奈良新聞掲載記事集

令和6年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

落花生のマルチ栽培

 みなさん、落花生を栽培されたことはありますか?私の仕事は農業経営の研究で、農作業の省力化について考える機会があります。また、自宅では省力的な作業方法を考えながら、落花生を栽培しています。そこで、今回は実体験を交えた落花生のマルチ栽培について紹介します。
 落花生は、花が咲いた後、子房柄(しぼうへい)と呼ばれる器官が下へ伸びて地中に潜り、その先端に莢(さや)ができるマメ科の作物です。落花生という名前は、このように花が落ち、地中で子実が生まれることに由来しています。品種によりますが、落花生の栽培期間は、5月頃の種まきから10月頃の収穫まで長いため、雑草が発生し、その除去に苦労します。雑草の発生を抑えるため、マルチで畝を覆う栽培方法がありますが、落花生の場合は、子房柄を地中に潜らせる必要があり、開花期にマルチを除去するのが一般的です。そのため、マルチを除去した場合、その後に発生する雑草の除草作業が必要になります。
 そこで、厚さ0.02mmの白黒マルチと100円ショップにある10cm目合いの安価な園芸用ネットを用いた栽培方法を実践しました。まず、畝立て後に園芸用ネットを敷き、次に白黒マルチ(白色が表)で覆います。種まきから収穫まで、マルチを除去せずにこの状態にしておきます。すると、株元を中心に結実し、一部の子房柄はマルチを通過し、地中に莢ができます。写真のように、栽培期間中にマルチを除去した場合より少ない収量ですが、除草作業を省力化することができます。また、収穫の際、園芸用ネットごと引き上げることで、落花生を収穫できるので、株の掘り上げ作業の省力化に繋がります。なお、黒マルチでは、子房柄がマルチに接触する際、焼けて枯死した経験があるので、白黒マルチがおすすめです。
 今回ご紹介した栽培方法を参考に、お金をあまりかけずに除草と収穫作業の省力化を目指してみてはいかがでしょうか!

【豆知識】

 収穫された落花生をどのようにして食べていますか?「炒る」イメージのある落花生ですが、私がおすすめする食べ方は、「ゆで」です。ゆで落花生は、ホクホクした食感やほのかな甘みを感じることができ、ゆでている間は豊かな香りを楽しめます。

 作り方は簡単で、まず落花生を水洗いし、土を落として水を張った鍋に莢ごと入れます。水を沸騰させ、沸騰後から約40分間ゆでた時点で、一度試食し、かたさを確認します。かたければ、好みのやわらかさになるまでゆで時間を延長してください。ゆでる際の食塩は、お好みで調整してください。また、すぐに食べきれなかった場合、冷蔵庫に入れるようにしましょう。
 ゆで落花生には、食べ応えのある大粒系品種がおすすめです。これから種まきの時期に入ります。一度、試しに大粒系品種の栽培に挑戦し、収穫後すぐにゆで落花生を味わってみてください!

(写真:園芸用ネットの活用で掘り上げ作業を省力化。(左)収穫まで白黒マルチを被覆。雑草を抑制でき、一部の子房柄がマルチを通過。(右)開花期にマルチを除去。)

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奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。