国道168号五條新宮道路〔地域高規格道路〕は、紀伊半島アンカールートとして紀伊半島全体の防災性を向上させ、広域災害に対する対応力の強化とともに、奈良県南部の地域づくりを支援します。
紀伊半島アンカールートは、海岸線沿いの近畿自動車道紀勢線と内陸部から紀勢線につながる国道168号五條新宮道路等で構成され、紀伊半島全体の道路ネットワークの代替性及び多重性により、リダンダンシーを確保し、近い将来の発生が危惧される南海トラフ巨大地震等の広域的な大規模災害への対応を高める極めて重要な幹線道路ネットワークです。
国道168号五條新宮道路は、奈良県五條市(京奈和自動車道)と和歌山県新宮市(近畿自動車道紀勢線)を結ぶ延長130kmの地域高規格道路であり、紀伊半島アンカールートの南北軸を形成し、高規格幹線道路の空白地帯である紀伊半島の内陸部を縦断して沿岸部にアクセスする極めて重要な幹線道路です。国道には、国土交通省が管理する直轄国道と、都府県や政令市が管理する補助国道があり、国道168号は、奈良県が管理する補助国道ですが、災害に強い道路整備による紀伊半島全体の防災性の向上のため、県と国が役割分担し整備に取り組んでいます。
辻堂バイパス(五條市)
斜面崩壊現場での復旧工法検討
(十津川村桑畑)
現在、奈良県事業で阪本工区、新天辻工区(平成30年度事業着手)の整備を進め、国土交通省の直轄事業で長殿道路、風屋川津・宇宮原工区、十津川道路の整備を進めています。平成28年3月には川津道路3.2kmが全線開通し、平成30年3月には辻堂バイパス4.1kmが全線開通しました。
国道168号五條新宮道路は、広域的なネットワークを担う重要な路線である一方で、地域にとって住民の生活と安全を守る「命の道」です。防災面のみならず、人と物の流れを活発化し、地域の活性化を図るうえで必要不可欠な道路です。しかしながら、未改良区間が多く、台風などの豪雨により、斜面崩壊や落石などの災害が毎年のように発生しています。このため、道路災害の前兆現象の早期発見による「予防対策」や発災後の地域生活・経済への影響をできるだけ少なくすることに重点をおいた「減災対策」、迂回路の有無や斜面の危険度を踏まえた危険箇所の「防災対策」に効率的・効果的に取り組んでいます。
道路の改良、維持・補修において、職員が取り組む業務は大きく3つのパートに分かれています。
1.「計画業務」
業務の計画を立て、関係する庁内組織や関係機関などと調整する
2.「設計業務」
工事の内容を定め、構造物等の設計や積算を行う
3.「監督業務」
契約となった工事現場で、安全管理・品質管理・工程管理を行う
これら3つの業務が一体となり、道路事業を進めています。
土木事務所は県民との接点であり、事業を行う地域の住民との意見交換の窓口を担います。道路は県民生活や経済活動の基盤となる最も根幹的な社会資本の一つです。道路整備へのニーズが多様化し、また道路整備に関する取組が複雑化する中、県民や道路利用者へのサービスの向上を図るためには、ニーズを的確に把握するとともに、道路整備に関する各種施策や事業の内容について、県民にわかりやすく説明し、理解と協力を得ることが重要です。積極的な県民コミュニケーション、施策の「見える化」と県民意見の反映に積極的に取り組むことが求められています。
橋梁架設現場での出来形確認
辻堂バイパス
国道168号五條新宮道路は、急峻地形を通過する山岳道路です。平成23年の紀伊半島大水害では、多くの箇所で道路が寸断される一方、高い規格で整備された道路は、損壊することなく応急活動等に大きな役割を発揮し、災害に強い道路の必要性が改めて浮き彫りになりました。とりわけ、地域高規格道路である国道168号五條新宮道路は、紀伊半島アンカールートとして紀伊半島全体の強靱化を図る観点からも特に重要な広域幹線であることから、引き続き、全線早期整備に向けた取り組みを進めます。
平成28年1月掲載
平成29年9月更新
平成30年5月更新
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