奈良新聞掲載記事集

令和6年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和5年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和4年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和3年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和2年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成31年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

柿の加工品

   今が旬の柿。
 奈良県は柿の生産量が全国2位と柿の大産地で、主に五條市を中心に栽培されています。
 柿の加工品といえば代表的なものに干し柿があります。干し柿は家庭でも簡単にできる加工品の一つで、食物繊維やビタミンA、カリウムを豊富に含む優れた保存食です。干し柿に用いられる柿は、肉質が粘質できめの細かい渋柿が適しているとされ、奈良県では、刀根早生や平核無、江戸柿とも言われる甲州百目、法蓮坊といった品種が用いられます。
 干し柿は、柔らかくて水分の多いあんぽ柿と硬めで水分の少ないころ柿があります。あんぽ柿は果実の重さが乾燥前の半分くらいなったもの、ころ柿はさらに乾燥を進めて、三分の一になった頃に乾燥を終了したものです。ころ柿には白い粉がふいているものが見かけられますが、これは柿に含まれるブドウ糖や果糖などの糖分が果実表面ににじみ出て結晶化したものです。品種によって粉の吹きやすさは異なり、表面に均一に粉を吹かすには独特の技術が要ります。
 一方、干し柿以外の加工品といえば、柿ジャムや柿酢などがありますが、他の果実に比べてその種類は少ないです。その理由としては、柿は香りが少なくて酸味がないため、特徴のあるものが作りにくいこと、また加熱すると渋が戻る「渋戻り」という現象が生じることがあるため、加熱殺菌を伴う加工品が作りにくいといったことが挙げられます。
 柿の新しい加工品の一つとして当センターでは、柿のシロップ漬け加工の研究しています。加熱による渋戻りの程度や果実熟度による影響、風味付けや適した品種などを調査し、おいしいシロップ漬けができるよう研究を重ねています。シロップ漬け加工が可能になれば、そのままの状態で食すだけでなく、二次加工として果肉感のあるゼリーやソフトドライフルーツなどの商品化が期待できます。

 

【豆知識】

【干し柿作り】
 みなさんは、干し柿を作ってる間にカビが生えてしまったことはありませんか。
 ご家庭でできる干し柿作りのポイントをいくつか紹介しましょう。
(1)皮むきをする日を選ぶ
 天気予報を見て晴れた日が2~3日続く日を選んでください。皮をむいた果実の表面をできるだけ早く乾燥させるためです。奈良県では、空気が冷たく乾燥する11月中旬以降が適期です。
(2)消毒する
 皮をむいたら、縄に果実を付けてからさっと熱湯にくぐらせて表面を殺菌します。また、作業する時は、手やピーラーなどの道具は焼酎などのアルコールを霧吹きで吹いて殺菌します。
(3)日なたで干す
 色良く仕上げるためには日陰で干す方が良いのですが、最初の2~3日だけでも日なたに干して表面の乾燥を早めます。
 これらのことに注意して、干し柿作りに取り組んでみてください。

 

gazuo

 

                                             果実の調製

平成30年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」



奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。