私たちが毎日食べている食品は、刺身やイチゴのように生のまま食べることもありますが、魚の干物やイチゴジャムなど加工して食べる物も多くあります。食品の多くはそのままでは長期間保存することができません。食品加工の大きな目的は食材を調味や加熱、乾燥等して品質保存・有効利用・安定供給することです。同時に魚の干物や野菜の乾物では旨味の凝縮、大根の漬物では歯ごたえがよくなるといった変化も生まれます。
さて、農業研究開発センターでは農産物加工の研究にも取り組んでおり、今回は柿ピュレのフリーズドライを紹介します。
柿は軟らかくなると市場へ出荷できなくなります。この軟らかくなった柿を何かに活用できないかと考え、加工品の開発に着手しました。そこで果実をピュレ状にし、一口大の型に入れてフリーズドライ加工を試みると、柿の風味そのままでサクッとした食感が楽しめるお菓子ができました。
このほかに柿を1年中楽しめるようにした「柿シロップ漬け」、これまでの柿葉茶にはない爽やかな酸味のある発酵柿葉茶なども研究しています。
食品加工が果たす役割は長期保存や味・香りなどをよくするだけではなく、近年では高齢化や共働き世帯の増加に伴い、高齢者でも食べやすい軟らかさにすることや、調理時間を短縮することも開発目的になってきています。今後も食品加工の果たす役割はますます重要になると考えます。
農業研究開発センターの加工についてご興味ある方は以下のHPをご覧ください。
https://www.pref.nara.jp/61532.htm
【豆知識】
【干し柿づくりのポイント】
みなさんは、干し柿を作ってる間にカビが生えてしまったことはありませんか。
ご家庭でできる干し柿作りのポイントをいくつか紹介しましょう。
(1)皮むきをする日を選ぶ
天気予報を見て晴れた日が2~3日続く日を選んでください。皮をむいた果実の表面をできるだけ速やかに乾燥させます。時期としては奈良県では、空気が冷たく乾燥する11月中旬以降が適期です。
(2)消毒する
作業する時は、手指やピーラーなどの道具は焼酎などのアルコールを霧吹きで吹いて消毒します。また、皮をむいた果実は縄に付けてから熱湯にサッとくぐらせて表面を消毒します。
(3)日なたで干す
色良く仕上げるためには日陰で干す方が良いのですが、カビ対策は速やかな乾燥がポイントなので、最初の2~3日だけでも日なたに干して表面の乾燥を早めます。
これらのことに注意して、干し柿作りに取り組んでみてください。(写真左:柿シロップ漬け、右:柿ピュレのフリーズドライ)