耐性(AMR)に挑戦!!

薬剤耐性(AMR)に挑戦!!

すごろくをしながら、薬剤耐性(AMR)について学べます。

【リーフレット】知ろう まもろう 抗菌薬 ~クスリが効かないバイ菌の話~

知ろう まもろう 抗菌薬 ~クスリが効かないバイ菌の話~

感染症や抗菌薬、薬剤耐性菌について説明しています。

【リーフレット】未来に使える抗菌薬を残すために 薬剤耐性AMR

未来に使える抗菌薬を残すために 薬剤耐性AMR

インフォグラフィックを用いて説明しています。

これらの資材はすべてAMR臨床リファレンスセンターが作成したものです。

その他の資材や最新版の確認は、下記AMR臨床カンファレンスセンターのホームページへ。

https://amr.ncgm.go.jp/materials/

 

 

参考文献・国立研究開発法人国立国際医療研究センターAMR臨床リファレンスセンターの啓発用ポスター・ツールなど
・政府広報オンライン「抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)」が拡大! 一人ひとりができることは?」

 

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医薬品の適正使用を進めるための医療・介護関係者の連携

 

 重複投薬や多剤投与、残薬、ポリファーマシーなどの問題を解決するためには、薬を処方する医師、調剤を行う薬剤師をはじめとした関係者の情報共有・連携が重要です。

 奈良県では、各職能団体及び関係機関の医療・介護関係者が一堂に会し、諸課題に関する意識・情報共有を図り、取組協議・実施に繋げる場として、医薬品適正使用促進地域協議会を設置しています。

医薬品適正使用促進地域協議会

 

 医薬品適正使用促進地域協議会の詳細は、こちら

 

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