籔内佐斗司館長の部屋

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        県美コレクション展『新古美術鑑賞展』

 

                                                                                    奈良県立美術館

                             館長・籔内佐斗司

 

年度初めを飾る県美コレクション展『新古美術鑑賞展』では、屏風・掛軸・扇面・浮世絵という日本で育まれた多様な表現形式を持った絵画を取り上げ、過去の人々がどんな場面で、どのような気持ちで鑑賞したか、そして各作品の背景にはどんな習俗や価値観があったのか、ということに想いを馳せながら古美術鑑賞の体験をご提供いたします。そして作品に関する美術史的知識だけでなく、プラスアルファの鑑賞体験ができる工夫を凝らした展示、そしてワークショップやイベントもたくさんご用意しています。

イベントの目玉としては、奈良ゆかりの歌人・榊原紘氏を講師としてお迎えする「令和の屏風歌会」の開催です。平安時代、屏風に描かれた絵を主題として和歌を詠む集いがあり、そこで詠まれた和歌を「屏風歌」と呼びました。屏風を題材に、現代の感性と言葉で、“令和の屏風歌”を詠む企画は、参加者にとって、過去の人々のこころに接し、古美術を身近に感じる機会になるものと思います。まさに絵画とことばの融合であり、「いにしえを想いて愛せる未来かな」の世界を創り出します。

 そして、学芸員によります意欲的なギャラリートークや企画も目白押しです。

 

 またギャラリーでは、古来より、「墨に百彩あり」といわれる水墨技法を駆使し独自の表現を追求する荒井惠子氏のインスタレーションを展覧いたします。この展示をとおして「伝統文化の現在」を体感しつつ、奈良の風土や歴史文化に想いを馳せていただきながら、墨の表現の可能性を感じて頂けると幸いです。

 

 最後になりましたが、本展開催にご後援を頂きました奈良新聞社、公益社団法人奈良市観光協会、奈良テレビ放送株式会社、NHK奈良放送局、西日本旅客鉄道株式会社、近畿日本鉄道株式会社、奈良県教育委員会、奈良交通株式会社ほかの各位。またご協力を頂きました株式会社墨運堂、福西和紙本舗、藤田畳店、丸山表具、岩野平三郎製紙所、現代短歌社、ならびにMOMENTさま、朝日新聞文化財団他の各位に心より御礼を申し上げます。

 

開館から50年を超えた県立美術館は、未来に向かって大きな歩みを始めています。 

これからも奈良県立美術館にどうぞお運び頂けますよう、館職員一同こころよりお待ち申し上げています。

 

                                                                                                                                              (令和7年4月4日)

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