賃金・賞与・退職金について
Q1 未払賃金の請求をしたいのですが、どうすればよいですか。
Q2 会社が給料を支払ってくれない場合、行政機関から会社を指導してくれるのでしょうか。
Q3 会社が通勤手当を払ってくれません。
Q4 定額残業代が給与に含まれているのですが、問題ないのですか。
Q5 賞与(ボーナス)は、誰でももらえるのですか。
Q6 会社の業績悪化を理由として、就業規則の規定にかかわらず夏の賞与は支給しないと言われました。
Q7 人事査定の結果、賞与が大幅に減額されました。
Q8 退職金は誰でももらえるのですか。支払時期に決まりや時効はありますか。
Q9 会社からチェック・オフ協定を廃止すると言われました。
まず、未払賃金の額を明確にしましょう。就業規則や労働契約、給与明細等から賃金の種類(定期賃金、諸手当、賞与等)や金額を算出します。
次に、労働者自らが会社と自主交渉を行います。
未払分の請求は口頭でもよいですが、可能な限り書面で請求することが望ましく、場合によっては「内容証明郵便」を利用するなど、記録を残すようにしましょう。
それでも会社が請求に応じない場合は、労働基準監督署にご相談ください。
また、会社との話合いをお手伝いする「個別労働関係紛争のあっせん」を利用できる場合があります。
あっせんについて詳しく知りたい方は、奈良県労働委員会にご相談ください。
なお、未払賃金の請求権に係る時効は3年です。
賃金の未払いについては、労働基準監督署が会社に対する指導権限等を持っています。
未払賃金を請求しても会社が応じない場合は労働基準監督署にご相談ください。
法律的には、通勤手当を支払う義務はありませんので、通勤手当を支給するかどうか、支給額をどのようにして決定するかは、会社が自由に決めることができます。
ただし、労働契約書や就業規則で支給することをあらかじめ定めている場合は、その内容に基づいて、通勤手当を支給しなければいけません。
規則で定められているにもかかわらず、通勤手当が支給されない場合は、労働基準監督署にご相談ください。
定額残業代(固定残業代・みなし残業代)として、一定時間分の時間外労働、休日労働および深夜残業に対する割増賃金とみなした定額の手当を毎月支払ったり、基本給に組み込んだりするケースがあります。
定額残業代制度自体は法律違反ではありませんが、労働契約等における定額残業代についての労使合意及び通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを明確に判別できることが求められます。
上記の判別ができない場合や、明らかに労働時間と割増賃金額に乖離がある場合、まずは会社に確認してください。
それでも状況が改善しない場合は、労働基準監督署にご相談ください。
また、会社との話合いをお手伝いする「個別労働関係紛争のあっせん」を利用できる場合があります。
あっせんについて詳しく知りたい方は、奈良県労働委員会にご相談ください。
賞与(ボーナス)は法律で定められた制度ではないため、誰でももらえるものではなく、支払うかどうかは会社の自由です。
就業規則等で金額や支給時期などが定められている場合には、労働基準法の「賃金」に該当します。会社が就業規則等で賞与に係る規定を定めている場合は、それに従って支払わなければなりません。
就業規則等で定められているにもかかわらず、会社が賞与を支払ってくれない場合は、労働基準監督署にご相談ください。
また、会社との話合いをお手伝いする「個別労働関係紛争のあっせん」を利用できる場合があります。
あっせんについて詳しく知りたい方は、奈良県労働委員会にご相談ください。
なお、賞与の請求権に係る時効は3年です。
賞与について、会社の就業規則等で金額や支給時期などが定められている場合や、労働組合との間で労働協約が結ばれている場合には、会社側が一方的に賞与を支給しないというような変更は許されません。
ただし、「会社業績の著しい低下などがある場合には支給しない。」旨の定めがあるときには、不支給でもやむを得ない場合もあります。
そのような場合には、会社は経営状況について、具体的な資料を提示して、労働組合および労働者が納得できるよう説明し、合意することが必要です。
まずは、会社に十分な話合いを求めましょう。
また、会社との話合いをお手伝いする「個別労働関係紛争のあっせん」または「労働争議あっせん」を利用できる場合があります。
あっせんについて詳しく知りたい方は、奈良県労働委員会にご相談ください。
人事査定については会社の人事権に基づく裁量的判断に委ねられているため、査定の結果による降格で賃金や賞与の額が低額になったとしても、直ちに不利益変更とはなりません。
しかし、査定権者が裁量権を濫用した場合であれば、不法行為が成立し得ると考えられます。
まずは、会社に減額理由を聞き、十分に話し合いましょう。
裁量権の濫用が疑われる場合は労働基準監督署にご相談ください。
また、会社との話合いをお手伝いする「個別労働関係紛争のあっせん」を利用できる場合があります。
あっせんについて詳しく知りたい方は、奈良県労働委員会にご相談ください。
退職金は法律で定められた制度ではないため、誰でももらえるものではなく、支払うかどうかは会社の自由です。
就業規則等で金額や支給時期などが定められている場合には、労働基準法の「賃金」に該当します。会社が就業規則等で退職金に係る規定を定めている場合は、それに従って支払わなければなりません。
また、労働者が退職に際して賃金等の支払いを請求した場合、会社は7日以内に支払わなければなりませんが、退職金は通常の賃金とは異なり、あらかじめ就業規則等で支払時期を定めている場合はそれによることとなります。
就業規則等で定められているにもかかわらず、会社が退職金を支払ってくれない場合は、労働基準監督署にご相談ください。
また、会社との話合いをお手伝いする「個別労働関係紛争のあっせん」を利用できる場合があります。
あっせんについて詳しく知りたい方は、奈良県労働委員会にご相談ください。
なお、退職金の請求権に係る時効は5年です。
チェック・オフとは、労働組合と会社の間で締結された協定に基づいて、会社が組合員の給与から組合費を控除(天引き)し、それらを一括して労働組合に引き渡すことを言います。
労働組合に対する使用者の便宜供与として実施されており、労働組合から強要されるものではなく、チェック・オフを導入するかどうかは、会社が自由に決めることができます。
ただし、会社がそれまで締結されていたチェック・オフ協定を突然廃止することは、労働組合の運営に介入し、労働組合を弱体化させる恐れがあります。
会社と話合いをしても状況が改善しない場合は、「不当労働行為の救済制度」を利用できる場合があります。
不当労働行為の救済制度について詳しく知りたい方は、奈良県労働委員会にご相談ください。