ウェブサイトトップの「新着・更新情報」欄にもアップしておりますので(10月7日付け)すでにご覧になったかもしれません。開館50周年記念特別展『仮面芸能の系譜-仮面芸能のふるさと奈良-』を開催中のところですが、奈良県立美術館では来年度に向けて学芸課長と学芸員の採用募集をしております。
私が今年で還暦を迎えたことは、以前このコラムでも触れた気がいたします。昨年4月から副館長・兼・学芸課長という立ち位置になっている私は、来年3月末をもって奈良県から離れる予定です。現在、来年度初め(4月)に開催する展覧会の準備を進めているところですが、そちらは在職の間にしっかり準備を固めてから退任するつもりです。
当館の歴史も50周年=半世紀ということで、その間、学芸職員も代替わりを繰り返してきました。偶然ながら節目の年で私は退任する次第で、51年目からの奈良県立美術館では、新しい学芸課長に腕をふるっていただきたいと思います。
…などと偉そうな口ぶりですが、かくいう私も奈良での勤務はわずか5年間でありまして(昭和末期から学芸員の仕事についているものの)、恥ずかしながら昔の奈良県立美術館のことは知りません。また、自分が当館で何代目の学芸課長になるのかもわかっておりません。いや、お恥ずかしい限りです。
これも過去のコラムでたまに書いてきたことではありますが、昭和末期、私が新卒で採用されたのが滋賀県立近代美術館(現・滋賀県立美術館)でした。その後、大阪府庁勤務(実現せずに終わった美術館設立計画に従事)やアメリカでの短期フェロー(客員)を経て、一番長く勤めていたのは東京・品川にあった私立の原美術館でした。同館が諸般の事情で閉鎖することが決まり、そこへたまたま、奈良県立美術館の(前任の)学芸課長が定年退職して後任探しをしていたという偶然が重なり、関西への準Uターン(?)をするに至ったのでした。
思い起こすと、私が奈良県立美術館を最初に訪れたのは大阪の高校や大学に通学していた昭和の頃で、高校の校外学習やら大学の美術史学の見学授業で足を運んだものでした。わずか5年間とはいえ、令和になってそこで勤務することになるとは全く予想していませんでした。
半世紀を経た奈良県立美術館は施設の老朽化・狭隘化が否めません。前知事の任期中、美術館の整備・リニューアル構想が一度検討されたのですが、その用地として想定されていた美術館北側から興福寺の遺跡が出てきたため、止まったままです。しかし、近い将来にはリニューアル計画も再始動されることでしょう。どんな方が今回の募集に応募してくださるかは想像もつきませんが、次の学芸課長にはその面でも尽力していただくことになるのではないでしょうか。ふるってご応募ください(受付期間は11月10日までです)。
安田篤生 (副館長・学芸課長)
*学芸課長 選考試験案内PDF(奈良県人事課ウェブサイト)
https://www.pref.nara.jp/secure/14844/R5_boshuuannai_bijyutukangakugeikachou.pdf
*学芸員 採用試験案内PDF(奈良県人事課ウェブサイト)
https://www.pref.nara.jp/secure/14844/R5_gakugeiin_bijyutukan_boshuuannai.pdf
*奈良県人事課・職員採用選考試験情報ページ
https://www.pref.nara.jp/dd.aspx?menuid=9063