特別展「大和の美 ~古都を彩った絵師たちの競演」内覧会のご挨拶
奈良県立美術館館長 籔内佐斗司
こんにちは。奈良県立美術館本年最初の企画展の内覧会を開会致します。
まずは本日、ご多忙の中ご参集いただきましたみなさまに心より御礼申し上げます。また本展示にあたり、ご協力を賜りました多くの関係各位にも深く感謝申し上げます。
さて今回の展示は、2025年の劈頭を飾るに相応しい賑やかな内容になっています。
まずメインの展覧会としては1/18〜3/9に開催の「大和の美」であります。中世から現代までの奈良ゆかりの絵画作品を展示し、その流れを辿ろうとする展覧会です。当館が収蔵する絵画作品を中心に、各地から借用させて頂いた作品もあわせて展示しています。日本の絵画史を概観するとても内容豊かな展示といえるでしょう。
そして最期の部屋の「大和の工芸」と題した関連展示室では、奈良に息づく美と技の世界をご堪能頂きたいと思います。わが国の近現代のいわゆる伝統工芸は、明治時代以降の正倉院御物や仏像の修復と模造を担当した職人たちによって、工芸作品として世界最高峰の伎倆と意匠に到達しました。そのことをご理解頂く格好の展示だと思います。
つぎに、アートギャラリーでは、奈良ゆかりの現代作家展シリーズの第一回が始まります。
1/18〜2/16に開催する第一回展は「今西真也展」です。
彼は炎や光をテーマに「吸って吐いて」と題したとても魅力的な肌合いを持った作品群です。活躍の場は東京や海外が中心ですが、出身地であり現在作品を制作している奈良での初めての個展となります。
続いて2/18〜3/9には、奈良ゆかりの現代作家展シリーズの第二回展として「赤松加奈展」を開催致します。
「こんにちは、」と題して、彼女の家族を通して見える世界を表現した穏やかで暖かな平面作品です。
お二人に共通することは、構想や下絵にパソコンを駆使していることです。まさにデジタル世代的作画方法ですが、制作そのものは極めてアナログ的な手法をもちいています。
そして、ショップ脇フリースペースにおいて1/18〜2/16「奈良県ジュニア県展入賞作品展」を展示しています。このなかから将来の奈良を背負って立つような芸術家が生まれることを期待しています。
古墳壁画や法隆寺金堂壁画の模写に始まり、中世・近世・近代へと連なる大和の美の系譜が、今西さんや赤松さんという気鋭の作家に承け嗣がれ、中学・高校生という未来の世代へ繋がっていくという壮大な展示になりました。
ただいまご紹介しましたとおり、本館としては今までになく盛りだくさんの内容になっています。学芸課スタッフの努力はさぞやたいへんなものであったことと思います。
本日だけでなく、会期中になんどか足をお運び頂き、ゆっくりご高覧頂けることを願っています。
本日は内覧会にお越し頂き、誠にありがとうございました。
(令和7年1月17日)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[バックナンバー]
第71回(2024年10月2日):四館連携企画 「聖武天皇の想いと事蹟」
第70回(2024年9月10日):『エドワード・ゴーリーを巡る旅』展によせて 「大人の絵本」
第69回(2024年4月2日): 奈良県立美術館特別展「小川晴暘と飛鳥園 100年の旅」によせて
第68回(2023年7月9日): 近代陶芸
第67回(2023年7月5日): EV
第66回(2023年6月15日): 電柱と電線
第65回(2023年5月11日): 技術革新
第64回(2023年4月19日): 商業デザイン
第63回(2023年4月11日): 東洋の智慧
第62回(2023年3月8日): さくら
第61回(2023年2月26日): 錯視 其の二
第41回~第60回(2022年7月1日~2023年2月14日)はここをクリック
第21回~第40回(2021年10月1日~2022年6月25日)はここをクリック
第1回~第20回(2021年4月1日~9月20日)はここをクリック