奈良県は森林面積が県土面積のおよそ8割を占める「森林県」であり、吉野林業に代表される優良材の生産地として、全国有数の集約的施業によるきめ細やかな管理のもと、長い歴史を通して豊かな森林環境が育み守られてきました。本県の森林の大部分は民有林ですが、そこからもたらされる公益的機能(県土保全・水源涵養・生態系保全・保健休養 等)は、暮らしを潤す多様な恵みとして県民全体が等しく享受しています。
一方で、近年の森林を取り巻く状況を見ると、木材価格の低迷や林業後継者の減少に伴う林業の衰退化、世代交代などによる関心の薄れた森林所有者の増加など、全国的に見ても厳しさを増してきており、間伐などの森林整備が十分に行われない森林が蔓延する事態となりました。こうした森林の荒廃の進行に面し、先述の公益的機能の維持・増進を図るとともに、奈良県の豊かな森林環境を将来に確かに引き継ぐための新しい方策が必要となりました。
このような経緯から、奈良県では平成18年度より森林環境税を導入し、以後施業放置林の整備に関する事業を軸に、森林環境の保全に努めています。