長谷寺の五重塔
◆長谷寺(はせでら)の牡丹(ぼたん)と馬頭夫人(めずぶにん) 百花の王として名高い牡丹の花。奈良では、150種・7,000株の花が咲き誇る長谷寺(桜井市)が名所の一つとなっています。長い登廊(のぼりろう)に開く大輪は、ため息が出るほどの美しさです。この牡丹は、中国が原産です。繁栄のシンボルとして、楊貴妃(ようきひ)にも愛されたそうです。 さて、長谷寺の牡丹は中国にゆかりを持つという伝説をご存じでしょうか。ルーツは、唐の時代にさかのぼります。皇妃・馬頭夫人は、やさしい気立てにより皇帝の愛を一身に集めたため、それをねたむ他の夫人から容貌を悪く言われ、悩んでいました。彼女は、悩みを解決するため、長谷の観音さまにお祈りしました。霊験あってか美しくなった彼女は、お礼にもろもろの宝物を長谷寺に送り、それに数株の牡丹が添えられていました。これが、長谷寺の牡丹のはじまりとなったそうです。長谷寺の牡丹には、海を越えて今も昔も変わらない女性の願いがこめられているのです。 ところで、牡丹の花期は4~5月ですが、実は冬でも牡丹を楽しんでいただくことができます。長谷寺では、ワラを用いた温度管理によって、1月いっぱいは寒牡丹を鑑賞することができます。春が待ちきれないという方は、訪れてみてはいかがでしょうか。
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