奈良新聞掲載記事集

令和5年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和4年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和3年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

ホウレンソウ栽培

現在我が国で栽培されているホウレンソウの大部分は東洋種(切れ葉タイプ)と西洋種(丸葉タイプ)の性質を合わせ持った一代雑種(F1)で、多くの品種が種苗会社から販売されています。ホウレンソウには、日長が長い時期にはとう立ちが発生しやすい、生育初期に土壌水分が多すぎると湿害で枯れる、夏の暑さには弱く枯れやすい、春や秋には葉に灰色のカビでべと病という病害が発生しやすい等、栽培する上で多くの難しさがあります。そこで、種苗会社はそれらの難点を克服するとともに、葉が折れにくく収穫・調整・袋詰め作業がしやすい、収穫量が多い、連作障害に強い等の特性を持つ品種を育成しています。
 生産者は、栽培時期ごとに適した品種を選んで栽培しています。2~6月に種まきをして4~7月に収穫する場合はとう立ちしにくくべと病に強い品種を、7~9月に種まきをして8~11月に収穫する場合は暑さに強い品種を、9~11月に種をまきをして11~3月に収穫する場合はべと病に強く低温伸長性の良い品種を選んでいます。また、雨が降ると湿害で枯れ、泥はねで葉が汚れるので、パイプハウスで栽培するのが一般的です。
 皆さんがホウレンソウを露地で栽培するのであれば、比較的作りやすい3月上旬~5月上旬に種をまく(4月中旬~6月上旬に収穫)か、9月中旬~10月上旬に種をまく(10月下旬~11月下旬に収穫)ことをおすすめします。栽培に用いる品種は袋の裏に記載されている暦を確認してその時期に適しているものを選択しましょう。また、ホウレンソウは野菜の中でも酸性土壌に弱く、pH5.5以下になると生育が悪くなり枯れてしまうことがあります。土壌酸度はpH6.0~7.0になるように苦土石灰を1平方メートル当たり100~150g程度施用します。また、連作すると土壌病害が発生して枯れてしまうことがあるので、連作を避けましょう。(写真:ハウスでのホウレンソウの栽培の様子)

ホウレンソウ栽培の様子 

【豆知識】

ホウレンソウの栄養素と機能性成分
 野菜はビタミンやミネラルの供給源として重要ですが、特にホウレンソウは野菜の中でも葉酸、ビタミンA、ビタミンK、カリウム、マグネシウムという栄養素を多く含んでいる健康野菜と言えます。ただし、それらの栄養素は季節の違い(ビタミンCは冬どりの方が夏どりよりも多い)によって変化しますので、夏場に食べる場合はやや多めを心掛けましょう。また、最近はホウレンソウに多く含まれている機能性成分のルテインが注目されています。ルテインはカロテノイドの一種で、光による刺激から目を保護し、目の健康維持に役立つと考えられています。生鮮食品に機能性成分が一定以上含まれていることを科学的に示せば、消費者庁は機能性表示食品として販売することを認めていますので、当センターではホウレンソウのルテイン含量を高めるための技術開発に取り組んでいます。

令和2年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成31年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成30年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」



奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。