豊かな自然や歴史文化遺産に恵まれ、古代に都が置かれた奈良は、日本の始まりの地であり、「日本の庭」の発祥の地でもあります。
また、奈良県の地形は、盆地、青垣、山岳が連なり、変化に富みながらもまとまりを持っているため、この山に囲まれた県全体を、あたかも大きな「庭」のようにとらえることができます。
そこで、奈良県全体を『一つの庭』と見立てて、奈良県が持つ魅力を向上させ、次世代に引き継いでいくため、県では、「奈良県植栽計画」(「なら四季彩(しきいろどり)の庭」づくり)を策定しました。
『一つの庭』のイメージ
調和のとれた「小庭」からなる『一つの庭』
県内には、個性的な名所などが随所にありますが、これらの 一つ一つを「小庭」としてとらえ、四季折々の彩りを楽しめるような庭づくりを行うことで、魅力を向上させます。そして、それぞれの「小庭」が、役割を果たしながら集まることで、県全体が調和のとれた大きな『一つの庭』となるように整えていきます。
それぞれが高め合う「庭」
これらの「小庭」どうしは、見たり、見られたりすることで、それぞれが借景となったり、連続する「小庭」への導入路となったりして、相互に関連し合いながら、奥行きのある景観を醸し出しています。
「小庭」のイメージ
手前の池から見た時、奥の山や寺院の塔が借景となって、重層的な景観をかたちづくっています。
※「借景」とは、周囲の山々や樹木などの自然物等を風景の背景として取り込む庭づくりの技法です。
地域の特徴に根ざした庭づくり
古来より「日本の庭」は、自然の地形や素材など、その地域にあるものを大切にしながらつくられてきました。「奈良県植栽計画」でも、川や池といった水辺、山や森林、田畑、歴史文化遺産など、その地域にあるものを生かしながら、庭づくりを行います。
ため池では、潤いのある景観を生かし、堤からの眺望を四季の彩りを映しだす水辺とともに楽しめる空間づくりを行います。
里山では、かつての景観や機能を再生し、日常的に自然と人がふれあい、眺望を楽しめる、やすらぎ空間づくりを行います。
それぞれの想いで楽しめる庭づくり
見て楽しむだけでなく、その中で歩いたり、遊んだりするなど、四季の彩りを五感で楽しめる庭づくりを目指します。
これらの他にも人がそれぞれの想いで、いろいろな楽しみ方や活動ができる庭づくりを行います。
樹木や花で四季の彩りを加えたり、見はらしのよい場所を整えたり、景観に配慮した維持管理を進めたりすることで、植栽による景観づくりを行います。
また、計画の策定と並行して整備を実施してきたことで、植栽による良好な景観づくりが進んでいます。
今後も皆さんと協働しながら、彩りづくりを進めていきたいと考えています。
問 県景観・自然環境課
TEL 0742-27-8756 FAX 0742-22-8276