森林が持つ「公益的機能」について

 森林の「公益的機能」とは、その森林の持ち主であるかどうかなどに隔たられることなく、わたしたちの社会全体に有益な影響を及ぼす森林の機能のことを指します。
 わたしたちの暮らしは、森林の持つ働きから生み出されるたくさんの恵みによって、今日まで支えられてきました。


※下のイラストから森林の公益的機能を探してみましょう。
 気になるところをクリックしてください。

 


forest

pic
 土砂を地面に固定する働き



 森林の立木やたくさんの草花は地中深くまで根を張ります。土壌中の砂粒や岩石は複雑に絡み合う根の作用でその場に留まりやすくなるため、土砂の流出や崩落が抑制されます。
 また、草花や立木の落ち葉は地表面を覆うため、降水が直接当たり土壌がえぐられるのを防ぐ働きもあります。


pic


pic
 水を溜めて、きれいにする働き



 木々が常にたくさんの水を吸い上げているため、森林の土壌は乾燥しやすく、いつでも水を溜め込んでおけるだけの余裕があります。こうした「天然のダム」の働きのおかげで、急な豪雨も森林でしっかり受け止められ、河川の氾濫などが防がれます。
 また、森林の土壌を形成する土砂の細かい粒子や岩石、落ち葉などがフィルターの役割を果たし、雨水をろ過してきれいな水にしてくれます。

pic
pic
 爽やかに整った空気を作る働き



 森林の木々は光合成により多くの動植物にとってなくてはならない酸素を作り出してくれます。また、空気中の不快な化学物質やホコリを吸着し、空気をきれいにしてくれます。
 真夏の暑い日でも森林の中はひんやりと過ごしやすく感じられます。これは木々が蒸散により放出する水蒸気のおかげで空気がほどよく調温調湿されるためです。


pic
pic
 たくさんの生きものの住処となる



 動物をはじめ植物や微生物など、森林には私たちには想像もつかないほど多種多様な生きものが暮らしています。たくさんの生命が互いに影響し合いながら共存する「森林」という空間は、それ自体が巨大なひとつの生態系となっているのです。


pic

pic
 暮らしを支える資源を生み出す働き



 木を伐りだして作る木材をはじめとして、獣の肉やキノコや果実といった食料、薬草、その景観自体も含め、私たちの生活や文明は古くから森林から生み出される沢山の資源によって支えられてきました。
 近年では木材の用途も多様化し、太く立派な無垢材から発電の燃料まで、貴重な資源を無駄なく使う技術や知恵が日々生み出されています。


pic


pic
 こころの豊かさを育てる場となる働き



 森林の複雑で豊かな自然環境にふれることで、安らぎや癒やし、活力、冒険心、好奇心といった沢山の感情が沸き立ちます。現代的な生活に慣れた私たちにとって、森林はこころの豊かさを育てる様々な影響の宝庫なのです。

pic


pic
 地球温暖化を抑制する働き



 大気中の二酸化炭素は温室効果を引き起こし、地球温暖化の原因になると言われています。森林はこれを光合成により吸収し、木材などの固形物にして大気中に放出されないよう長期間固定します。

pic