私は、林業、製材業が盛んだった桜井市に生まれ育ちました。子供の頃は、父に所有山林に連れて行かれ、吉野の山林経営を教え込まれました。そういった関係で住友林業(株)という会社に就職し、現在に至っています。ふるさとから会社に通ったのは入社後わずか1年間で、その後は奈良県を離れて仕事をしています。 住友林業(株)筑波研究所の所長在任時には、桜や梅をはじめ、歴史的価値のある樹木を後世に残すため、組織培養による苗木の増殖に関する研究や、それらの遺伝子解析の研究などを統括していました。近畿地方に残る古い桜の遺伝子を分析したところ、東吉野村宝蔵寺のしだれ桜と京都・醍醐寺のしだれ桜の1本が、遺伝的に極めて近い関係にあることがわかりました。おそらく慶長3年(1598年)に豊臣秀吉がおこなった醍醐の花見の際に、東吉野村近辺の桜で見事な花をつける1本が選抜されて運ばれた結果ではないか、と考えています。 昨今、国産木材の利用が注目されています。森林県である奈良の木材が活用されるチャンスです。退職後は、ふるさとに戻り、これまでの経験を生かそうと期待に胸を膨らませています。
スマホアプリ「マチイロ」でも電子書籍版がご覧になれます。 詳しくはこちら
電子書籍ポータルサイト「奈良ebooks」でもご覧になれます。 詳しくはこちら