いわゆる大腸菌は、人や動物の腸管内に存在し、通常は病原性はありません。
しかし、いくつかの大腸菌は人に対し病原性を有し、これらは病原性大腸菌と呼ばれます。
(※動物は無症状)
病原性大腸菌は、病気の発症機序により次の5つのタイプに分類されます。
○腸管病原性大腸菌:小腸に感染して腸炎等を起こします。
○腸管組織侵入性大腸菌:大腸(結腸)粘膜上皮細胞に侵入・増殖し、粘膜固有層にびらんと潰瘍を形成する結果、赤痢様の激しい症状を引き起こします。
○腸管毒素原性大腸菌:小腸上部に感染し、コレラ様のエンテロトキシンを産生する結果、腹痛と水溶性の下痢を引き起こします。
○腸管出血性大腸菌(ベロ毒素産生性大腸菌、志賀毒素産生性大腸菌):赤痢菌が産生する志賀毒素類似のベロ毒素を産生し、激しい腹痛、水溶性の下痢、血便を特徴とし、特に、小児や老人では、溶血性尿毒症や脳症を引き起こす場合があります。
○腸管凝集性大腸菌:我が国ではほとんどこの菌による患者発生の報告はありませんが、感染すると小児等の長期の下痢の原因となります。
腸管出血性大腸菌による食中毒の特徴
原因 |
家畜(牛)や保菌者(ヒト)の糞便中の菌により汚染された 食肉、水、食品等を食べることで起こる。 |
潜伏期間 |
3日~8日 |
症状 |
激しい腹痛、頻回の下痢(水様~血様)、軽度の発熱、
場合によっては溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症等の重篤な合併症を発症。 |
特記事項 |
100個程度の少量の菌量で感染する。(普通の食中毒菌は1000000個必要) |
「厚生労働省ホームページ」 若齢者等の腸管出血性大腸菌食中毒の予防について
「厚生労働省ホームページ」 O157 Q&A