普門暁(1896-1972) 一面 大正9年(1920) 油彩・カンヴァス 64.7×80.0cm
奈良県立美術館40選
絵画(近代・現代)
わが国における前衛美術運動のさきがけをなす未来派美術協会(大正9年創立)の首唱者として知られた普門暁(ふもんぎょう)の代表作である。同協会の第1回展に出品されたこの作品は、真夏の奈良風景から、雌雄の鹿をモチーフにしている。音楽的効果と動的感覚を、赤・青・黄の色彩とダイナミックなスピードある線描で形象化した未来派の特色を端的に示した作品である。 画面からは、真夏の焼け付くギラギラした光の中で脈動する生命力が感じられ、そこに普門の青春のエネルギーが感じられる。未来派は、詩人マリネッティの「未来派宣言」(1909年)に端を発し、イタリアを中心に興った芸術上の革新運動であり、日本でも1920年代の美術や文学運動にも影響があった。
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