奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例

条例制定の経緯

 奈良県では、長引く木材価格の低迷等により、森林環境の維持向上努力が減退し、間伐等の保育の実施面積が年々減少した結果、施業放置林が増加していました。さらに、平成23年8月30日から9月4日までの記録的な豪雨により紀伊半島大水害が発生し、森林管理の重要性を改めて認識しました。

 このような中、奈良県は平成27年4月にスイス・ベルン州と、平成28年11月にスイスのリース林業教育センターと友好提携を締結し、スイスの森林環境管理制度を学ぶことで、スイスのフォレスター制度などをモデルとした奈良らしい新たな森林環境管理制度の導入が必要であると判断しました。

 そのため、奈良県の森林環境管理制度の枠組と方向性を定める「奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例」を制定することとしました。

■奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例

 公布日:令和2年3月30日
 施行日:令和2年4月1日(第16条・第17条は令和2年10月1日)

 条例本文:(pdf 204KB)

条例の概要

 条例の概要(pdf 692KB)

 

目的

 森林・林業基本法等に沿った森林環境の維持向上に関する実効的な取組を促進し、森林と人との恒久的な共生を図ります。

 

  ○森林環境の維持向上
 適地適木による造林、適時かつ適切な方法による保育や伐採を行うことにより、森林の4機能を高度に発揮させること
  ○森林の4機能
 森林環境の維持向上の施策を総合的かつ体系的に推進する観点から、森林の有する多面的機能を⑴森林資源生産、⑵防災、⑶生物多様性保全、⑷レクリエーションの4つに区分したもの
  ○森林と人との恒久的な共生
 豪雨により発生した土砂の崩壊による災害などの森林に関する脅威を理解した上で、森林がもたらす恵沢を安定的に享受し、森林と人との良好な関係を永続的に築き続けること

 

 

目指すべき森林

 森林環境の維持向上のために、森林の植生状態や立地条件等を踏まえて、県内の民有林を(1)恒続林、(2)適正人工林、(3)自然林、(4)天然林のいずれかに誘導します。

目指すべき森林

 

間伐木を残置する場合の措置

 森林所有者等は、間伐木(間伐により伐木されたもの)を残置する場合は、当該間伐木が及ぼす支障を防止・軽減し、森林環境を保全するため、当該間伐木を適切に処理しなければなりません。

 

適切な方法による間伐

 森林所有者等は、皆伐するときは、土砂の流出や崩壊などの災害の発生を防止軽減し、森林環境の維持向上を図るため、知事が定める方法により適切に行い、皆伐跡地の確実な更新を確保しなければなりません。

  →知事が定める方法はコチラ

 

奈良県フォレスター

 森林環境の維持向上に関する専門的職員として奈良県フォレスターを県に置きます。
 奈良県フォレスターは、目指すべき森林への誘導、森林環境の維持向上に関する技術・知識の普及指導、森林の巡視などの専門的事項をつかさどります。