近鉄奈良駅のすぐ近くにある漢國(かんごう)神社の境内に、林(りん)神社と呼ばれる小さな社殿があります。この神社に祀(まつ)られているのは、南北朝時代に、中国浙江(せっこう)省杭州(こうしゅう)から渡来した林浄因(りんじょういん)という人物で、日本で初めて餡(あん)の入った蒸し饅頭を作ったと言われています。 1349年に来日し、現在の奈良市林小路(はやしこうじ)町辺りに店を構えた林浄因は、中国の饅頭(まんとう)(肉や背脂の入ったもの)を基に、当時の日本人の食文化に合うように、小麦粉を練った皮で餡を包んだ蒸し饅頭を販売し、大好評を得ました。その後、足利将軍家を経て宮中に献上するに至り、今日では全国の菓子業界の信仰を集めています。 林神社では毎年、林浄因の命日である4月19日に「饅頭まつり」が開催されます。全国各地から献上された饅頭がひな壇に供えられ、祭りの最後には、参拝者にその場で蒸された饅頭がふるまわれます。 林神社の社殿 全国から奉納された饅頭 ●林神社例大祭「饅頭まつり」4月19日(土) 10時~11時 問 漢國神社(林神社) TEL 0742-22-0612
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