12月になると柿は落葉し、休眠期に入ります。この時期は、翌年の栽培に向けた準備を行う時期です。この時期の大きな作業は剪定(せんてい)です。剪定には、樹高を調整することで、作業性を向上させ、日当たりを良くすることで果実品質を高め、風通しをよくすることで、病害虫のまん延を防ぐ等の効果が期待できます。自宅の庭に柿が植わっているものの、剪定をしていない方は、今年は一度、剪定をしてみてはいかがでしょうか?
柿は基本的に日当たりを好む樹種で、真上に伸びやすい性質があり、放置しておくと樹高が10m以上の大木になることも珍しくありません。そのため、剪定により脚立等を使えば先端まで手が届くようになるように低く仕立てます。剪定をせず、高くなってしまうと、樹の上の方の枝が混み合い、下の方の日当たりが悪くなってしまいます。その結果、下の枝が枯れてしまい、柿の実が高い位置でしか採れなくなり、枝の管理も大変になってしまいます。
このような場合、高くなった樹を低くすることができます。方法は、樹の中心となっている幹(主幹)を切る切り下げです。ただし、主幹を切る際に、一度に大きく切ってしまうと、強く伸びる枝がたくさんでて実がつかなくなったり、逆に樹自体が弱ってしまい枯れてしまうこともあります。主幹を低くする際には、何年かに分けて少しずつ下げていくようにしましょう。
なお、休眠期は剪定の他に、土壌改良や越冬病害虫の防除といった作業もあります。柿は、極端な過湿や乾燥を嫌います。土壌へ堆肥などの有機物を投入することによって、保水性や排水性を高めることができ、生産の安定や品質向上につながります。また、越冬病害虫の防除については、例えば、9~10月に柿の早期落葉を引き起こす「落葉病」は、発病した葉が翌年の感染源となります。そのため、冬に落ち葉を集めて埋めたりすることで、翌年発生を予防することができます。
【豆知識】
柿の剪定について
柿は、前年伸びた枝(結果母枝)の先端側についている数芽から伸びる枝に果実がつきます。そのため、柿の剪定は結果母枝を途中で切る方法ではく、枝の根元から切る間引き剪定が基本です。作業は落葉後から発芽前(3月上旬頃)までに行うようにします。まず、仕上がりを想定し、重なりのある大きな枝をノコギリ等で切った後、細かい枝を切り落としていきます。優先的に切る枝の例としては、真上に伸びる強い枝や、樹の中心に向かって伸びている枝、垂れた状態の枝、病気にかかっていたり、根元が害虫に食害されている枝です。また、同じ向きに伸びている枝が2本以上ある場合は、1本になるように切りましょう。健全な樹の場合は枝の6~7割程度を切り落とすとされています。なお、樹の先端は上向きの枝とし、剪定後の枝の形は、先端を頂点とする三角形になるのが理想とされています。(図:柿の樹の剪定例)