薬剤耐性菌感染症~11月は「薬剤耐性菌対策推進月間」です~
薬剤耐性とは、特定の種類の抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなることを言います。薬剤耐性をもつ細菌が増えると、薬が効きにくくなることから、これまでは感染、発症しても適切に治療すれば軽症で回復できた感染症が、治療が難しくなって重症化しやすくなり、さらには死亡に至る可能性が高まります。
薬剤耐性菌の出現
薬剤耐性菌の増加の原因として、抗菌薬の不適正な使用があげられます。必要のない抗菌薬を服用することで、体内にいる細菌がその抗菌薬への耐性をもつ可能性が高くなります。また、処方された抗菌薬の服用を減らしたり自己判断で中断したりするなど、指示された服用方法を変更してしまうと、生き残った細菌から耐性菌が出現することがあります。
感染経路と症状
薬剤耐性菌はヒトからヒト、ヒトから環境へと広がります。特に、医療機関では、医療従事者の手指や医療器具等を介し、広がってしまうことがあります。
薬剤耐性菌は、病原性の弱い常在菌の場合が多く、一般的に、感染しても保菌状態のまま、無症状で経過します。しかし、免疫が低下している患者や高齢者等では、薬剤耐性菌が血中に侵入し、症状を呈することがあります。なお、症状は、薬剤耐性菌が定着する臓器や器官によって様々です。
五類全数把握(4疾患) |
カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症 |
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バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症 |
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バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)感染症 |
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薬剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症 |
五類定点把握(3疾患) |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症 |
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ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症 |
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薬剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症 |
奈良県における薬剤耐性菌感染症 年次別報告数
薬剤耐性菌を増やさないためにできること
薬剤耐性の拡大を防ぐためには、抗菌薬を適切に使用することが重要です。処方された抗菌薬は、医師の指示どおり、量・期間を守って服用しましょう。症状が治まったからといって服用を中断しないようにしましょう。
風邪やインフルエンザなどウイルスによって起こる感染症には抗菌薬は効きません。症状が似ていても、以前に処方された抗菌薬を自己判断で服用せず、医療機関を受診しましょう。
日々の手洗い・うがいを心がけ、必要なワクチンを接種し、予防できる感染症にかからないようにしましょう。
参考(外部ホームページ)
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html
政府広報オンラインhttps://www.gov-online.go.jp/useful/article/201611/2.html
AMR臨床リファレンスセンター https://amrcrc.ncgm.go.jp